【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.205「海外挑戦における英語力」
高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Masaaki Nishimoto
24年のシーズンも終わりを迎え、あとはQTなどで来季の出場権を得るためのそれぞれの戦いが残っています。既に来年の海外ツアーの出場権を獲得した選手も数人いてます。
TOTOジャパンクラシックで優勝した女子の竹田麗央さん。それに星野陸也くんがDPワールドツアーのポイントランキングで、来季米ツアー出場権を9番目で確保。シニアでも藤田寛之くんが来シーズンのフルシード権を獲得しました。
以前も言いましたけど、ツアー全体がグローバル化しつつあるわけやし、選手はレベルも賞金もより高いところで戦いたいという気持ちを持っているんですから、トップレベルの選手は今後もどんどんと海外に出ていきますし、また出ていかんと本人のレベルアップにもつながりません。
ただね、いくらボーダーレス化と言うても、言葉の障壁いうんはあるわけで、日本人はこれが最大の懸案の一つですわ。今は携帯電話の翻訳アプリでちょっとしたコミュニケーションを取れるけど、やっぱり普通に英語がしゃべれればそら楽ですよ。
僕が欧州のシニアツアーに出たときの経験談ですが、英語ができたらなあ思いました。試合中も移動も日常生活も、英語がしゃべれたらすごい楽ですし、しゃべれんことのストレスはプレーにも少なからず影響してきます。
もちろん馴れたら気にせんとできるようになるんやろうけど、僕なんかはシーズン通してやなく、5戦とか3戦だけ行くという形でしたから馴れる前に円形脱毛症になりました。というんも、僕はなまじちょっと英語がしゃべれたんで、これがあかんかった。わからんかったらジェスチャーでいくとかすればいいのに、性格的なこともあって、なんとか英語でしゃべろうとする。結局それがストレスにつながりましたね。
選手によっては英語がしゃべれるキャディを帯同するわけですが、そしたら全部、キャディに頼ることになってくる。これがまたよくない。ある程度わからんでも、自分でやったほうが鍛えられて身に付きますよ。ナビゲーションを使ってたら道を覚えんというのと同じですわ。
ゴルフも英語力も、海外に出て経験を積むことでレベルアップするんは間違いないです。
「ゴルフも英語力も、自分でやって鍛えられて身に付くんです」
奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2024年12月10日号より