【PGAツアー選手に学ぶアプローチ術】#1 アプローチもピンから徹底的に“逆算”して考える
今週日本で開催されるZOZOチャンピオンシップに、PGAツアーのトップランカーたちが集結。彼らは300ヤードを優に超える豪打を持つだけでなく、グリーンに近づくと、見事な柔らかい球で寄せてくる。いったいその繊細な技はどういうからくりで生まれているのか? 昨年の“ZOZO”を視察した黒宮コーチとともに、分析する。
TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Hideki Kamekawa PHOTO/Hiroaki Arihara、Blue Sky Photos THANKS/GOLSSYO
解説/黒宮幹仁
くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。淺井咲希、宮田成華、岩崎亜久竜らを指導
●CONTENTS●
#1 アプローチもピンからの“逆算”がカギ
#2 再現性を高めるための“打ち方の基準”を作る
#3 距離感を高めるには“最下点”の安定がポイント
「50ヤード」は1種類じゃない
ホールマネジメントの基本は、グリーン(ピン位置)から逆算すること。それはアプローチにもいえるという。
「逆算にこだわろうと思ったら、いくらでもこだわれてしまうのがアプローチ。全部を網羅するのは途方もない作業だから、アプローチだけ教えるコーチは少ないんです」(黒宮)
たとえば、ボールからカップまでの距離が50ヤードだった場合、何をどう逆算して打つのか。
「カップ周辺が平らだったとしても、グリーンの硬さや速さによって、どこまで突っ込んで、どれだけスピンをかけるかが変わります。もし、カップが高い場所にあると、落としどころを間違うと戻ってきてしまうし、逆にカップの位置が低ければ奥にこぼれやすくなる。直線的なキャリー距離だけでなく、どのくらいの高さ(最高到達点)で、どのくらいのスピン量で、スライス系かフック系かまで考えないと、アプローチは寄らないんです」
プロがグリーンまで状況を確認しに行くのは、その情報に基づいて、最適な落としどころや球の高さ、スピン量などを瞬時に判断し、そのためのスウィングを具体的にイメージするため
【PGAツアー選手の脳内イメージ】
タテ、ヨコ、高さを3Dで考える
カップ付近が平らなら、普通の弾道で止まるが、奥から手前に傾斜している場合は、普段と同じキャリーで「低い球」を打たないと、ボールが戻ってきてしまう。逆に奥に向かって傾斜している場合は、キャリーを変えずにスピン量を増やす打ち方が必要になる
【アマチュアの脳内イメージ】
直線でしか見ていない人が多い
カップが高い位置にあってボールが戻りそうなとき、単に「+5ヤード」という感じで強く打つと、落下角度がゆるやかになって止まりにくくなり、逆に奥にこぼれてしまう
脳内イメージをつくるための判断基準はこんなにある
では、アプローチの打ち方はどうすれば?
>>再現性を高めるための“打ち方の基準”を作る
>>距離感を高めるには“最下点”の安定がポイント
週刊ゴルフダイジェスト2022年10月25日号より