世界進出を目指すルートは、久常涼が進んだ欧州ツアー経由の「南回りルート」、桂川有人と大西魁斗が下部ツアーから挑戦した「北回りルート」が主流だが、ほかにも「大学ルート」そしてPGAツアーとは別の「LIV」へ進むルートがあった。

PHOTO／Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Yasuhiro JJ Tanabe、Blue Sky Photos、Getty Images

●CONTENTS●
1. 女子ツアーからは新たに3人が世界進出
2. 男子ツアーの新王道「欧州ルート」
3. 下部ツアー経由の過酷な「北回りルート」
4. 「大学ルート」「LIVルート」も
5. ギア&アパレルの世界進出

“タイガーⅡ世”と呼ばれるアバーグは
大学ゴルフの成績でPGAツアーデビュー

GD　PGAツアーの出場権を得るという点では、「PGAツアーユニバーシティ」もルートとしてはありますよね。

内藤　そうですね。L・アバーグが、PGAツアーユニバーシティのランキング1位になってPGAツアーデビューしました。

GD　あっという間に欧米両ツアーで優勝して、“タイガーⅡ世”として注目を浴びるようになりました。

内藤　ライダーカップのメンバーにも選ばれて活躍しました。このPGAツアーユニバーシティは、PGAツアーに出られるのはランキング1位の選手だけですが、2位以下の選手にもコーンフェリーや3部ツアー、Qスクールの出場権が与えられます。ちゃんと行き先があるのがいいですね。

タケ　1位だけだったら、メリットを受けられる選手が少なすぎて、あまり興味を持たれないよね。

内藤　実は魁斗くんもこのルートでマッケンジーツアー（PGAツアーカナダ）のQTを受けられて、20年の出場権を手に入れたんです。でも、コロナ禍になり隔離期間などの問題があったのでABEMAツアーを選択したんです。

GD　最新のランキングを見ると、トップ100に日本の選手は99位の森山友貴くん（ネバダ大学ラスベガス校）だけです。

タケ　アメリカの大学のゴルフ部は予算が多いから、今後はもっと日本の選手が増えるだろうね。

＜PGAツアーユニバーシティとは?＞
NCAAディビジョンIの学生が対象。ランキング1位にPGAツアー出場権
学生ゴルファーが大学でのキャリアを終えた後、すぐにプレーできる場を提供することが目的で、ランキング1位にはPGAツアー、10位までにはコーンフェリーツアー、20位までにはPGAツアーアメリカズの出場権が与えられる

香妻陣一朗が予選会から来季の出場権獲得
今後はLIVを目指す選手が増えていく!?

GD　最後の世界進出ルートは、“LIVゴルフ”ルートです。年末の予選会で、香妻陣一朗選手がわずか3枠という狭き門を突破して、来季の出場権を獲得しました。

タケ　これで24年はLIVゴルフにフル参戦できるんだよね。予選落ちなしで最下位でも1500万円以上もらえるLIVの賞金ランクを見ると……最下位でも2億円を超えていて、トップのテーラー・グーチは60億円!　税務署のみなさん、24年は香妻くんをマークしないと（笑）。

内藤　比嘉くんも予選会に出ていましたよね。

GD　そうですね。2日目で脱落しました。このLIVゴルフの予選会ですが、日本には賞金ランク5位以内の3人という出場枠があるのですが、23年は誰も出場しませんでした。香妻選手は招待選手としての出場でした。

タケ　PGAツアーを目指している若手選手は出場しないよね。でもプロなんだから報酬が高いところを目指すのは当然。日本の選手も国内ツアーが低迷しているからLIVを目指す選手が増えても不思議じゃない。

内藤　J・ラームもLIVへ移籍しましたね。

タケ　大谷翔平がドジャースに1000億円で移籍したのが話題になっているけれど、ラームの移籍金は400～800億円と噂されている。大谷は10年契約だけど、ラームのは一時金で賞金は別に稼げるから、こっちのほうが凄いと思うよ。PGAツアーもLIVに対抗して賞金を大幅に上げたけど、こんなことは長く続かないと思う。

GD　現時点では発表されていませんが、LIVとPGAの統合がどうなるかに注目ですね。

週刊ゴルフダイジェスト2024年1月9・16日合併号より