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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.126「シニアのQTで感じた“飛距離”」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Takanori Miki

前回のお話はこちら

3月15~17日にいぶすきGCで行われたシニアツアーの最終予選会の結果、今季のシード権獲得圏内である10位以内に入ることができませんでした。

この連載でも触れた通り、年初からギックリ腰に見舞われ、試合当日も痛み止めを飲みながら恐る恐るやったんですが、やはり上手くクラブを振れんかったです。


いぶすきは狭くて短いゴルフ場で、距離が出ない自分でも何とかごまかせるかと思うたんですが、しっかり振っていかなあかんコースなのに、恐る恐る振ってたんじゃ通用するわけがない。

結局、ショットが思うようにいかずそのしわ寄せが全部パットにくるパターンで、グリーンに乗らず、アプローチして1メートル50くらいのパットが残る。それが入らずボギーにしたり、たまに狙いにいくとダブルボギーになったりと、まあ惨敗です。

この年齢になって思うんは、ゴルフで圧倒的に有利なんは飛距離やいうことですわ。

年取って飛距離が落ちてくるのに加えて、どこか体が悪なってきて振れんかったらダブルできますから、度を越えたキツさがあります。

イキのよい選手と比べると、グリーンを狙う番手が、こっちが9番で打つところを、相手がウェッジとかそんな程度ではなく、向こうはウェッジでこっちはウッドということもあるわけですから、それはもう勝負にならんです。

最終QTに出てくる顔ぶれのなかで、知ってる選手は半分くらい。50歳くらいの選手だと、僕がちょうどレギュラーツアーに出なくなった時期に出るようになった入れ代わり関係なので、向こうは僕を知っとっても、こっちは知らんという選手も多くいます。

レギュラー時代に有名だった選手と回って、あの有名選手でもこんなことになってんのか、これなら僕でもイケるん違うかと、そういうことで自信が生まれるいうことが、シニアの世界では多いと言いますが、それをまず最初に感じるのは飛距離でしょうね。

でも、まあ自分の今のこの体でも体力的にうまく振れば250ヤードくらいは飛びますから、それを何とか効率的にやっていくしかないわけで。もう技や何や言うとられへん。どれだけスコン! といけるかですわ。

「やっぱり、振ったらんかい!、が大事いうことです」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2023年4月25日号より