【開幕直前インタビュー】杉原大河「シーズン中にスウィング改造。松山さんのすべてが勉強になりました」
今週、いよいよ国内男子ツアーが開幕する。若手の台頭もあり見ごたえのある試合も、魅力ある選手も増えている男子ツアー。今回は若手の注目株4人を直撃! 最後は、真面目な飛ばし屋・杉原大河。
PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroaki Arihara、Hiroyuki Okazawa、Blue Sky Photos
>>国内男子ツアー開幕直前インタビュー!
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「PGAを見据えて、空回りしない自信をつけていきたい」
杉原大河はプロ入り後、22年はABEMAツアーで10位に入り“裏シード”獲得。23年は同ツアーの開幕戦で優勝、レギュラーツアーでも初シード獲得。成績を文字にすると、着々とステップアップしているように見える。
しかし、杉原本人は、「結果的にシードは取れましたけど、今年は苦しいことがすごく多いシーズンでした。レギュラーの開幕戦で予選落ちして、翌週にABEMAで優勝できましたけど、またレギュラーの関西オープンで予選落ち。好不調の波が大きくて。予選落ちが続くと今週も厳しいんじゃないかと自信もなくなっていくんです」
調子はよくなかった。とにかくショットが曲がったという。
「すると振れないので飛距離も出ない。そういう負のループに入って。よくなったと思っても、試合になったらまったくダメで……もうゴルフしたくない、しんどい、と思っていました」
飛ばし屋の杉原が自分の武器に恐れを感じる状態に陥っていた。
「日本オープンの予選も落ち、賞金は900万円ほど稼げていてあと少しでシードでしたけど、この状態では本当に無理だろうと思って。そのとき松山さんがちょうど帰国されているタイミングで一緒に練習させていただいたんです」
大学の先輩でPGAのトッププロ、松山英樹の門を叩いたのだ。
「こんなに悪いんだから壊れてもいいと。松山さんにも『スウィング、本当に直す覚悟でいるので、気づいたことがあれば何でも言ってください』と。『シーズン中だけど大丈夫なの?』と言われましたけど、結果的にそこからいい方向に向き始め、おかげさまでシードが取れたという感じです」
スウィングを変えたというより、いいときの動きを動画で見せながら、比較し、指摘してもらった。
「経験値はもちろん、ゴルフに対しての知識もすごいですし、松山さん自体もスウィングを変えてこられているのですごく納得できるんです」
「アメリカで、松山さんのすべてが勉強になった」
「僕がお願いしようとしたら声を掛けていただいて」。松山の自宅に泊まり、ゴルフはもちろんトレーニングや食事など、PGAツアーのトッププロの生活を垣間見れたことは大きな財産となる
一番のポイントは、切り返しで体が突っ込む癖をどう抑えるか。
「でも、教えてはくれるんですけど全部ではなくて、僕にも考えさせる。やっぱり自分で理解してやらないと身にならないですから」
小さなネジがゆるんでいることに気づき、それを締めることができれば、素材はより生きる。
「自分のなかですごくフィットして、自信が出てき始めて、心にも余裕が出てきて、ゴルフが楽しくなってきたんです」
前半戦より曲がらなくなった。そして三井住友VISA太平洋で3位タイに入り、シードを決定的にした。
今オフも、アメリカの松山英樹の元で半月ほど過ごした。ジェネシス招待でPGAツアー9勝目を挙げた翌週に合流したという。
「本当にすごいです。アメリカでもずっと一緒に練習やラウンドをさせていただいて、やっぱりレベルが違う。ゴルフに取り組む姿勢はもちろんですけど、体のケアのことやもう全部。自分を知ることに長けています。いろいろな経験をされたからだと思います」
ベイヒルで、松山と回る機会があった。「こんなにPGAのセッティングは難しいのかと。僕はめちゃくちゃ叩いたんです」。しかし帰国後、テレビ観戦していると、自分でも“あの舞台”を体験したからこそ、より入り込めたという。
杉原は今年の課題を100ヤード以内の精度に置いている。
「昨年よりは上手くなっているとは思うんですけど、アメリカで松山さんに、この打ち方ではなくてこうしたほうがいいと修正を加えていただきました」
今、それを自分のなかに落とし込んでいる。
「トレーニングは上半身も今年からやっています。松山さんのところで違う発見もありました」
偉大な先輩から教わり、自分で考え、自分のものにする。こうして大河はひと回り大きくなった。
今、一人暮らし。ときどき自炊もする。鶏肉をただ焼くだけと笑うが、しっかり栄養も考えてのことだ。
今シーズンの目標は?
「レギュラーツアー優勝。勝てる試合はしっかり勝てるように。あとは海外に行くチャンスもあるので、そこを目標としてやっていければなと。ランキングも意識しながら、可能な限り挑戦したいです」
目標とするのはPGA。コーンフェリーから挑戦する思いは強い。
「ただ、まだそこまで至れていない。思うことは絶対大事ですけど、空回りしないように。早いほうがいいとも思いますが、しっかりと、まずは地に足を付けていかないと大変なことになると思います」
改めて、自身の武器を聞くと、「飛距離です」ときっぱり。
「アメリカでも飛距離で劣るということはあまりないと思いましたけど、飛距離を出しながらの球の打ち分けや、自分のスウィングをコントロールすることに、向こうの選手は長けている。自分もそこは突き詰めていかないと絶対に戦えない。そういうのが分かっただけでもすごくよかったです」
ギャラリーに、「飛距離とバーディを積極的に取りにいくところを見ていただきたいです」と言う杉原の豪快なプレーを楽しみたい。
「飛距離とバーディを積極的に取りにいくところを見てほしいですね」
同期の河本力に2年連続、ドライビングディスタンス賞は譲っているが、「やっぱり1位にこしたことはないので、そこは負けないつもりでいたいです」
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週刊ゴルフダイジェスト2024年4月9日号より