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【インタビュー】河本力「練習したいって強く思えるのは、状態が良いとき」

今週、国内男子ツアーがいよいよ開幕。今年注目のプロ4人に、オフの過ごし方、ゴルフへの向き合い方、今年の目標をインタビュー! 3人目は、男子ツアーきっての飛ばし屋・河本力。

PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki、Shinji Osawa

河本力 かわもと・りき。大和証券所属。00年愛媛県出身。ジュニア時代から活躍、松山聖稜高、日体大を経て21年プロ入り。ルーキーイヤーの22年に2勝。圧倒的な飛距離が武器。24年のドライビングディスタンスは319.25Y、賞金ランクは23位

姉からもらったアプローチのヒント
「ゾーンで打つ」

河本力は飛ばし屋だ。体の大きさも相まって豪快なイメージに見える。明るく楽しいが、とても人を気遣う人間でもある。

昨年は夏頃から結果が出なくてとてもつらかった。開幕少し前からアプローチが怖くて打てなくなる感じがあった。“飛ばし屋”には、ムリにでも狙える楽しみと、グリーンを外すリスクがある。それらをアプローチで支えていた。

「アプローチは大学時代から自信があったんです。でも、よりスピンをかけるため、ヘッドをスティープに入れていたらトップしたり、ザックリも出るようになりました。ショットにも影響してきて……」

一人で悩んでいたとき、横浜ミナトチャンピオンシップの試合に姉・結が応援に来た。そこで力を見た瞬間、「アプローチの距離感、クラブの入れ方がおかしい」と指摘されたという。

「自分でも薄々と感じていました。でも、僕、やり続けることは得意なので、そうしていたら本当におかしくなった。でもそのとき姉が『ゾーンで打つ感じがいい』と画期的なヒントをくれて。このオフの合宿は、一日中アプローチを1人で練習することもあります。やり続けること、得意なので(笑)」

ドライビングディスタンスは3年間ずっと1位だ。「それだけ飛べば、海外で活躍できるよ」という言葉をあちこちで聞くだろう。それに対し河本は嫌気がさしているのではないか。「そんなことはない」とやさしく笑い、「レジェンドの方などに言われるのはめっちゃ嬉しいですよ。逆に、日本できちんと土台を作って行けって言ってくださる方もいて」。河本の心遣いはこういう言葉に出る。

「大変なときはどうしたって大変。そういうときは……練習ですね! めっちゃ球を打つ(笑)。僕は人を受け入れるほうなんです。でも、自分に合わないものの判断ができていなかった。いろいろと変えてみたことが裏目に出ていました」

しかし、変えること自体は全然怖くないと河本。

「調子が悪くなっても、変えようとしたことに関して、間違いはなかったと思います。僕の所属先の大和証券グループのキャッチコピー『常に変化、さらに変化』みたいな感じ。いい言葉ですよね」 

長年一緒だったコーチといったん距離を置いたこのオフ。トレーナーたちと相談しながら、自主練習でアプローチの改善に集中的に取り組んできた。昨季からお願いしている管理栄養士が合宿にも来て徹底管理。豪華なバイキングを目の前にしても「油モノは選びません」と和食中心の食事。「体調管理で風邪もひかなくなりました」。

沖縄、宮崎、最後は地元愛媛で合宿してシーズンを迎える。

「練習したいってこんなに強く思えるのは、状態がよいとき、取り組みたいことが明確なとき。だから今の自分はイケてるなって」

髪にパーマをかけた河本力。少し大人びた感じがする。

「忙しくて美容院に行けなかっただけです。周りもいいねって。何となく気分も変わりますよね」

今年の目標は?

「今年25歳になります。25でアメリカに挑戦することを昔から決めていた。そのステージに立つためにも絶対賞金王になっていないといけない。PGAツアーのQTは受けようと思っていますけど、そこにもつながることです」

今、河本力の顔は明るい。そして強さも加わった。2025年、決意を持って戦っていく。

週刊ゴルフダイジェスト2025年4月22日号より