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【PGAツアーエキスプレス】Vol.37 松山英樹「今やるべきことをがむしゃらにやり続けてきただけ」

ゴルフの最先端、PGAツアーの旬なネタをお届けする「PGAツアーエキスプレス」。第37回は、松山英樹のPGAツアーでの10年間を振り返る。

取材/コーリー・ヨシムラ(PGAツアー アジア担当ディレクター)

松山英樹 まつやまひでき。1992年生まれ、愛媛県出身。2013年にプロ転向、その年4勝を挙げ初のルーキー賞金王に。14年から主戦場をPGAツアーに移し、10年経った今でも第一線で活躍している (Photo by Keyur Khamar/PGA TOUR)

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勝利数だけでは評価できない
松山の凄さとは?

昨年の全英オープンを制したブライアン・ハーマンは通算2勝を挙げているマット・エブリーと10年前の会話を振り返っていた。

「ある若い選手と一緒に回ったとき、彼にはたくさんのカメラマンが付いていてとても緊張している様子だった。ゴロに近いティーショットが2回続いたのを見て、『この選手には将来性がない』と、マットと話していた。それが松山英樹だったんだ」

その見立てを見事に裏切り、松山は現在アジア人最多のPGAツアー9勝を誇るだけでなく、2021年にはグリーンジャケットにも袖を通した。

「マットと話すんだ。あの予想は見事に外れたよねって(笑)」

松山がザ・メモリアルトーナメントでPGAツアー初優勝を飾ってから10年となる。大会を主催するゴルフ界のレジェンド、ジャック・ニクラスは当時のことを鮮明に覚えている。

「彼の優勝を見て、これからきっと多くの大会で優勝し、メジャーもいくつも取るだろうと周りに話していた」とニクラス。「こっちでプレーする前から彼は素晴らしい選手だった。そうでなければそもそもPGAツアーでプレーできないからね。それは誰もがわかっていたことだよ」

親日家で知られるアダム・スコットも松山の初優勝を間近で見ていた一人。

「数ホールを残し、自分に優勝のチャンスがなくなったと感じた時点で、ヒデキに勝ってほしいという気持ちになったよ。彼がビッグな大会で優勝し、大きな一歩を踏み出すところを見たかったから。彼は素晴らしいプレーを続け、見事それをやり遂げた」

アダム・スコットは松山のすごさを語るとき、単純に勝利数では評価できないと言う。

「見過ごされがちなのは彼の安定感だ。これまでの10年間、毎年のようにどれほど素晴らしいゴルフを続けてきたか。それこそが彼の本当の功績だろう」

Photo by Jared C. Tilton/Getty Images

松山自身は、これほどの名声を誇り、敬意を示されながらもスポットライトを浴びることを好まず、功績に関しては極めて控えめな態度を保っている。

「これまでのことよりこれから頑張っていきたい気持ちが強い。ただ、後輩たちが徐々に活躍しているのを見ると、自分たちもできるんじゃないかって思ってもらえるように少しはなったんだと思う。これはすごく大きいこと。自分ももっと頑張って、彼らと勝負できたら一番嬉しい。今やるべきことをがむしゃらにやることが結果につながっているだけ。成功の秘訣というのはないんです」(松山)

レジェンドも脱帽の適応力

「言語が異なる国から来た選手にとって生活するだけでも大変。これはすごいことだよ」と、ニクラス

松山に続く若武者たちがぞくぞく登場

久常涼、中島啓太、桂川有人など、海外のツアーで優勝する日本人が出てきた。いいライバル関係が日本ゴルフの底上げにつながる

月刊ゴルフダイジェスト2024年8月号より

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