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【さとうの目】Vol.221 ラスムス&ニコライ・ホイガード「デンマーク期待の双子星」

鋭い視点とマニアックな解説でお馴染みの目利きプロ・佐藤信人が、いま注目しているプレーヤーについて熱く語る連載「うの目、たかの目、さとうの目」。今週の注目選手は欧州ツアーで兄弟で2週連続優勝を果たした双子のホイガード兄弟。

今回は欧州ツアーから2人の選手を紹介します。8月最終週のオメガ欧州マスターズで優勝したラスムス・ホイガードと、翌週のイタリアオープンで優勝したニコライ・ホイガード。デンマークの20歳の双子の兄弟が2週連続優勝を成し遂げたのです。

実はこの2人、18年のトヨタジュニアワールドカップで来日、ラスムスが個人優勝、ニコライが2位となり、初のデンマークの団体優勝に貢献しました。アイルランドで開催された同年の世界アマ国別対抗戦(アイゼンハワートロフィ)でも、ニコライが6位、ラスムスが8位で、やはりデンマークチームに初優勝をもたらしました。ちなみにこの大会、日本代表は金谷拓実、中島啓太、今野大喜で、金谷くんが個人で2位に。アメリカのコリン・モリカワ、ノルウェーのビクトール・ホブランがともに8位に入っています。


アマチュア時代、どちらかといえば兄・ニコライのほうが好成績を収めていました。ホブランを抑え欧州アマを制したのもニコライで、その資格でカーヌスティで開催された同年の全英オープンにも出場しています。アマチュアワールドランキングの最高位はニコライが5位、ラスムスが22位でした。

ともにプロ転向は18歳になる19年。その後少し先をいくのは、今度はラスムスです。チャレンジツアーの限られた推薦出場のなかでトップ10が7回、シード獲得には至りませんでしたが、秋のQスクールで5位に入り、20年シーズンの出場権を獲得します。一方のニコライは9月のKLMオープンで、優勝したセルヒオ・ガルシアに1打差に迫る2位になるもQTに失敗、51位で下部ツアーに回ります。

ラスムスは20年シーズン2戦目のモーリシャスオープンで、いきなり初優勝。18歳9カ月の優勝は欧州ツアー3番目の早さで、21世紀生まれで初の快挙となりました。コロナ禍で再開後の8月にはISPS HANDA UK選手権でプレーオフの末に2勝目を、さらに21年には東京オリンピックにも出場、8月末のオメガでは最終日に63を叩き出し大逆転で優勝、20歳で早くも3勝目です。一方のニコライはQスクールに失敗後、なかなか結果が出ません。20年は何試合か推薦で出て半分以上は予選落ちでトップ10はなし。前日の弟の優勝のおかげか、イタリアオープンは月曜日に決まった推薦出場でした。そこで優勝し、ようやくラスムスと同じ土俵に立ちました。

兄弟でライダーカップに出場することが2人の夢。2年後の会場は、ニコライがイタリアオープンで勝ったマルコ・シモーネG&CCです。2人の登場でデンマークのゴルフ界は盛り上がっています。トーマス・ビヨーンが「デンマークからもメジャーチャンピオンが生まれる予感。あと25年は楽しめる」といえば、ソレン・ケルドセンは「ローリー(マキロイ)が出てきた時以来の衝撃だ」と、同国の2人の重鎮が大絶賛。顔も体格もウェアも同じの双子の相乗効果の活躍が今から楽しみです。

スウィングもそっくり!

「顔も体格もドライバーの飛距離までよく似ていて、違いといえばスウィングのトップの大きさくらい(ニコライがややコンパクト)。ライダーカップで2人が同じユニフォームを着て4サムでコンビを組んだら、打順を間違えても誰も気づかないのではと思ってしまいます」(Photo by Andrew Redington/Getty Images)

佐藤信人

さとう・のぶひと。1970年生まれ、千葉出身。ツアー9勝。海外経験も豊富。現在はテレビなどで解説者としても活躍中

週刊ゴルフダイジェスト2021年10月12日号より

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