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【スウィング研究】「個性的だけど理にかなっている」金子駆大、生源寺龍憲、清水大成…初優勝を挙げた5人のスウィング

今季ここまでの8戦のうち、初優勝を果たした5人のスウィングを、合田洋プロが解説した。

PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Hiroaki Arihara

解説/合田洋
1964年生まれ。1994年日本プロ優勝。現在は自身主宰のGスタジオでゴルファーを指導。スウィング分析に一家言あり

かねこ・こうた。2002年9月4日生まれ、愛知県出身。ルネサンス豊田高3年時にプロテスト合格。今季は関西オープン初優勝のほかに日本プロ3位タイ、日本ゴルフツアー選手権3位タイと活躍中

フェース面がずっと変わらないから
曲がらないし、曲げやすい

高校卒業後、大学へ進学せずに即プロの世界に飛び込んだ金子駆大。現在パーキープ率が1位、フェアウェイキープ率が5位と、正確なショットを武器に躍進している。

「まず特徴的なのが、見てわかるように顔の向きです。バックスウィングで顔を右方向に向けながら右に体重移動してクラブを上げ、コンパクトな位置にクラブを収めます。そこから、脚がガニ股になるように踏み込んで左へ体重をシフト。ダウンスウィングではその左ひざが流れないようにしっかり我慢して、インパクトではひじや左肩をアドレス時と変わらない高さに保って球をとらえています。この形だけを見れば顔が右を向いていたなんて考えられないくらい完璧なインパクトです。

個性的なスウィングですが、3メートルくらいの巨人がクラブを振った感じを、177センチ(金子の身長)の人がやるとこういう感じになるのかなという印象。つまり、クラブの動き自体はものすごく緩慢になるので、フェース面が長く変わらないで球を打てる。球は曲がらないだろうし、球を左右に曲げるのも簡単。球の打ち分けがしやすいスウィングとも言えます。ドライバーは曲がらず、パーをキープしながらバーディを狙える試合巧者のプレースタイルがスウィングからうかがえます。

顔がずっと右に残っているのは世界的にも珍しく、強いて言うのであればリー・ウエストウッドくらい。でもスウィングだけを考えれば、私には金子プロのほうが良く感じます。

顔を右に向けるのは体を深く入れたいからでしょう。逆に言うと体がかなり硬そうなのが心配。もう少し体全体の柔軟性が出てきたら飛距離も伸びるはずですし、ケガのリスクも下がる。ものすごいポテンシャルの持ち主で将来が楽しみな選手。期待しています」


しょうげんじ・たつのり。1998年5月15日生まれ、山口県出身。岡山県作陽高では渋野日向子と同級生。昨年初シード、今季序盤の8戦でトップ10が5回

脚の動きはダイナミックだが
軸が太くブレない

「始動で手元の位置を変えずにヘッドだけ大きく動かしていき、ハーフウェイバックからその手首の角度を保って上げます。切り返しで左右の股関節を同時に動かすため、タイミングが少し変則ですが、その分球が飛ぶはず。脚がアクティブに動いてダウンスウィングで左ひざが流れそうなのが気になりますが、軸が太くしっかりしているのでそれをカバーできています。強いフックグリップで、フェード一本で勝負する選手だと思います」

こにし・たかのり。1992年1月16日生まれ、東京都出身。高校卒業後、研修生になり2012年プロテスト合格。今季から登録名を平仮名に変更

左股関節の動きを
生かしたスウィング

「左サイドを固めたアドレスから基本に忠実にクラブを上げていきます。全体を通して左の股関節の力を使ってスウィングしているイメージですが、インパクトからフォローにかけて地面反力を使いながら左腰を後方へ上手に抜いている印象です。スタッツ的にもどこかが飛び抜けているのではなく、総合力と根性でスコアをまとめるタイプ、まだ粗削りな部分も多いので、今後どんなふうに変わっていけるかにも注目です」

しみず・たいせい。1999年1月17日生まれ、福岡県出身。地元の桜美式ゴルフで、左右の手を絡めないテンフィンガーグリップで育ち日大へ進学

右股関節の回転が
強力なパワーを生む

「基本に忠実なバックスウィングですが、右股関節の回転が松山英樹選手のように大きい。切り返しも右の股関節で行っていますが、切り返しで右の股関節が入ってくるので頭の位置が下がり、背中がかなりねじれているのが分かります。このパワーがドライバーの飛距離とアイアンでの球の高さを可能にしています。ただ、フォローにかけての頭の起き上がりが少し早いので、もう少し遅いほうが安定するでしょう」

あくつ・みくや。1995年3月17日生まれ、栃木県出身。作新学院高から日大に進学し、2016年プロ転向。2021年初シード獲得。昨年から選手会副会長

左腕の動きだけに集中
独創的スウィング

「テークバックで両ひじの間隔(三角形)を保つのが一般的ですが、彼はメチャクチャ崩してトップを作ります。切り返しからも脚を動かさずに、ヘッドだけを大きく動かします。下半身で力を生み出すことは一切考えず、左腕の動きだけに集中しているのでしょう。左肩とグリップを支点にした二重振り子のタイミングが彼の生命線で、トップで右ひじを曲げて三角形を崩すのも左手の動きのためです」

週刊ゴルフダイジェスト2025年7月8日号より