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【イザワの法則】Vol.11 「ダメだったら元に戻せばいい」思い切って変えたら上手くいっちゃった!

世界も認めた美スウィンガー・伊澤利光が、ゴルフで大切にしていることを語る連載「イザワの法則」第11回。今季、開幕から4戦連続トップ10と好調の伊澤プロ。レギュラー時代からの“パットのクセ”を見直したことが奏功したというが……。

TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)

前回のお話はこちら

パッティングのアドレスを
思い切って変えた

ずっと以前から、パターのフェースを少しだけ閉じてアドレスしておいて、インパクトではスクエアにして打つというのがクセでした。レギュラーツアーで賞金王になった頃もそうやって打ってましたし、あまりにも長い間そうしてたので、何の違和感もなかったんですが、米PGAツアーの中継を観ていて、ふと気づいたのは、誰もそんなやり方をしていないということだったんですね。テレビ中継だと、フェースの真正面から、どアップで撮った映像がよくありますが、みんなアドレスがスクエアでインパクトもスクエア。じゃあちょっと自分でも試してみようかと、練習し始めたのが今シーズンに入る少し前だったんです。


元々、フェースが左を向いているのが自分にとってのスクエアだったので、本来のスクエアに構えるとフェースが右を向いているように感じます。フェースを見てしまうと、この気持ち悪さは消えないので、パターに描かれているドットとかラインだけを見るようにしたら、何とかスクエアに構えられるようになりました。で、打ってみると、これが意外にいいわけです。今までは、スウィングでいうところの「ループスウィング」みたいな感覚があったんですが、そういうのは一切なく、シンプルに真っすぐストロークすればよくなった。これは「発見」でしたね。

プロ人生で初めて
ユーティリティをバッグに入れた

パッティングに関してはもうひとつ変えたことがあって、それは「リズム」です。今までは、スウィングと一緒で、インパクトに向かって加速する感じのリズムだったんですが、それを全体的にゆっくり、等速のリズムにしました。パターの上手い人、たとえば北村(晃一)くんのストロークを見ていて、「自分とは違ってゆったりしてるな」と思い、真似してみたんです。わかりやすく言うなら、「タップ式」を「ストローク式」に変えたという感じでしょうか。

今シーズンが始まった時点では、フェースの向きに関しても、リズムに関しても、「ダメだったら元に戻そう」くらいの気持ちだったんですが、試合でも問題なく打てるし、何より昨年より明らかに入るようになっているので、変更は現在も継続中です。自分の中ではかなり大きな変更だったので、完璧に自分のものになるまでには、まだ時間がかかりそうですが。

さらに今シーズンから、初めてユーティリティをバッグに入れました。これまで3番アイアンと5番ウッドでカバーしていたところを、21度のUT1本にして、その代わりウェッジを3本(47、51、58度)から、4本(46、50、54、58度)にしたんです。

長い距離は、カップまで15メートルでも、「乗ればナイスショット」というところがありますから、番手を細かく刻む必要もないかなとは、以前から思っていました。ただ、UTを使ったことがなかったので、ロフトとかシャフトとかの選定は少し大変でしたけどね。

ウェッジは4本にしたことで、距離が余っていて緩んだりとか、逆に足りないと思って強く入れたときに、スピンで戻りすぎたりということがなくなって、バーディチャンスにつくことが多くなりました。そのあたりが、今シーズン、成績がいい要因になっていると思います。

「ダメだったらやめようと思っていたけど
結果がいいので現在も継続中」

ユーティリティを初めて取り入れ、14本の戦略を見直したことで、バーディチャンスにつける確率が昨年より上がったという

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2021年10月号より