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【PGAツアーエキスプレス】Vol.25 マスターズ覇者チャールズ・クーディと2人の孫の物語

ゴルフの最先端、PGAツアーの旬なネタをお届けする「PGAツアーエキスプレス」。第25回は、マスターズ覇者、チャールズ・クーディと2人の孫のお話。

PHOTO/PGA TOUR 取材/コーリー・ヨシムラ(PGAツアー アジア担当ディレクター)

チャールズ・クーディの孫のパーカー(左)とピアースサン(右)。PGAツアー昇格を目指し、下部ツアーで奮闘している
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孫の活躍が生きる活力に!

1971年のマスターズ。ジャック・二クラスとジョニー・ミラーという、ゴルフ史に名を残す2人を振り切って優勝を果たした男、チャールズ・クーディ。PGAツアーとPGAチャンピオンズの通算出場回数1110試合は、ツアー史上7位の大ベテランであり、PGAツアーの政策委員を務め、現在のツアーの礎を築いた人物である。

彼は今、パーシモンの4番ウッドを杖代わりに使い、コース内を歩いている。自身のプレーではなく、孫たちのプレーを見るために。

孫の名前はピアースサンとパーカー。双子の兄弟である。2人はクーディ家の家業とも言えるプロゴルフの世界に飛び込み、プロ1年目にして、コーンフェリーツアーで戦っている。ともにテキサス大学のゴルフ部で活躍し、その後プロ転向。ピアースサンはコーンフェリーツアーの3試合目で優勝し、パーカーもPGAツアーカナダの6試合目で優勝を果たした。ピアースサンはシーズン終了後のPGAツアーカードの獲得が現実的なものになってきた。

そんな2人がダラス郊外で行われたAT&Tバイロン・ネルソンに出場した。地元から約25キロのところの会場のため、祖父チャールズも応援に駆けつけた。この大会がまだダラスオープン招待という名前だった1964年、チャールズはこの地でPGAツアー初優勝を挙げた。そんな縁もあり、チャールズは2人のプレーを、かつての自分に重ねるように見ていた。

「私が彼らの年齢だった頃と比べると、孫たちのほうがはるかにいい選手ですよ。まぁ、自分と彼らを比較したことはありませんし、比較することに意味はないと思っていますから。彼らも私と比較しないことを望みます。私がしたことと、彼らがこれから達成できることはまったく異なるからです」(チャールズ)

父や祖父と同じ道を歩むことは、イコール、世間からは常に比較されることを意味する。それが偉大であればあるほど、顕著だろう。マスターズチャンピオンの祖父を持つ2人は、これから幾度なく比較されるはずだ。だからこそ、チャールズは比較に意味はないと言い切り、多くを望まないと話す。

「どんな選手になっていくのか、ただ見守りたい。夢を追いかける姿、成長を見るのはとても楽しいことです。私は、彼らの一番のファンですから。いつまでも応援していますよ。2人が望めば、ですけどね(笑)」

月刊ゴルフダイジェスト2023年8月号より