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【ゴルフ界の新興勢力】#2 破格の賞金と移籍金によってLIVゴルフが世界のツアーを分断!?

2022年のゴルフ界の大きなトピックスがLIVゴルフの立ち上げだ。P・ミケルソン、D・ジョンソン、B・ケプカ、B・デシャンボーなどのベテラン勢に加え、現役の全英オープンチャンピオン、C・スミスなど、予想を遥かに上回る選手たちが新興ツアーに参加。この先、世界のツアーはどうなってしまうのだろうか。週刊GDご意見番のタケ小山と内藤雄士に語ってもらった。

PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Tomoya Nomura

タケ小山

世界中のツアーに精通するプロ。TBS「サンデーモーニング」の解説者としてもお馴染み。小誌で「世界パトロール」を連載中

内藤雄士

丸山茂樹のコーチとしてともに米ツアーを戦ったティーチングプロ。日本大学ゴルフ部コーチも務める。ハイランドセンター代表

GD ゴルフ界の「新興勢力」といえば、LIVゴルフですが、ここまで大きな話題になると想像していましたか?

タケ 1年前のこの企画でも、サウジアラビアの投資ファンドが新たなツアーを立ち上げそうだという話題には触れたけれど、こんな大規模なツアーになるなんて想像していなかったよ。

内藤 私も蓋を開けてびっくりという感じでしたね。PGAツアーとも決裂して、あれだけの選手が流出するとは思いませんでした。

タケ P・ミケルソンは早くから噂になっていたけれど、メジャータイトルを獲ったビッグネームたちがあんなに“移籍”したのには驚いたよ。でも構図としてはWGC(世界ゴルフ選手権)が始まったときと、まったく一緒だよね。

内藤 ノーマンがWGCの構想を立ち上げて、でもそれをPGAツアーが持っていったみたいな形になりましたからね。

タケ ノーマンは面白くなかっただろうな。WGCと違って、今回はPGAツアーが潰しにかかったのは、原資がサウジということが大きいと思う。でもPGAツアーは歴史もある確立したものなんだから、どーんと構えていればよかったのに。ツアーが低年齢化していくなかで、シニアになる前のミドルエイジの選手たちの活躍の場がなくなっていた。PGAツアーとしても(米2部の)コーンフェリーを若手のためだけでなく、シニアに行くための繋ぎとしての役割を持たせてはいるけれど。だからノーマンは上手いところをついたよね。ミドルエイジには人を集められるネームバリューの高い選手がたくさんいるから、そこに声を掛けてあれだけの選手を集めた。

内藤 確かにLIVが35歳以上とか年齢制限を設けていたら、PGAも何も言わなかったかもしれませんね。ただ現状は、大学を出たての選手がLIVでプロデビューということも起きています。キャメロン・スミスも全英OPに勝ってすぐにLIVに出たし、あれにはPGAツアーも勘弁してよって感じだと思います。

タケ 個々のプレーヤーの資質の問題でもあるよね。

内藤 二通りの選手がいるんです。B・デシャンボーのように稼ぎたいと思う選手がいて、ビジネスとして考えれば当然の選択ですよね。米国の大学生ゴルファーは就職活動をするか、プロになるかを選択するわけですが、どっちのほうが稼げるのかを冷静に判断します。就職するよりもプロのほうが儲かるとなればプロになるわけで、LIVの高額賞金や待遇はその選択を後押しするはずです。一方でメジャーに勝ちたい、伝説のプレーヤーになりたいという志のある選手はLIVには興味がないでしょう。

タケ PGAツアーも慌てて賞金を増額した。ミケルソンが言っていたことだけれど、PGAは金を持っていたんだよ。

PGAツアーの主な”LIV対抗策”

2024年からレギュラーシーズンを1月~8月に変更
シーズン終盤の新設3大会(ポイントランク上位50名が出場)を含む8大会の賞金総額を平均2000万ドル(約27億円)に増額
2022-23シーズンからプレーオフシリーズに進出できる人数を125人から70人に変更
ファイナルQT上位5名にPGAツアーの出場資格を付与
DPワールドツアーのランキング上位10名に翌年のPGAツアーの出場権を付与
プレーヤー・インパクト・プログラム(PIP)のボーナス総額を2023年は1億ドル(約135億円)に倍増
PIPの上位20名の「トッププレーヤー」の年間出場義務を20試合に設定
PGAツアーとコーンフェリーツアーのシード選手に50万ドル(約6750万円)を保証
ポイントランク126~150位とそれ以下のカテゴリーから出場する選手が予選落ちした場合、5000ドル(約67万5000円)を支給

LIVは規模を拡大し今季14試合を開催予定

発表済みの7試合
マヤコバ(メキシコ)2月24-26日エルカメロンGC
ツーソン(米国)3月17-19日ザ・ギャラリーGC
アデレード(オーストラリア)4月21-23日ザ・グランジGC
シンガポール(シンガポール)4月28-30日セントーサGC
タルサ(米国)5月12-14日セダーリッジCC
バルデラマ(スペイン)6月30日‐7月2日RCバルデラマ
グリーンブライヤー(米国)8月4-6日ザ・オールドホワイトGC

週刊ゴルフダイジェスト2023年1月10・17日合併号より

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