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「曲げ倒すゴルフ」「3番アイアン1本で…」“とんぼ”のモデルはあのスペインの英雄だった【原作者インタビュー 前編】

テレビアニメ化して話題となっている漫画「オーイ! とんぼ」。主人公のとんぼは、3番アイアン1本でゴルフを覚え、常識にとらわれない自由な発想のゴルフが魅力だが、実はそんなとんぼのモデルになっているプレーヤーが実在した。原作者・かわさき健に話を聞いた。

3番アイアン1本で遊びながらゴルフを覚え、球を曲げ倒してどこからでもグリーンを狙ってくる……そんなとんぼのゴルフスタイルは、スペインの英雄、セベ・バレステロスから着想を得たのだという。かわさき氏が焦がれた、セベという人物とは?

   *    *    *

もともと自分がプロになりたいと思ったきっかけがセベだった。ボクは高校に入ってからゴルフを始めたんですが、高校3年の夏(1984年)、全英オープンでセベが優勝したシーンを見たんです。友人の家に泊まりにいったとき、夜、1人で見ていたんですが、セントアンドリュースの18番で何度もガッツポーズするシーンは震えるぐらい感動しました。オレもこういうところに立ってみたい――本気でそう思いました。

ちょうど高校3年生で、進路どうしようかなぁ、と思っていた時期で……「よし、プロゴルファーを目指そう!」と。そのときから、セベを好きになりました。ホント、カッコよかったなぁ。

今でいえば、タイガー・ウッズのようなカリスマ性があった。いや、タイガーよりカリスマ性があったんじゃないかな。

感情を表に出すゴルファーで、振りちぎるときは振りちぎる。球を曲げる技術、やわらかくて大きくて、独特なスウィング……躍動感があって、フィニッシュでバランスを崩すことも多かった。見ている人を巻き込んでいく。まさにエンターテイナーだよね。

どんなところからでも球を曲げてグリーンを狙ってくるセベ。かわさき氏が「とんぼ」として現代に生まれ変わらせた

それまではアメリカ勢が強く、当時はトム・ワトソンが全盛。そこに、セベが現れ、それからイアン・ウーズナム、ニック・ファルド、サンディ・ライル……とヨーロッパ勢が出てきた。その先頭に、セベが立っていたという感じ。

当時、スペインはゴルフ後進国。今でこそ、ジョン・ラームや、ちょっと前はオラサバルなんかもいたけど、当時のセベは今の日本でいえば松山英樹。スペインから単身、米PGAツアーに乗り込んでいったんです。

木の中から曲げて、直ドラでも曲げて乗っけてくる。駐車場ショットもあったよね(79年の全英オープン)。そんなところから曲げてくるんだ! と。だったら最初から(ドライバー)曲げるなよ、って感じですけど(笑)。とにかくいちいちハラハラさせられる。興奮させられる。

いま思えば、セベはぜんぶ持っていたかな。飛距離も出るし、アプローチも天才的。パターも上手い。それに二枚目だったしね。ドライバーが曲がる、というのが唯一の弱点といえば弱点だったかも。

スウィングもカッコよかった。腕は脚と同じぐらい長いんじゃない、と思うほどで、ハンドダウンに構え、トップでは右の肩甲骨が正面から見えるぐらいのフルターン。そしてリストワークも上手かった。どうしたらそんなふうにクラブを操れるの? って思って見ていましたね。

>>後編へつづく

かわさき健(1967-)

プロを目指し矢板CCで研修生として腕を磨くも志半ばに断念。漫画原作者として第2の人生を歩む。風貌はどこかセベを彷彿とさせる?

セベ・バレステロス(1957-2011)

スペイン出身。マスターズ2勝、全英オープン3勝。日本でも日本オープン2勝など活躍。脳腫瘍を患い2011年に54歳の若さで世を去った

月刊ゴルフダイジェスト2024年5月号 別冊付録「オーイ! とんぼDIRECTOR’S BOOK」より

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