欧州ツアーで優勝し、「南ルート」でPGAツアーへの道を切り開いた久常涼。それとは別に、米下部のコーンフェリーツアーからPGAツアー昇格を目指すルートもあるが、こちらはなかなか過酷な道のりのようで……。

PHOTO／Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Yasuhiro JJ Tanabe、Blue Sky Photos、Getty Images

タケ小山（左）……世界中のツアーに精通するプロ。TBS「サンデーモーニング」の解説者としてもお馴染み。週刊ゴルフダイジェストで「世界パトロール」連載中
内藤雄士（右）……丸山茂樹のコーチとしてともに米ツアーを戦ったティーチングプロ。日本大学ゴルフ部コーチも務める。ハイランドセンター代表

●CONTENTS●
1. 女子ツアーからは新たに3人が世界進出
2. 男子ツアーの新王道「欧州ルート」
3. 下部ツアー経由の過酷な「北回りルート」
4. 「大学ルート」「LIVルート」も
5. ギア&アパレルの世界進出

米2部ツアーに参戦した2選手
桂川有人は日本復帰、大西魁斗は参戦継続

GD　今後日本からは“南回り”ルートが王道になりそうですが、海外を目指す若手選手が増えていますね。

内藤　それは世界ランキングのポイントシステム変更の影響が大きいと思います。以前は日本のツアーで活躍して世界ランクを上げれば、メジャー出場の可能性がありましたが、これだけ日本ツアーのポイントが下がると海外に出てポイントを稼がないとメジャー出場は難しい。日本オープンのポイントは以前の4分の1くらいになりましたから。

タケ　桂川有人と大西魁斗の二人は南回りではなく、23年は太平洋を渡って“北回り”で米国に挑戦したね。

内藤　そうです。二人でコーンフェリーに参戦しました。

GD　ポイントランクは大西選手が100位、桂川選手が130位でPGA昇格はなりませんでした。

大西魁斗は100位でコーンフェリーの準シード獲得

2022年末のQTを突破し、23年にコーンフェリーに参戦した大西魁斗。22試合に出場し予選通過は9試合、トップ10入りは1回だけと不本意だったが、ポイントランク100位で準シード獲得

桂川有人は130位で2024年シーズンは日本ツアーに復帰

大西と同様にQTから23年のコーンフェリーに参戦した桂川有人。16試合に出場し予選通過は7試合、トップ10もなかったが、予選会から勝ち上がった全米オープンでは予選通過を果たした

内藤　24年は、桂川くんは日本に戻ってきますね。そのことを魁斗くんに伝えたら、え～って驚いていましたけれど、下部ツアーは過酷なんです。桂川くんも日本にいた頃よりも痩せてウエストも2サイズくらい小さくなっていました。

タケ　ホントに! オレも行きたいな（笑）。

内藤　なんでそんなに痩せるのって桂川くんに聞いたら、原因は食事だって。コーンフェリーの選手ラウンジで出される食事が合わなくて、あまり食べられなかったそうです。いつもスクランブルエッグしか食べなかったって言っていました。それは魁斗くんも同じで、75キロあった体重が68キロに落ちていましたから。

タケ　野球でもメジャーリーグとマイナーリーグでは食事も待遇も全然違うというけれど、それと同じだね。

内藤　7月のPGAツアー「ジョンディアクラシック」のマンデーを二人とも通過したんですけれど、「ビーフがありました!」って喜んでいましたから、PGAツアーとは違うようですね。二人とも食事やホテルの予約なども自分たちでやりますから大変ですね。

タケ　そんな過酷な状況のなか桂川はマンデーで、自分でキャディバッグを担いで回っていたよね。それもデカいスタッフバッグで。

内藤　そうです。しかもそれでトップ通過でしたから凄いですよ。でも、英語ができる魁斗くんでさえ過酷だったようなので、桂川くんはもっと大変だったと思います。

タケ　でもいい経験だよね。絶対今後に生きるから。

内藤　コーンフェリーのシーズン序盤は米国外の試合が続くんです。バハマやパナマ、コロンビアなどを回るので移動も大変だし、治安が悪くてツアー指定の高いホテルに泊まるので、経費もかかるんです。魁斗くんは24年も参戦を継続する予定ですが、ギリギリ準シードの100位なのでシーズン序盤から試合に出るしかない。マンデーから出て、ダメならウェイティングということを繰り返すんで、言葉の壁はなくても過酷なことは変わらないですね。コーンフェリーは、ポイントは大きいですが賞金はそれほど高くないですし、競争も激しいので、厳しい世界だと思います。

タケ　頑張ってほしいね!

ラームがLIVへ移籍のため、小平にはPGAツアーの準シードの可能性がある!

23年シーズンをランキング153位で終えた小平智。準シードの150位に届かなかったが、J・ラームがLIV入りしたことで、メンバーシップ停止になり152位に上がった。LIV移籍を噂されている選手はまだおり、状況次第で150位に上がる可能性も

“3部ツアー”が合併し「PGAツアーアメリカズ」が2024年からスタート!
”3部ツアー”の「PGAツアーラテンアメリカ」と「PGAツアーカナダ（マッケンジーツアー）」の合併が発表され、24年からは「PGAツアーアメリカズ」として開催されることに。ランキング上位10人には翌年のコーンフェリーの出場権が与えられる

>>「南回り」「北回り」以外のルートとは?

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  【新春ワイド特集2024】“タイガー2世”アバーグは「大学ルート」、香妻陣一朗は「LIVルート」で世界進出

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週刊ゴルフダイジェスト2024年1月9・16日合併号より