5月のサロンパスカップで国内メジャー初優勝を挙げた吉田優利。ペブルビーチGLで開催される全米女子オープンにどんな思いで出場するのか、意外な胸の内を明かしてくれた。

PHOTO／Hiroyuki Okazawa、Hiroaki Arihara　THANKS／丸山ゴルフセンター、G-BASE

学べるものがひとつでも多くあれば

国内女子メジャー初戦「サロンパスカップ」で優勝を飾った吉田優利。7月6日からペブルビーチGLで行われる全米女子オープンにも参戦。海外メジャーの出場は19年の同大会以来だ。

「全米女子オープンに出られるのが純粋に嬉しいです。4年前に出場したときは、ケガをしていて思うようなゴルフができなかった。海外の試合自体も久しぶりなので、自分がどれだけできるのかが楽しみです。だから、緊張とか不安よりも試合への期待のほうが大きくて。結果を残すことよりも、何か感じることや収穫がひとつでも多くあればいいなと思っています」

肝が据わっているのか冷静なのか。吉田にとって全米女子オープンは自分に足りないものを探しに行く試合という位置づけのようだ。ただ、もちろん“予習”はしていて、自身の課題が顕著に出ることも予想している。

「ペブルビーチは風が強いと思うので、とくにアイアンの精度が試されそうです。今、自分の中で一番足りていないのはまさにその部分で、日本で戦ううえでも、もっと精度を上げないとダメだと思っています。ショットメーカーの選手と回ったとき、同じパーだったとしても内容が違うんですよね。うまい人は、難しいライからでもグリーンに乗せてくるし、フェアウェイ真ん中からは確実にバーディチャンスにつけてくる。自分にはまだその精度が足りていないので、アイアンのうまい選手とはまだ差があると思っています。今までと変わらず、これからもここを究めるという目標は変わりません。全米女子オープンでは、アイアンの精度にどの程度差があるのか、はっきりわかると思います。だから、優勝したい! とか、そういう大きな目標は立てずに、予選を通過して4日間回れたらいいなって思ってます。もちろん、そのためにできることは全部やります!」

悔しい気持ちがあるから次のステップに進める

女子ツアーはほぼ毎週のように試合が続く。うまくいかなくても、すぐ次の試合が来る。気持ちの切り替えはどうしているのか?

「試合でうまくいかないことはたくさんあります。でも、切り替えは早いほうかな。もちろん悔しい試合ばかりですが、それがあるから学べることがたくさんあると思うんですよね。すべてがうまくいったら次に進む機会がなくなっちゃうというか……。できなかったこと、悔しかったことを次にどう生かせるか、それを一番に考えるようにしています。だから、あまり引きずらないですね」

言うのは簡単だが、実際にやるのは難しいはず。吉田は感情を“認める”ことで、気持ちをうまくコントロールしている。

「そりゃ、つらい時はつらいですよ（笑）。でもそういうのを含めて全部わたし自身のことだから、その感情は認めてあげていいのかなって。もうアマチュアではないので、嫌でも次の日は来るし、次の試合も来る。そう考えたら、なるべく早く切り替えたほうが得なんですよ」

「わたし、緊張はするけどプレッシャーは感じないタイプなんです。プレッシャーって人からの期待だったり、そういうものから生まれると思うんです。もちろん期待していただけることは嬉しいことですが、それで悪い影響になるんだったらそんなこと考えるより自分に集中したほうがましかなって。結局ゴルフするのは自分ですから。その中でベストを尽くしたいです」

練習だけじゃない
専門的な知識も勉強した

プロになってから少しずつ、練習の取り組み方や考え方に変化が出てきたという。

「もともと練習量が少なくて、短い時間に、集中してやるのが得意なんです。だから試合の月曜と火曜は、基本的に朝のうちにトレーニングと練習をして、午後は自分のための時間にしています。人といることが好きなので、友だちと出かけたりご飯を食べに行ったりしてます」

基本スタンスは変えないが、意識して変えた部分もある。

「練習量が人より少ない分、違うところでカバーをしなくちゃいけないこともわかってたので、いろんな勉強をしました。体や栄養のことなど専門家の話を聞いて、取捨選択しました。プロになってからは、何が必要なのか、常に考えるようになりましたね」

18年女子アマ優勝時
「あの時は自分のやっていることがすべて正しいって思ってた…」

「アマチュア時代は練習時間とかやり方とか、これが一番自分に合っているって決めつけていました。でも、プロになりいろいろなことを学んで、客観的に自分を見られるようなりました。様々な見方ができるようになったので、考え方も広くなったかな」

最後に吉田に残りシーズンの目標を聞いた。

「年始にメジャー優勝と年間3勝を目標に掲げてました。なので最低でもあと2勝。将来的には長くゴルフを続けたいと思っているので、生涯で勝数を2桁にしたい気持ちはあります」

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  今年国内メジャー初制覇を果たし、全米女子オープンに出場する吉田優利。そのスウィングの凄さを、辻村明志コーチに解説してもらった。 PHOTO／Hiroyuki Okazawa、Hiroaki Arihara　THANKS／丸山ゴルフセンター、G-BASE 吉田優利　2000年生まれ、千葉県出身。18年に日本女子アマと日本ジュニアを制覇するなどアマチュア時代から活躍。メジャーを含……

月刊ゴルフダイジェスト2023年8月号より