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【わかったなんて言えません】Vol.59 杉山知靖#1「ストレスのないパーパットを打つマネジメント」

「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今週からのゲストは、9月のブリヂストンオープンで初優勝を飾った杉山知靖。実は2人は同級生で、昔から“杉ちゃん”“源ちゃん”と呼び合う仲。初回は、初優勝にもつながったマネジメントについてのお話。

ホスト/時松隆光

1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん”

ご指名/杉山知靖

神奈川生まれ。ツアー1勝。明徳義塾、中央学院大卒業後、15年プロ入り。レイクウッドコーポレーション所属。“人柄”にも注目!

前回のお話はこちら

時松 杉ちゃんと僕は同じ1993年生まれだけど、93年生まれは川村(昌弘)とか、変わりもんが多いよね。

杉山 僕も変わりもんです。

時松 確かに、変なところはあるけどね。

杉山 変なところって?

時松 稲森(佑貴)と帳尻が合う(気が合う)ところとか。

杉山 うん。帳尻合いまくってるもんね(笑)。

時松 でもゴルフに関しては同級生のなかでは一番真面目。練習ラウンドでも、きっちりコースチェックしてるし。どんなチェックポイントがあるの?

杉山 ゴルフで大事なのは、18ホールを通して「いかにストレスの少ないパーパットを重ねていくか」というのが基本にあると思うけど、僕は、そのために「5mくらいのバーディパットを打てるところにショットを打つためのマネジメント」を根本に置いているわけ。

時松 5mならバーディパットが外れても、ストレスのないパーパットになる可能性が高い。

杉山 だから、例年のホールロケーションを参考にしてピン位置をあらかじめ想定し、そのピンに対して5mのバーディパットを打てるベストルートを打っていくためのチェックをしている。でも、饅頭型のグリーンなんかだと、グリーンセンターから下りの5mのバーディパットを打つよりも、グリーン左横から上りのアプローチのほうがパーセーブの確率が高い場合もあるので、そういうときはピンを狙っていくマネジメントを選択することもあるけどね。

時松 あくまでも「ストレスのないパーパットを打つ」ことが基本にあるんだね。その「5mのバーディパットを打つマネジメント」の練習の積み重ねが、今年のツアー初優勝につながったわけでしょ。

「いつも5mのバーディパットを打てるベストルートを打っていくためのチェックをしています」(杉山)

杉山 たとえば最終日の15番ホールはエッジから4Yの右ピンで、本当はピンの右手前につけるのがベストだけど、でもそこは狭すぎるのでリスクが高い。それに、その日はずっとフックラインが入っていたので、むしろ、少し下りになるけど上につけたほうがフックラインが残るからバーディの可能性がある。それで、2打目をピンハイにつけられるピッチングで打てるように5Wでティーショットを打ち、結果的にバーディを取れた。

時松 すごいね。

杉山 いや、僕からしたら源ちゃんは練ランでもメモを持たない、あの感覚重視のやり方もすごいと思うよ。本当は、データも感覚もどちらも程よくというのがいいとも思うけど、僕はどちらかというと突き詰めすぎちゃうほうだから。源ちゃんはジュニアのときからずっとトップ選手だったし、あの感覚的な部分が僕には絶対にマネできないというか、入り込んでいったときの勢いは本当にすごいと思って見ていた。でも源ちゃんや(浅地)洋佑は昔からすごくいい奴だったし、仲よかったよね。佑貴は1つ年下だけど仲がよくて、いつも行動を共にしている。

時松 オフには鹿児島に行くんでしょ。

杉山 うん。合宿で、佑貴の実家の練習場『グリーンゴルフ』で球を打って、コースを回るけど、鹿児島は暖かくていいですよ。

時松 稲森といえばフェアウェイキープの鬼だけど、一緒に練習をしていてタメになることとかはあった?

杉山 うん。かなりいろいろアドバイスしてもらった。技術的なこともだけど、練習場ではターゲット意識を持って打つことが大事だということはいい勉強になりました。佑貴の実家の練習場の奥のネットに「250ヤード」の表示の看板が張ってあるけど、普通は「250」と1枚の看板に書かれている。でもあの練習場は、数字を「2」「5」「0」と分けて張ってある。初めて行ったときは、何でかなって不思議に思って聞いたら、佑貴はドライバーでその「2」を狙って練習をしていたと言う。そして「2」に当たったら、「5」「0」と狙いを変えて打っていたって。

時松 ドライバーで250Y先の小さな看板を狙うっていうのはすごいよね。

杉山 それまでは、ドライバーショットの練習では、タイミング重視の練習になっちゃっていたんだけど、それを見てからはしっかりとターゲットを狙って打つ練習をしている。

時松 それで、試合中のドライバーの精度とかも変わったの。

杉山 今までは漠然とフェアウェイの右サイド、左サイドというふうな狙い方をしていたけど、今は、奥の林のあの木のラインとか、バンカーの左端からドローとか、細かくターゲット意識を持って打つことで精度がよくなりました。

時松 そういうショットの正確さが、マネジメントに生かされ、それが初優勝につながったわけか。素晴らしいです。

週刊ゴルフダイジェスト2021年12月14日号より