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【イザワの法則】Vol.31 練習の段階から“ライン”をしっかり読む!

「直感で読んだラインと、実際のラインにギャップがあることが増えてきた」と、伊澤プロ。その対策としてやっていることが、練習グリーンの段階から、カップから遠い傾斜までしっかり読んで打つことだという。その意味とは?

TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)

前回のお話はこちら

長めのパットが決まると
ビッグスコアの
「流れ」を呼び込める

もう新しいシーズンがスタートしていますが、昨シーズンの自分自身のプレーを振り返ってみると、とくに「不調」というわけではなかったのに、成績に結びつかなかった(優勝なし)という印象があります。フェアウェイキープ率などの数字でみても、別に悪くはなかったので、何か問題があったのか、まだ分析している途中という感じです。

アイアンに関して言うと、ダウンスウィングで「気が抜けちゃう」場面が何回かあったのが気にはなっています。しっかり距離を出すつもりで、力感を入れて振ったのに、実際は入っていなくて、「あれ、弱い」とか。原因はわかりませんが、もしかしたら集中力の問題なのかとも思っています。さすがに、若い頃のようには集中力が続かなくはなっているので、もしそうなら、ある程度仕方ないことかもしれません。

アイアンでそこそこの距離につけられないと、いくらパターの調子がよくても、バーディを量産しづらいですから、そういう意味では、昨シーズンは、バーディチャンスのパットが少なかった感じはします。あと、3~5メートルくらいのちょっと長めのパットがあまり入りませんでした。試合で、これくらいの距離のパットが決まってこないと「流れ」がこないのでビッグスコアにはつながりにくいです。最新の統計では、スコアに対するパットの貢献度は「4割」くらい(※)ということになっていますが、3~5メートルがバンバン入ると、それ以上の価値が出てくることは間違いないでしょう。

※「ストロークゲインド」という指標を使って、プロのプレーを分析した場合の平均値


正確なライン読みには
カップから遠い部分の
傾斜も軽視できない

ところで、ラウンド中、自分では狙った通りに打ったつもりなのに、「そんなに切れる!?」と思うほど曲がることはないでしょうか。改めてラインを見ても、そんなに曲がるようには見えなかったり。なぜそういうことが起きるのか、考えていたんですが、もしかしたらカップから遠い部分の傾斜を見過ごしているのかもしれないということに、最近気づいたんです。

たとえば、朝、練習グリーンでボールを転がしているときには、カップ周りの傾斜はしっかり見ますが、そこに至るまでの何メートルかは、真剣にラインを読まずに、何となくの「見た目」で打っています。もし、この部分の傾斜が、自分が感じているより強かった場合、カップ周りの傾斜で曲がり始めるずっと前から、少しずつ曲がっているということになりますね。これが、見た目と曲がりのギャップになるんじゃないかと思ったわけです。そこで、練習のときからカップ周りだけでなく、手前のラインもしっかり読んで打つようにしてみたら、試合でも「あれ?」ということが少なくなりました。

おそらく、若いときに比べて、傾斜を見極める目の機能だとか、感性の部分が衰えてきているので、パッと見ただけでは全体のラインを正確に把握できなくなってきているのかもしれません。昔は、ラインに乗っているけど、「最後に切れちゃった」のが多かったですが、それがいつからか、「そこから曲がる!?」みたいなパットが増えました。それは、練習で手前の傾斜をほぼ無視することで、浅めにラインを読むのがクセになっていて、それを試合でもやっていたからだと思います。今、練習のときから、手前までラインを読むのを習慣づけているので、うまくいけば、もっといい成績が出るんじゃないかと、自分に期待してます。


「ドライバーが10ヤード飛んでもスコアに直結しない。
ビッグスコアを狙うなら3~5メートルを決める必要がある」

打ち方よりもライン読みを練習しよう

パッティングで、ボールが傾斜の影響をいちばん受けるのは、転がるスピードが減衰するカップ周り。だからといって、その手前の傾斜を無視していいというわけではなく、その部分もしっかり考慮に入れることで、より精密にラインを読むことができる

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2023年6月号より