Myゴルフダイジェスト

【世界基準を追いかけろ!】Vol.62「自分の感覚を言葉で表現できる選手は伸びます」

目澤秀憲と黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。今回は、選手からの問いかけ方で感じることを話してもらった。

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD プロコーチのシーズン終盤の仕事は、どういう動きですか。

黒宮 選手のシードを確定させることが第一で、次にQTに備えるという流れですね。

GD 見ている選手の今シーズンのシード獲得状況はどうですか。

目澤 今シーズンは僕がアメリカに行っていることが多いので、帰国できたときには契約選手を時間をかけて見るようにしてきました。でも河本結プロなどは、今まで日本にいたときと比べるとチェックする時間が少なくなっているので、良い方向には行っていないです。そこは今後どうしていくか話し合わないといけないですね。

黒宮 
僕の場合は、夏から見ている淺井咲希が49位、宮田成華が53位と、シード当落の前後にいます。

GD 2人はどんな経緯で見るようになったのですか?


黒宮 淺井は7月の資生堂レディスの少し前からで、宮田もそのあたりからです。宮田は最初に見たとき、右手のグリップがウィークで、バックスウィングでシャットに上げて、超カットスライスで打っていました。淺井はドライバーが打てなくなり、ティーショットを3Wで打つ状態になっていました。スウィングを見たら、持ち球はドローなのに出球が左に出るアライメントになっていて、まずはその部分を修正するようにアドバイスをしました。

GD 当初は、割と簡単なアドバイスにとどめていたわけですか。

黒宮 シーズン途中から自分が思った方向でスウィングを変えるようなレッスンはちょっと難しいのかなと思って。それに、そもそも僕はシーズン途中からの契約というのはあまりやらないんですよ。年初に契約してスケジュールを組んだ選手に支障が出たりするので。ですから二人は時間が合うときに見てアドバイスをしているという状態で、それで選手が良ければ来年、契約をするという形になります。

GD 成果はどうですか。

黒宮
 淺井は最初は様子見でしたが、その後、「ドライバー、何とかならないですかね?」と言われ、東海クラシックのときに練習場で、画用紙に絵を描いて「これだけでいいから、やり切ってほしい」と、スウィング中の体の動きとかを説明したんです。その週は、「感覚的に難しいです」と言っていたけれど、でも次第に「調子いいです。感覚的にも良くなりました」って連絡が入り、そのあとミヤギテレビ杯で2位に入ってくれました。淺井はゴルフ脳というか、ゴルフを考えるうえでの頭が良いと思います。

GD どうしてそう思うんですか。

黒宮 例えば、電話の応対にしても、「何でですかね?」と一方的に訊いてくる選手はなかなか伸びません。そうではなく「私はこうやっているんだけれど、どう思いますか?」という感じで話せる選手は、いずれは伸びます。自分の体の動きや感覚を言葉にできる能力があるということなので、これはスウィングを修正したり、新しく作るときに大事なんです。

目澤 コロナ禍でLINEなどでのやり取りが多くなる今は、そういう表現能力は一層大事になってきますよね。

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。13歳からゴルフを始め、日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに就任

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。09年中部ジュニア優勝。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。松田鈴英、梅山知宏らを指導

週刊ゴルフダイジェスト2021年11月16日号より