【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.75 ホールインワンは調子がいいときは出ない?
高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Masaaki Nishimoto
先日、宝塚GC旧コースでアマチュアの人とまわっていて、16番パー3でホールインワンをしました。
アマチュアの人が、そこまでたびたび失敗してはったから、狙い方の解説をしてから打ったのです。
風はちょっとフォローで、距離は185ヤード。ピンは奥のマウンドの一番上に切ってありました。
「グリーンは硬いし、あの雲の上にポーンと放り上げといたら一番ええ感じで飛ぶんですよ」と説明してから、ポーンと打ったら、ちょうどそこに飛んで行ってポコッと入りました。
「言った通りでしょ」と。まあ、こんな解説通りにいくとは、まぐれもええとこですけど、説得力はありです。
僕のホールインワンはこれで18回目です。その経験からすると硬いグリーンにフック系の球筋でいったほうが入りやすい気がします。グリーンがソフトやと、落ちたところでピタリと止まってしまうことが多いですけど、硬いとボールが転がるので、それで入る確率が高くなるのかもしれません。
初めてのホールインワンは学生時代でしたけど、どこでどんなふうに入れたのかまったく記憶から抜け落ちています。
記憶に残っておるのは、やっぱり試合でのホールインワンです。91年の中日クラウンズ。セベ・バレステロスが優勝した大会です。
初日、17番ホールで入れたのははっきり覚えています。中日クラウンズでのホールインワンは、これが大会史上初やという話です。
一緒にまわっておったのは鈴木弘一さんと新関善美さんでした。157ヤードやったのですけど、台風並みのアゲンストの風が強くて、オナーやった飛ばし屋の鈴木さんは4番アイアンでグリーン奥に外しておりました。
それを見て僕は3番アイアンで打ちました。バーンと打ったら「あっ!入った」という感じです。
今ホールインワン賞は決勝ラウンドだけというのがほとんどですけど、あの頃は日本も景気がよかったんやね。初日やのに賞品はソアラ3000GTですわ。僕は新発売やった4000GTが欲しくて差額を払って替えてもらいました。
師匠は「ホールインワンはあまり調子がええときは出ない。限りなくカップインに近いショットが出ているときのほうがええんや」と言っておりましたけど、次の18番ホールはOBでスコア的にはいってこいでチャラでした。結局、結果は予選落ちやったのです。
奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2022年4月5日号より
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