【わかったなんて言えません】Vol.85 中西直人 #1「パワーポジションを見つけよう」
「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今週からのゲストは大阪府出身の中西直人。今年からJGTO選手会の副会長を務める中西と、前選手会長の時松。話はおのずと「新選手会」の話題に。
TEXT/Masaaki Furuya PHOTO/Hiroaki Arihara
ホスト/時松隆光
1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん”
ご指名/中西直人
1988年生まれ、大阪府出身。日本大学卒業後、2010年プロ入り。19年に初シードをつかんだ。「SANRISE」は自ら立ち上げたオリジナルブランド
時松 中西さんは今シーズン、選手会の副会長です。
中西 副会長といっても“副会長感”は何もないんだけど、役員みんなでやりたいことや目指す着地点が一緒なので、そういう意味ではすごくやりやすいし楽しいです。メチャしんどいところもあるけど(笑)。
時松 今年1月の選手会理事会は僕も出ていました。副会長は会長の指名制なんですけど、谷原(秀人)さんは会長に指名されて第一声で、「直人としたい」と言われましたよね。
中西 「えぇ~」という感じだったけど、でもああだこうだ言いたくなかったので、二つ返事で「はい、やります」と言ったね。昨年、谷さんがヨーロッパの試合に出ているときにも電話をしてきて、選手のため、ゴルフ界のため、ということを話すんです。「何で選手会でこういうことをしないんだ」「僕は今年理事に入ったばかりでわからないですよ」というような話をしていた。こういう意見を持っていて、フラットな目で見ることができる人に会長になってもらいたいと思っていたので、僕も谷さんと一緒にやりたいと思いました。
時松 僕も選手会長は谷原さんでよかったと思います。何年間も海外でプレーした経験もあって、いろいろ見てきた人だから。選手会長を受けたからには、海外の夢はいったん置いておくとはおっしゃっていましたね。
中西 僕は二足の草鞋どころじゃなく四足の草鞋なので(笑)。でも、全部中途半端にしてしまうことだけは避けたいと思っている。
時松 四足って?
中西 プロゴルファー、アパレル、ユーチューブ、試合の企画とかもやっているし。
時松 クラウドファンディングで資金を集めたりしていますね。
中西 今年は3月と7月のオープンウィークの週に2回試合を予定していたんだ。3月の試合は大成功で、最大で5.7万人の視聴者があった。でも、自分がツアーで選手も副会長もしながら試合をプロデュースするのはさすがにしんどくて、7月は僕が主催じゃなくて別でやってもらうことになっています。
時松 ところで、中西さんはどうして飛ぶんですか。
中西 そんな飛ばないよ。
時松 いやいや僕からしたら飛びますって。僕、今年から筋トレもやっているんですけど、飛ばすためには筋トレはどうなんですかね。
中西 筋トレは必要だよね。でもそれは、速く振るためのトレーニングというのではなくて、速さに耐える体を作るためのトレーニングだと僕は考えている。
時松 速さに耐えるためのトレーニング、ですか。
中西 うん。クラブを振る速さって、トレーニングをしなくても出るんです。むちゃ振りすれば誰でもヘッドスピードは結構出せる。でも、その速さに耐えられる体というのを持っている人は少ないんだよね。
時松 速く振ることは誰でもできるけど、思い切り振るとバランスが取れなくなる。そのバランスを保つためのトレーニングが必要と。それって、体幹を強くするということですか。
振るスピードに負けない体をつくる
「1メートルの高さの台から飛び降りて着地したとき安定して止まっていられるような姿勢がポイントです」(中西)
中西 それは自分のパワーポジションを探すということなんだよね。
時松 パワーポジションって、何ですか?
中西 誰にもナチュラルに一番力が入るポジションがある。簡単に言うと、ジャンプして着地をして重心が下に落ちたときのポジション。これが一番力が入るパワーポジションです。
時松 そのパワーポジションは人によって違うんですか。
中西 違います。まず、ジャンプして着地したときに重心がつま先寄りなのか、かかと寄りなのかという違いがあります。
時松 どのくらいの高さのジャンプをしたらいいんですか。
中西 1メートルの高さの台から飛び降りて着地したとき、もっとも安定して止まっていられるような姿勢と言ったほうがいいかな。
時松 そうなんですね。
中西 それで、一番バランスが取れるパワーポジションは股関節です。源ちゃんは股関節というとどんなイメージ?
時松 ここ(鼠径部)ですよね。
中西 でも実は、そこじゃないんだよね。股関節は英語ではヒップジョイントって言う。お尻と腰のつなぎ目、ここが股関節なんです。日本では、股関節を入れろというと鼠径部を入れるようにする。でもアメリカ人に股関節を入れろと言うとお尻をヒョイと高くする。確かに、お尻をドッシリと構える後傾姿勢より、お尻を持ち上げた前傾姿勢のほうが体幹が安定するということは言える。もちろん骨格も違うから、一概にどっちが正解かはわからないけどね。
時松 なるほど。体幹を安定させるのはお尻の位置なんですね。
週刊ゴルフダイジェスト2022年6月28日号より
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