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【ゴルフに「真っすぐ」はない】#1 クラブを真っすぐ動かす意識が上達を妨げる

ボールを真っすぐ飛ばそうと思うと、ついクラブヘッドを真っすぐ動かすことを意識しがちだが、実はその“真っすぐ”な意識こそが、上達を妨げる要因になっていると大本研太郎プロは言う。果たしてその真意とは?

TEXT/Kenji Oba PHOTO/Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki、Blue Sky Photos

解説/大本研太郎

2018年PGAティーチングプロアワード最優秀賞受賞。恵比寿にあるスタジオ「GPC恵比寿」主宰。スウィング理論だけでなく、マネジメントやメンタル、フィジカルにも精通する理論派プロ。現在、女子プロの東浩子、藤田さいき、臼井麗香、永嶋花音を指導中

●CONTENTS●
#1 クラブは「真っすぐ」には動かない
#2 真っすぐ動かそうとするデメリット
#3 理想のイン・トゥ・イン軌道の作り方

偏重心のスポーツでは
円運動が基本

年末はサッカーワールドカップ一色に染まった日本。その熱狂のなかで「ゴルフのショットはサッカーのシュートと同じで、共通するのは、ともに真っすぐがないこと」と語るのは、小誌レッスンでおなじみの大本研太郎プロだ。

「サッカーのシュートはターゲットに向かって蹴り足を真っすぐ動かしてはいません。これはゴルフのショットと同じです。テニスや卓球など、ほとんどのスポーツに真っすぐという動作はなく、あるとすれば、ビリヤードやダーツくらいです。ただ、限りなく真っすぐに近い動きなだけです」

では、なぜ真っすぐ動かさないのか? そのキーワードが、重心が偏った状態を指す「偏重心」にある。ゴルフクラブはシャフト軸線上にヘッドの重心がない。偏重心のクラブを動かそうとすると、必ず支点、力点、作用点が生まれ、さらにエネルギー量によって直線に近い動きが円運動に変わっていくのだ。

確かに野球のバット、テニスのラケット、サッカーの蹴り足は円運動になっている。これこそが真っすぐがない証しといえる。

「偏重心によって生まれるエネルギーは重心が大きく動くほど出力が上がります。サッカーならシュート、ゴルフならフルショットになるわけです。逆に重心の動きが小さいパスは、パットのストロークに近くなります。まずは偏重心では直線ではなく、円運動になることを理解することです。そうすれば“真っすぐ”な感覚も薄れていくはずです」

キーワード1 偏重心
偏重心とは重心が偏った状態を指す。この偏重心はゴルフだけでなく、さまざまなスポーツの動きに応用されている。さらに偏重心はエネルギーの源でもあり、どう活用するかで上達のスピードは大きく変わる

キーワード2 テコの原理
偏重心のゴルフクラブを動かすと必ず支点、力点、作用点が生まれ、テコが利用できる。さらに出力が増せば、直線的な動きが円運動に変わるのだ。飛ばしの大きなパワーは円運動からしか生まれないのだ

手足もクラブも重心が偏っている

すべてのクラブヘッドは偏重心になっているため、フェースが開閉するようにできている(円運動)。さらに人間の手足も偏重心になっている。親指側が重いため、歩く動作で手足は回転するように円運動するのだ

偏重心だからボールの回転軸が傾く

偏重心による円運動のエネルギーがボールに伝わると、ボールの回転軸が傾く。これがボールを左右に曲げる主な原因となる。「クラブも体もボールも真っすぐはない! これを理解することが大事」(大本)

>>なぜ「真っすぐ」を意識すると上手くいかないのか

週刊ゴルフダイジェスト2022年12月27日号より