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【インタビュー】西村優菜<前編>「トリッキーなコースのほうがチャンスがあると思います」

米ツアー挑戦1年目でシード権を獲得し、2年目のシーズンを迎えた西村優菜。オフの間にショートゲームをレベルアップして、ただいまサンドセーブ率1位、平均パット5位という西村に、現状の課題や今後の展望について聞いてみた。

TEXT&PHOTO/Yasuhiro JJ Tanabe

西村優菜 2000年生まれ。大阪府出身。ジュニア時代から頭角を現し、2020年プロ入り。プラチナ世代を代表するひとりで日本ツアー6勝。昨シーズンからアメリカ女子ツアーに参戦し、シード権を獲得。ロレックスランキング71位(5/22時点)

「飛距離の差をカバーするには
ショートゲームを磨くしかないんです」

――米女子ツアーのQTのとき、目標の20位に届かなくて、「戦えないんじゃないか」と少し弱気になっていましたが、去年一年間戦ってみて、そのあたりの気持ちは変わりましたか? 

西村 トップを見ると、まだまだ遠いと思います。でも、必死にやりながら、いろんなことを感じながらシードは取れたので、いまは「戦えない」とは思っていないです。でも、上との差はまだまだあるな、とは感じます。

2022年12月、米女子ツアーの出場権を懸けたQシリーズでメンバーカードを獲得した。前半戦をほぼすべて出場できる20位以内に2打足りず、ホールアウト後には涙を流していた西村は、この時点では米ツアーに挑戦するかどうか迷っていたという

――それは飛距離ですか?

西村 飛距離もそうですし、日本のように飛距離をカバーできるホールがあまりないので難しさを感じています。たとえば日本だと、パー5のサードショットでしっかりつけてとか、ショット力でカバーできたんです。でも、アメリカではグリーンが硬かったり、ピンを狙えなかったりという状況が多くて、必死に攻めてバーディを取れるパー5が日本ほど多くないんです。だからこそ、飛距離のギャップを感じてしまうというか、ほかをもっともっと強化しないと、飛ばせる選手には追い付かないなって思っています。

――何を強化したいですか?

西村 ショートゲームとパッティングでカバーするしかない! って思っています。

――スタッツを見ると、サンドセーブ率が1位です。それと、平均パット数が5位、パーオンしたときのパット数も11位ですよ。

西村 このオフは、アプローチとパットを強化したので、数字に出てくれるのは嬉しいですね。

――アメリカで勝つということは、どういうふうに考えていますか?

西村 まずは優勝争いをする回数を増やしたいと思います。その中でチャンスがあれば、っていう感じです。日本よりチャンスが少ないと思うので、「ここはいけるな」っていう自分の得意コースをどんどん経験して、そういう試合にピークを合わせるということも考えています。

「ちょっとトリッキーなコースが
私には合っていると思います」

――今年は一つメジャーが終わって、次は全米女子オープンですが、メジャーに関してはどのように考えていますか?

西村 メジャーは昔からの一番大きな目標でもあるんですが、シェブロンとエビアン以外はコースが変わるので、その難しさがあるなって感じています。

――勝機があるとすれば、どういうコースでしょうか?

西村 ちょっとトリッキーなほうがいいかもしれないです。たとえばシェブロンのコースは、割と広くて距離があるので、やっぱり飛ぶ人に有利なんです。エビアンのようなトリッキーなコースのほうが戦いやすいとは思っています。

――今年の全米女子プロは、コースの木が大きくて、その木の間を縫っていくようなコースだったと思います。フェアウェイの真ん中に木があるホールもあって、距離も長くはなかったはずで、チャンスがあるかもしれませんね。

西村 そうなんですか。どんなコースか早く見たいです。メジャーはいつもすごく楽しみですから。

――去年は確かアーカンソー選手権で、ホントにちゃんと優勝争いをしたのは初めて、と言っていましたね?

西村 そうです。優勝争いの緊張感は、やっぱり20~30位で戦っているのとは全然違うんです。優勝に近づくには、優勝争いの緊張感の中でどれだけ自分のゴルフができるかがとても大事で、今シーズンはまだできていないので、まずはそこかなと思っています。

コグニザント・ファウンダーズカップの練習日。ドライビングレンジで準備体操を始める西村の横には、母親の枝里子さんがいる。スケジュール管理はもちろん、体調の管理、食事のサポートまですべてを任せられる枝里子さんがいるからこそ、長距離移動を伴うハードな連戦にベストコンディションで臨むことができる

コグニザントファウンダーズカップが開催されたアッパーモントクレアCCは、ニューヨーク州に隣接するニュージャージー州にある。緯度でいえば秋田や岩手と同程度だが、春が短く、夏が長いアメリカの東海岸エリアは、日本より紫外線が圧倒的に強い。日本では集中力を高めるためにサングラスをかける選手もいるが、アメリカでは目を保護するための必須アイテムだ

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週刊ゴルフダイジェスト2024年6月11日号より