【インタビュー】髙木優奈<後編>18歳の自分に言ってやりたい「試合に出られなくてもお前、ゴルフやってるぞ」
6度目のプロテストで悲願の合格を果たした高木優奈。ツアー参戦を目前に控えた注目のルーキーに、新シーズンに向けての意気込みや、将来の目標などを語ってもらった。
PHOTO/Tsukasa Kobayashi TEXT/Masaaki Furuya
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- 渋野日向子、畑岡奈紗、勝みなみ、原英莉花らと同じ“黄金世代”の髙木優奈。同期が国内外で活躍しているなか、プロテストには落ち続けながらもステップ・アップ・ツアーで優勝するなど結果を残していた。だが、制度改正でJLPGA会員以外は試合に出られなくなってしまう。活路をオーストラリアへ求めた昨年、6回目の受験でプロテストに合格した。遅れてきた“黄金世代”が今年、新たなスタートを切る! PHOTO/……
「時間がかかったぶん
いろんな出会いがありました」
――プロテスト合格までの6年間で得るものはありましたか?
時間はかかりましたが、いろんな人に出会えたからよかったと今では思えます。制度が変わって22年から試合に出られなくなりましたが、お世話になっているスポンサーさん(ヤマハ、ZOY、濱田精麦、ヤオマサ)は、そんなときでも応援してくれて、すごく大きな支えになりました。昨年は世界ランキングの資格で推薦が何試合かもらえたのですが、21年のヤマハレディースオープン葛城の成績が4位と私としてはよかったので、マネジャーがヤマハさんへ推薦をお願いしに行ってくれたんです。
その際にクラブ契約の話を頂いたのですが、試合に出られない私のために、わざわざ合宿をしているゴルフ場にツアーバンで来てくれて、クラブのフィッティングをしてくださったんです。私はフェアウェイウッドが大の苦手で嫌いだったのですが、ヤマハのウッドはメチャクチャ簡単に球が上がるし、3W、7Wの顔はメチャクチャいい。ドライバーも飛ぶし、アイアンもいい顔している。「よろしくお願いします!」という感じで、本当にありがたかったです。
昨年末の新人戦からヤマハ「RMX VD/M」を投入しいきなり完全優勝。「簡単に球が上がり、飛距離もかなり伸びました」と手応えも上々で、自信を持って新シーズンに挑めると話す
――髙木優奈のゴルフって、どんなゴルフですか?
気持ちが弱いので、ガンガン狙っていくというより、「けっこう危なっかしいゴルフをするけど、意外と耐えられているよね」っていうゴルフだと思います。私は、ファンの人が「ゴルフって楽しいんだろうな」と感じてくれるようなプレーをしたいと心掛けているんです。表情を変えずにプレーをするのはメンタル的にはいいのかもしれないけれど、私は楽しいときは笑顔が出るし、ボギーを打ったときは「ハァ~」と、喜怒哀楽はしっかりと出していきたい。それがゴルフのよさだと思っているし、見ている人にも楽しんでもらえると思うんです。
――最近は、「30歳くらいまで頑張って、30歳で結婚して引退」と言う若手選手もいますが
にぎやかな家庭で育ったので、家族がすごく好きだし、周りの友達もみんな子供がいて、いいなとは思います。もちろん、結婚はしたいし子供も欲しいですが、元々、自分で描いていた人生計画より5年もスタートが遅くなってしまったので、そんなことは言ってられません。やれるところまでやりたいと思います。それくらい今はゴルフが好きなんです。自分が18歳でプロテストを受けたときに、25歳の人を見て、「この人、頑張っているなぁ」と思って見てましたが、今は逆に自分がそう見られていると思います。でも18歳の自分に言ってやりたいですね、「試合に出られなくてもお前、ゴルフやってるぞ」って。
シードに初優勝。将来は海外には行かず日本一択
――QT14位で前半戦の出場権を獲得。12月の新人戦では優勝。今後の目標は?
今年の目標は、最低限シード権獲得で、できればツアー初優勝です。そんなに簡単じゃないことは分かっているし、まだまだ足りない部分や課題はたくさんあるので、簡単に「優勝」と言うと、「天狗になってる」と思われるかもしれませんが、でもやっぱりそこを目指していかなければいけないと思っています。将来的には、もちろん年間女王を目指したいです。でも、海外でやりたいという気持ちはないんです。だって、まず英語が喋れない。コレ一番の問題です(笑)。私はおしゃべりだから、そこがストレスになっちゃいそうで……。
――これからプロを目指す人やジュニアゴルファーにメッセージはありますか?
「全部、自分で判断しなさい」って言いたいですね。コーチを決めるのも自分。その人を信じる、信じないも自分。ゴルフを続けたいかどうかを決めるのも自分。私は誰かに何かをやれって言われて決めたことは一度もなかったけど、だから遠回りしたのかもしれない。でも、自分で必要だと思うタイミングで、必要だと思うものを取り込んできたから今があると思うし、それでよかったと今でも思っています。もちろん、人の言うことをまったく信じないとか、そういうことではなく、人のアドバイスを取り入れる、取り入れないは自分の判断。今までは全部自分でその判断をしてきたから、それは絶対に変えたくないと思っているし、その分、自分に責任があるとも思っています。
これからプロテストを受けようと思っている人は、いろんな判断をしなければいけないときが必ず来ます。ティーチングの資格も受験しながらプロテストを受けたほうがいいかとか、そういう判断で迷っている人はたくさんいると思うけど、そういうことも全部自分で決めて、その自分の決断に自信を持ったほうがいい。もちろん、人のおかげで今の自分があるんだけれど、自分の人生だから、自分の心を信じて進むといいと思います。
週刊ゴルフダイジェスト2024年3月5日増刊号より