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【インタビュー】横峯さくら<前編>プロ入り22年目のシーズンへ「全力で優勝を目指します」

プロ入り22年目を迎えた横峯さくら。ツアー通算23勝の実績とともに今も戦い続けている。QTランキング28位の資格で参戦するシーズンを前に、母としての喜び、ツアープロとしての苦悩、ゴルフや人生への思いを聞いた。

TEXT/Masaaki Furuya PHOTO/Shinji Osawa、Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki、Shizuka Minami

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「優勝」を全力で目指す
それが恩返しとなる

――横峯さんがツアープロにこだわるのは、なぜですか。

横峯 以前から30歳で引退しようと決めていたんです。その当時のことを考えると、ゴルフとプライベートの幸せとがつながっていないということがすごくあったのかなと思っていて、それで2014年に結婚して、専業主婦になろうと思っていたんです。でもその頃、夫(キャディでメンタルコーチの森川陽太郎氏)に「自分はずっとゴルフが好きではなかった」という話をしたときに、「さくらは何か夢はなかったの」と聞かれ、「アメリカツアーでプレーしたかったかも」と軽く言ったら、「じゃあ予選会を受けてアメリカに行こうよ」と言われて。夫にしてみたら、ずっと続けてきたゴルフなのに、好きではないまま終わるのはもったいないなと思ったらしくて。それでその年に予選会を通って、2015年から(米ツアーに)参戦することになったんです。

――それでゴルフを続けることになったわけですね。

横峯 アメリカツアーでは、妊娠してお腹が大きくても試合に出ている選手が何人もいたり、奥さんが選手で旦那さんがキャディで、子ども2人と家族で試合会場やホテルで一緒にご飯を食べているのを見て、私からすると「えっ、結婚してお母さんになってもゴルフって続けられるの」という感じで驚きました。それはツアー会場に託児所があるからできることだって、後でわかったんですけど。

――ツアープロとして続けられる環境が向こうにはあったと。

横峯 そうですね。プロゴルファーとして、そしてお母さんになっても、というところですよね。アメリカでは、ママさんでも優勝したり、そういう選手はいっぱいいます。それはツアーに託児所があって、出産後もママさんゴルファーが安心して戻ってくることができる環境があるから。託児所がなかったら、ママさんになったときの選択肢が狭まってしまう。それで(帰国して)今は自分の子どもが生まれて、ツアーに託児所が欲しいですって声を上げている状態です。

――横峯さんが先頭に立って改革をしていこうと。

横峯 いえいえ。多分、最初にそういったことで声を上げられたのは茂木宏美さんで、今は私がそのバトンをもらったという感じですかね。

――今、お子さんは。

横峯 4歳になります。幼稚園ではないんですけど「キンダーガーデン」みたいなところに行っています。ツアーに連れて転戦しているので、幼稚園にはなかなか預けられません。だから試合に連れていって、日曜日に試合が終わったら、月、火曜日に預けようと思っています。子どもをキンダーガーデンに預け始めてから、年間通してツアーに出るということはまだやったことがなくて、今年が初めてなんです。

――今シーズンの予定は。

横峯 とりあえず前半戦、出られる試合が16試合あります。そのなかで子どもを連れて、移動距離や自分の体の休養もいろいろ考えながら休みも取っていこうと考えています。

――今シーズンの目標は、シード権獲得ですか。

横峯 優勝です。今、なぜ優勝したいかというと、本当に応援してくださるファンの方だったり、スポンサーの方だったり、もちろん家族に対しても、私に恩返しができるとしたら、それは優勝なのかなっていうふうに考えているので、そこを全力で目指したいと思っているんです。

女子ゴルフ界を引っ張り続けてきた宮里藍と。宮里も今は“ママさん”となった(左)/20年のTOTOジャパンクラシックに妊娠7カ月で出場。日本で風穴を開ける存在だ(右上)/キャディでありメンタルコーチでもある夫は、いつも“気付き″を与えてくれる(右下)

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週刊ゴルフダイジェスト2025年3月11日号より