【ゴルフの急所】Vol.23 前傾がキープできない原因は“体重移動”
30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。
PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/六甲国際GC
よく前傾を保ってスウィングしろ、インパクトしろと言われますが、私はダウンスウィングで体が起き上がって前傾角を保つことができません。どうしたらプロのように前傾角を保ってインパクトできるようになるのか、教えてください。(田井大祐さん・51歳・HC20)
体重移動の感覚がわかれば
前傾角は崩れにくくなる
ダウンスウィングからインパクトにかけて体が起き上がり、前傾角が崩れる。このタイプに共通しているのは、体重移動がちゃんとできていないということです。
実は、切り返しでしっかりと左足に乗り、ボールをとらえる態勢を作ってからダウンスウィングできるようになると、前傾角というのは崩れにくくなるのです。
試しに、アドレスした(前傾した)状態でメディシンボールのような重いものを持ち、それを体の左側へ投げてみてください。このとき、しっかりと左足に踏み込んでから投げることができれば、体が起き上がることはありません。しかし、左足にちゃんと乗る前に投げてしまうと、力強く投げることも、前傾角度を保つこともできなくなるはず。
スウィングも同じなのです。ですから、前傾角が崩れるのを直したいのであれば、まずはしっかり左に踏み込んでから振る感覚を身につける必要があります。
切り返しでしっかりと左足に体重を乗せる
前傾角が崩れる人は切り返しでしっかり左足に乗っていないことが多い
練習方法としては、目をつぶって連続素振りをするのがおすすめです。目をつぶった状態でバランスよくスウィングできれば、自然な体重移動が身について、体が起き上がりにくくなるからです。
この練習をするときには、自分の体重がどう移動すると気持ちよく振れるのかを、探りながら行うようにしてください。たとえば、ボクの場合で言えば、バックスウィングで右の母趾球(もしくは右のくるぶし)に乗ってから、徐々に右のかかとに乗っていき、切り返しで左の母趾球(もしくは左のくるぶし)に乗ってから、左かかとに体重を移動していく感覚があります。
また、プロによっては、バックスウィングでは右かかとに乗り、ダウンでは左かかとに乗ると言う人もいれば、右つま先に乗ってから、左かかとに乗ると言う人もいるし、右かかとから左つま先に乗り込み、そこから左かかとに体重移動すると言う人もいます。
これらは、どれが正解というものではありません。いろいろ試して、自分が最も気持ちよくスウィングできる体重移動を探してほしいのです。
切り返しでしっかりと左に踏み込むことができて、クラブをほったらかしにできる(クラブが勝手に下りてくる)。そんな、自分だけの体重移動の感覚が身につけば、前傾角は崩れにくくなるでしょう。
前傾姿勢を保ったまま
重い物を左へ投げてみよう
Drill
目をつぶって連続素振り
寺西プロの場合はバックスウィングで右の母趾球に乗ってから徐々に右のかかとに乗っていき、切り返しで左の母趾球に乗ってから、左かかとに体重を移動していく感覚。これは人によって違う。
【ココもPoint】
左親指を浮かせて握る
前傾角が崩れる原因は、体重移動だけではない。ダウンスウィングでクラブのリリースが早い人も、体は起き上がりやすくなる。左親指をべったりクラブにつけて握っていると、アーリーリリースになりやすいので、左親指を少し反らし、指の先を少し浮かせて握ろう
体重移動のしすぎには注意!
切り返しで左足へ踏み込むときには、左足の内側に乗り込み、上半身が左股関節の上に乗っていることが大切。体重移動を意識しすぎて、左足の外側に乗ってしまうと、エネルギーが逃げて、球をしっかりとらえられなくなってしまうので注意しよう
月刊ゴルフダイジェスト2023年1月号より