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【名手の名言】トニー・レマ「一流プレーヤーのスウィングをよく見ると、一人も完全とはいえない」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は60年代のゴルフシーンを彩った名手、トニー・レマの言葉を2つご紹介!

1964年の全英オープン優勝をはじめ、1963~66年に出場したメジャーでは8度もトップ10入りを果たすなど、さらなる活躍が期待されていた(PHOTO/Getty Images)


我々は完全な技術を求め練習する。
それは、ドッグレースで
決して捕えられないウサギの模型を
追って走る犬に似ている。
しかしこれこそがゴルフの魅力なのだ

トニー・レマ


1960年代に活躍したトニー・レマは、若い頃は試合より女性とのデートを優先させたほどのプレイボーイだった。洒落者だったウォルター・ヘーゲンの再来ともいわれたが、当然、低迷の時期は長かった。

それが1964年、セントアンドリュースで行われた全英オープンで優勝すると、大変身、精進し始めた。表題の言葉はその頃上梓した本の中にある一節だ。

ゴルフの技術にはキリがない。エンドレスゲームといわれるゆえんだ。 しかしそんなゲームの深みにどっぷりと足を踏み入れた矢先の1966年、レマは飛行機事故に遭い、妻とともに命を落としている。享年32歳という若さだった。


一流プレーヤーの
スウィングをよく見ると
一人も完全とはいえない

トニー・レマ


アーノルド・パーマーしかり、ジャック・ニクラスしかり。当時の一流プレーヤーたちのスウィングは、決して見た目に完全なものとはいえなかった。

しかしそこから放たれる球は、非の打ち所がない美しい弾道を描いて飛んでいく。

こう言うと、スウィングはどんな形でもいいと捉えられかねないが、そうではない。同じ“個性的なスウィング”でも、一般ゴルファーのそれとかの名手たちのそれとで大きく異なるのは、基本となる幹がしっかりしているか否か。

ピカソが実は優れたデッサン力を持っていたように、名手の異端に見えるスウィングも、確固たる基礎があってこそ。

近年では、日本ツアーで3勝を挙げたチェ・ホソンの超変則スウィングが話題となったが、彼もインパクトの形だけを見れば、超オーソドックス。

要はボールを狙ったところに運べればいいわけで、そこから逆算して最適なインパクトの状態を作り出すために、自分の体の特徴や柔軟性、筋力に合わせて基本にアレンジを加えるわけだ。

パーマーも「自信ある我流は、自信なき正統に勝る」という言葉を残しているが、ただ正統を貫くだけでは大きなブレークスルーは望めないということなのだろう。

■トニー・レマ(1934~1966)

米カリフォルニア州オークランド生まれ。幼い頃に父を亡くし、家計を助けるため市営コースでキャディをした。この経験がレマを助けた。高校を卒業すると、海兵隊へ入隊。除隊後、サンフランシスコGCのアシスタントプロとなる。58年、ツアープロとしてデビュー。初優勝は62年、オレンジカウンティオープン。63年にも1勝。64年には念願のメジャー、全英オープンに優勝。しかしその2年後、自家用機の墜落事故で命を落とす。享年32歳。

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