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【名手の名言】ナンシー・ロペス「人生で最も輝いている時期に仲間たちと色々な経験をしてほしい」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は米女子ゴルフ界のレジェンド、ナンシー・ロペスの言葉を2つご紹介!

1970年代後半から80年代にかけて活躍した元祖ママさんプロ


人生で最も輝いている時期に
同年代の仲間たちと
色々な経験をしてほしい
その思い出は永遠に残るから

ナンシー・ロペス


1975年、18歳で出場した全米女子オープンで2位タイに入り、一躍時の人となったナンシー・ロペス。その後、2年間の大学生活を経て、77年プロ入り。翌年には年間9勝を挙げ賞金王に輝くなど、無類の強さを誇った。メキシコ系移民の貧しい家庭から身を起こした、アメリカン・サクセスストーリーの体現者だ。

そんなレジェンドが発した表題の言葉は、プロになるためだけに10代前半から渡米している韓国選手について感想を求められたときのもの。

「人生は長く、稼いだお金はいつかなくなります。それより大学で人間形成をしたほうがいい。プロ入りが数年遅れても回り道ではなく、ツアーはすぐになくなりません。私も大学時代の2年間は人生の宝物です」

そういえば、かのトム・ワトソンも、16歳でプロ入りした石川遼に対して、こう感想を述べていた。

「少年時代の一番楽しいときを犠牲にして、なぜそんなに生き急ぐのか?」

幼少時から1つのことに専念し、一芸を極めるというのも決して悪いことではないが、様々な経験を積むなかで、自分にフィットするものを選択する。そこからでも決して遅くはない。3度の出産を経験しながらも、通算48勝を挙げたレジェンドの言葉には重みがある。


私のルールの1番目は
「方向がバラバラの飛距離は
まったく飛ばないより悪い」

ナンシー・ロペス


多くのゴルファーは、1ヤードでも遠くに飛ばすことに固執する。

もちろんそれもゴルフの楽しみのひとつだが、遠くに飛ばそうとした結果、大きく球が曲がってしまったら、次のショットの楽しみは半減してしまう。

普段通りの力加減でスウィングするのと、飛ばそうとしてマン振りするのとでは、飛距離が変わったところでせいぜい10ヤード。場合によってはスピン量が増えてかえって飛ばなかったり、そもそも真っすぐ飛ぶ確率が限りなく下がるということであれば、マン振りを選択するメリットはないといえる。

ゴルフの目的が、1ヤードでも遠くに飛ばすことであれば、一発の飛びを求めてひたすら振りちぎるのもいいが、スコアを1つでも縮めたいと考えるのであれば、多少飛ばなくても曲がらないほうが確実にいい。

そのことに早くから気づいたロペスは、正確なショットを駆使して、長きにわたりトッププレーヤーとして活躍したのだった。

■ナンシー・ロペス(1957~)

米カリフォルニア州、メキシコ系移民の貧しい家庭に生まれる。練習費用にも事欠く境遇だったが、12歳の時、ニューメキシコ女子アマに優勝してから、やっとまともなラウンドができるようになった。72年、75年、全米女子ジュニア優勝。その年に全米女子オープンに出場し、2位タイとなって一躍時の人となった。タルサ大学へ奨学生として入学するも、20歳の時にプロ転向。22歳までの2年間で17勝をあげ、女子ツアーブームの一翼を担った。ツアー通算48勝。メジャーでは3勝しているが、全米女子オープンだけは獲れなかった。87年LPGA殿堂入り