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【わかったなんて言えません】Vol.57 比嘉一貴 #4「アマチュアに一番多い勘違いは“体重移動”」

「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今週のゲスト前回に続き、8月のセガサミーカップでツアー2勝目を挙げた比嘉一貴プロ。今回は、158センチの比嘉プロが平均290Y近くも飛ばせる秘密を深堀り。

ホスト/時松隆光

1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん”

ご指名/比嘉一貴

沖縄生まれ。ツアー2勝。本部高校、東北福祉大時代から活躍。17年プロ入り。158㎝と小柄ながらキレのあるショットが武器

前回のお話はこちら

時松 前回、バンカーショットのときに、アマチュアはバックスウィングを小さくして、大きなフォローで距離感を出そうとするけど、プロは大きなバックスウィングで、フォローはほとんど出さない打ち方をするという話をしました。こういったアマとプロの打ち方とかの違いについて、一貴はどう思う。

比嘉 バンカーショットって、手元を低くして球から離れるという飛ばない構えをしているから、そのぶん、振らないといけないんですよね。

時松 だからバックスウィングが大きくなるという理屈になる。

比嘉 あとバンカーショットで大事なのは裏側なんです。

時松 バウンスだよね。

比嘉 そう。このバウンスの部分を先に砂にぶつけないといけないのに、リーディングエッジを先に砂に付けちゃうからヘッドが砂に潜ったり跳ねたりしてミスになるんです。そこの使い方の違いが大きいです。

時松 プロアマなんかでも、そうやってアドバイスをするの?

比嘉 そうですね。それさえ意識したら絶対にボールは出ます。

時松 どうしたらもっと飛ばせるのかという質問も多いよね。

比嘉 めちゃくちゃ、聞かれます。小さいのに何でそんなに飛ぶの? とか。でも、プロアマに限らずゴルフをやる人は高齢の方も多い。そういった方たちに僕らプロがやっているような体の動かし方をアドバイスした場合、もしかしたら体を壊すかもしれないし、そこは難しいです。だから一番簡単なことはクラブを長くすることじゃないですかね。


時松 さっきのバンカーショットのように、アマチュアの人が勘違いしていることをアドバイスしたりとかは?

比嘉 それはあります。一番多い勘違いは体重移動です。多くの人は、バックスウィングで右に乗った重心は、ダウンスウィングで左に移してインパクトをすると考えていると思いますが、これは違います。バックスウィングで右サイドに重心を移したら、ダウンスウィングではその重心を左に移さずに、その重心が右サイドにあるまま打ってくださいと言います。

時松 ドライバーはティーアップして球が空中に浮いていますからね。

比嘉 右重心と左重心でどちらがクラブを振りやすいか、両足をそろえて振るとよくわかりますよ。長いクラブを、足をそろえて振ると、右足体重だと上手く振れるけど、左足体重では力が入らないので上手く振れません。このそろえた足を広げたらスウィングになりますから、これをやるとインパクトは頭も重心も右サイドのほうが振れるしヘッドも走ることがよくわかる。逆にダウンスウィングで左に体重移動をすることは、重心が左に乗っているより、左に流れているんだということもわかります。

「バンカーはバウンス使い、飛ばしは右重心が大事です」

「リーディングエッジをボールの手前の砂に入れようとするからトップしたりダフッたりする。またショットでは絶対にインパクトで頭や重心は右サイドにないと飛ばないです」(比嘉)

時松 飛距離アップにはトレーニングとかは必要と思う?

比嘉 飛距離もそうですけど、僕は体が小さいから、トレーニングをしないと戦えないんです。高校のときに、もうこれ以上身長も伸びないと言われたので、やるしかないと思って、それでやり始めました。

時松 どんなことをやるの。

比嘉 マシンも使いますし、いろいろです。筋肉を大きくするだけで体が硬くなって回らなくなってしまったら意味がないので、動ける筋肉を作るようにしていますね。

時松 そこはやっぱり人によって意見がいろいろあるよね。僕はデビッド・デュバルが、筋肉をつけすぎて失敗したという話を聞いていたから、筋トレはあまりしなかったんだけど。

比嘉 タイプによって、向き不向きみたいなものもあるかもしれないですよね。

時松 正解がわからない。ガリガリでもすごく飛ぶ人もいるし、体がデカくても飛ばない人もいるし。自分は、急にど~んとくるよりも1年でちょっとずつ成果が出るくらいのペースのほうがいいんじゃないかなと思ってやるようにしているけど、一貴はどんなペースでやっているの。

比嘉 シーズン中は、週イチで月曜日に、試合のときに筋肉痛が残らない程度に弱めの負荷でやってます。ツアーのフィットネスカーのプレジャーでやっているんですけど、源蔵さんとも6月に一緒になりましたね。あれ以来、会わないけど(笑)。

時松 あの後に腰を悪くしたので。最近、腰の調子もよくなってきたのでまた始めたけど、三日坊主なので、長く続けられるように5㎏くらいの軽めの重さでやってます。

比嘉 シーズン中は、自分の感覚が消えない程度のほうがよいですよね。

週刊ゴルフダイジェスト11月30日号より