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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.230「難関コースと戦う姿を見よ」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

>>前回のお話はこちら

  • 高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。 >>前回のお話はこちら 僕が2月にタイで突然襲われた「ギックリ背中」は、胸の真裏あたりの背中が激しく痛むもので、正式には「筋・筋膜性疼痛症候群」いうて、背中の筋肉や筋膜が肉離れのような状態になってしまうようです。ギック……

今週は全米オープン、会場は屈指の難コース、オークモントCCです。2007年に全米オープンが開催されたときはタイガーが、「ハンディ10のプレーヤーがプレーしても100は切れない」と試合前にコメントしたモンスターコース。今年はどんな展開になるか楽しみです。

僕らのナショナルオープン、日本オープンもセッティングは非常に厳しい。優勝した1993年の琵琶湖CCで開催された大会で僕は、稲みたいなラフで、見えへんボールを3回打ちましたから。優勝したから言うわけやないけど、あの大会で僕は3アンダーで2位のジャンボは2オーバーでしたからね。信じられへんですよね。

女子ツアーなんかでも、日本女子オープンはスコアは悪くなります。バーディ合戦で23アンダー同士で優勝争うんも面白いけど、しのいでしのいでチャンスが来たらバーディを取るいう試合も、プロが見せるゴルフですから。


公式戦以外でも、男子の中日クラウンズみたいにグリーンが小さくて硬くて、ラフも深くして、風が強くなるとアンダーパーは出ないやないですか。男子の試合の妙はソコにある。硬いグリーンと風です。

春先は芝の新芽が生えそろう3月から5月までは、春の嵐によって乾いたグリーンでコンパクションは25以上になる(トーナメントの平均値は24)。

これがスコアを作るのを難しくする。25以上のコンパクションで11.5~12フィートの速さのグリーンにすると、そらもう一気にスコアは出なくなりますからね。

秋は、夏の青々した芝がちょっと薄くなってき始めて、そこに秋の風が吹くとまた難しい。レギュラー時代の僕は、春と秋のこの時期が稼ぎどころやったんです。

よく選手に個性がなくなったと言われるけれど、コースによって個性を出すトーナメントを作るいうことも活性化のひとつかなと思います。

和合の16番のパー3で左の崖下にボールを落とすとダボは覚悟とか、川奈の深いアリソンバンカーからの脱出とか、コース名物の難関をどうやって打つんかを見たい人は多いはず。

そういう特徴的なコースをアピールする設定や試合作りをもっと増やしてほしい思います。

「僕が勝った日本オープンも難コースでした。それと闘う男子プロを見るんは、ひとつの醍醐味やと思います」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2025年6月24日号より