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【PGAツアーHOTLINE】Vol.27 急上昇中のキャメロン・スミス。秘密はツアー随一のパット技術

PGAツアーアジア担当ディレクターのコーリー・ヨシムラさんが米ツアーのホットな情報をお届けする隔週連載「PGAツアーHOTLINE」。第27回はキャメロン・スミスの急上昇の秘密について。

ARRANGE/Mika Kawano PHOTO/KJR

転がりのいいパットのコツは「赤道ヒット」

スコッティ・シェフラーとともに今季台風の目になっているのが、オーストラリア出身のキャメロン・スミスです。ポイントランクも賞金ランクもシェフラーに次ぐ2位。ザ・プレーヤーズ選手権ではメジャーをしのぐ、史上最高の4億5000万円を稼ぎ出しました。

明確なのはスミスの勝因がティーショットではないということです。その証拠に6シーズンPGAツアーでプレーし、一度もストローク・ゲインド・オフ・ザ・ティー( ティーショットがスコアに与える影響/貢献度)部門で100位以内に入ったことがないのです。


今シーズンもマスターズ前のスタッツは145位。一方で彼はツアー屈指のパットの名手と称されています。ザ・プレーヤーズ選手権でもストローク・ゲインド・パッティング(パットの貢献度)は2.880。グリーン上のパフォーマンスが、彼をビッグイベントのチャンピオンに導きました。

前回シェフラーのブレークの鍵がパットだというお話をしました。そのシェフラーが10位にランクインしているストローク・ゲインド・パッティングで、スミスは3位。昨年も10位に入っており、躍進の陰にパッティングの技術向上が挙げられます。

キャメロン・スミスは今季9試合に出場して、トップ10が5回。そのうち2試合で優勝と絶好調。今年のプレジデンツカップでは、松山英樹とともに世界選抜を引っ張るチームの主力として、活躍が期待される

実はスミス、最初からパットが上手かったわけではありません。15-16年シーズンの同部門は108位。その後2シーズン続けて80位台に低迷しましたが、18-19年シーズンに59位、19-20年シーズン46位と徐々に順位を上げています。

これにはちょっとしたコツがあるようです。ボールの赤道をヒットするイメージに変えたことで、アッパーブローに球をとらえ、直進性の高いトップスピンをかけられるのだと彼は言います。

もう1つの武器はグリーンを狙うショット、つまりアイアンの精度。ストローク・ゲインド・アプローチ・トゥ・ザ・グリーン(グリーンを狙うショットの貢献度)部門は8位。しかし2年前、その分野でもトップ100圏外に甘んじていました。

アイアンの精度が飛躍的にアップ。そしてパッティングがツアーで3本の指に入るのですから、第5のメジャーでの優勝は必然。マスターズは惜しくも3位でしたが、今後、シェフラーと年間王者を争うかもしれませんね。

コーリー・ヨシムラ

PGAツアーのアジア全体のマーケティング&コミュニケーションディレクター。米ユタ州ソルトレーク出身でゴルフはHC6の腕前

週刊ゴルフダイジェスト2022年5月24日号より