インターナショナルの勝利に必要なのはカリスマ性のあるリーダーの存在『プレジデンツカップ』
イリノイ州シカゴ近郊のメダイナCCで9月24日から米国 vs インターナショナル(欧州を除く世界選抜)のチーム対抗戦プレジデンツカップが開催される。2年に一度のビッグイベントに今年、松山英樹とともに久常涼が初出場することで注目されているが、そもそもプレジデンツカップとはどんな大会なのか?
PGAオブ・アメリカ主催の米国 vs 欧州のチーム戦ライダーカップに対抗し、PGAツアーがチャリティを目的に創設、主催するのがプレジデンツカップだ。開催国の元首を大会の名誉会長に据え今回は2017年に続きドナルド・トランプ大統領が2度目の名誉会長を務める。

1998年の第3回大会ではインターナショナルのホーム、ロイヤル・メルボルンGC(豪州)で丸山茂樹が躍動。チーム戦、シングルス戦と5戦5勝の負けなしで勝利に貢献しチームメイトのアーニー・エルスやビジェイ・シンらと喜びを分かち合った。
余談だがその大会で丸山はエルスらからポチャポチャしていることをからかわれ、それがきっかけで筋トレに励み筋肉質な体型に変身。そしてPGAツアーで3勝を積み上げたのはご存知の通り。
2連敗のあとの貴重な1勝を丸山の活躍で勝ち取ったインターナショナルが今後強豪揃いのアメリカと対等に戦うのでは? と期待されたが現在までメルボルン大会の1勝にとどまっている。
2003年の南ア大会ではジャック・ニクラス率いる米チームとゲーリー・プレーヤー率いるインターナショナルのエース、タイガー・ウッズとエルスがプレーオフに挑んだが決着がつかず17対17ポイントで引き分けている。
しかしそれ以降アメリカの勝利が続き現在米チームの13勝1敗1分とインターナショナルの劣勢が続いている。
思えばライダーカップもそんな時代があった。米国 vs イングランド&アイルランド連合だった時代にアメリカが勝ち続け1971年からヨーロッパ大陸も含め米国 vs 欧州の対抗戦になった。しかしそれでもアメリカの優勢は続いた。
そんな時代救世主となったのがスペインのカリスマ、セベ・バレステロスだった。1983年アメリカで開催された大会で接戦を演じた欧州は惜しくも1ポイント差(14.5対13.5)で敗れた。
意気消沈するメンバーたち。だが敗戦にうなだれる選手が集まったチームルームの扉を開け大股で部屋に入ってきたセベはこういい放った。
「アウェイで勝利まであと1ポイントに迫ったんだ。これは勝利に等しいといっていいんじゃないか! 祝杯をあげるべきだろ?」
それを聞いたメンバーたちは顔を上げ互いの顔を見つめ合った。そして背筋を伸ばしセベの音頭に合わせグラスを掲げ乾杯。まるで勝利の美酒であるかのようにワインを飲み干した。
敗戦チームの部屋から笑い声が聞こえてきたため米チームは「何が起きたのか?」と訝しがったというエピソードもある。
僅差の敗戦の次の回から欧州チームは2連覇(1985年&87年)を達成した。初めてスペイン(バルデラマGC)で開催され87年はセベがキャプテンを務めチームを勝利に導いた。
以来、昨年のベスページ(ニューヨーク)大会までにヨーロッパは9勝4敗と世界ランク上位者が揃う米チーム相手に圧倒的優位を保っている。
目下10連敗中のインターナショナルに必要なのは劣勢を一気に引っくり返すような雰囲気を作れるセベのようなカリスマの存在なのかもしれない。
大会最多タイの12回目出場を誇るアダム・スコットも素晴らしい選手だがやさし過ぎる。松山英樹も個人としては偉大だがチームを率先して引っ張るようなキャラではない。
希望的観測としてはトム・キムやミンウー・リー、あるいは久常といった若手がムードメーカーになってチームを盛り上げ勝利へと突き進むシナリオを実現してくれたら最高だが。
好調なメンバーが揃った今回こそメルボルン大会以来28年ぶり2度目の勝利に歓喜する世界選抜の勇姿が見たい。

■ 米国選抜(キャプテン:ブラント・スネデカー)
<自動選出>
スコッティ・シェフラー
キャメロン・ヤング
ウィンダム・クラーク
ラッセル・ヘンリー
サム・バーンズ
コリン・モリカワ
<キャプテン推薦>
クリス・ゴッタラップ
ザンダー・シャウフェレ
ジャスティン・トーマス
パトリック・カントレー
ジェイコブ・ブリッジマン
ジャクソン・コイブン
■ 世界選抜(キャプテン:ジェフ・オギルビー)
<自動選出>
キム・シウー(韓国)
松山英樹(日本)
ライアン・フォックス(ニュージーランド)
トム・キム(韓国)
ミンウー・リー(オーストラリア)
アダム・スコット(オーストラリア)
<キャプテン推薦>
コーリー・コナーズ(カナダ)
ニコ・エチャバリア(コロンビア)
イム・ソンジェ(韓国)
久常涼(日本)
ニック・テーラー(カナダ)
クリスティアン・ベゾイデンハウト(南アフリカ)

文/川野美佳
米サンディエゴ州立大学留学を経て1990年代から「週刊ゴルフダイジェスト」「Choice」を中心に執筆を開始。主な翻訳書に『タイガー・ウッズ私のゴルフ論』(テレビ朝日)『タイガー・ウッズ:もうひとつのインサイドストーリー』(日本ヴォーグ社)『ブッチ・ハーモンの勝者のゴルフ: タイガー・ウッズを育てた名伯楽』(小池書院)など。ジャック・ニクラス、ゲーリー・プレーヤー、トム・ワトソンなど海外のレジェンドゴルファーへのインタビューを多数行っている


レッスン
ギア
プロ・トーナメント
コース・プレー
書籍・コミック




















