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【PGAツアー選手に学ぶアプローチ術】#3 距離感を高める最大のポイントは“最下点”を安定させること

アプローチの悩みといえば、打点が上下にズレることで生じるザックリやトップのミス。これを防ぐには、トッププロが無意識のうちに行っている「ローポイント(最下点)」のコントロールが重要だと黒宮幹仁コーチは言う。

TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Hiroaki Arihara、Blue Sky Photos THANKS/GOLSSYO

解説/黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。淺井咲希、宮田成華、岩崎亜久竜らを指導

●CONTENTS●
#1 アプローチもピンからの“逆算”がカギ
#2 再現性を高めるための“打ち方の基準”を作る
#3 距離感を高めるには“最下点”の安定がポイント

“最下点”でとらえることが最重要

プロがトップやザックリをしないのは、スウィングの最下点(ローポイント)の意識が高いからだ。

「ベースとなる距離を打つ場合には、常にローポイント付近でインパクトすることが大事です。これができてはじめて、ロフトを寝かせたり、シャフトを回転(フェースを開閉)させたりすることで、出球にアレンジを加えることができるからです」と黒宮コーチは言う。

たとえば、ボールを右足寄りに置きすぎると、打ち出しが右になり球が強くなる(ロフトが立ち、かつフェースが
閉じ切る前に当たるため)。つまり、ベースの20ヤードを打とうとしたときに、2〜3ヤードは「右」と「奥」にずれるということ。これを普段から無意識に修正動作を加えて、無理やり真っすぐ飛ばすクセがついているので、本当に球筋を変化させたいときに対応しきれなくなるというわけだ。これを防ぐには、「右足が必ず飛球線と垂直になるようにセットすると、ボール位置や体の向きが一定になりやすく、ローポイントも安定します」(黒宮)。


いつも同じところに落とすと距離感が生まれる
スウィングの最下点は概ね、左わきの真下。スウィング中、左わきの位置を左右にずらさないことで、最下点の位置も安定する。その付近にボールがあれば、常に一定のボールコンタクトを得られる

ローポイントが安定する条件1
右足と目標ラインを垂直に

狙う飛球線に対して、右足を垂直にセットし、それを体の向きやボール位置の基準にする。垂直にセットした右足に対し、イン・トゥ・インに振るイメージ。左足は、開くと振り抜きがよくなる

ローポイントが安定する条件2
左腕の外側とリーディングエッジがそろう

「両腕と肩の三角形」を崩さないように、かつシャフトを「ねじらずに」振る。テークバックでリーディングエッジが左腕外側のラインと平行でないのは、シャフトをねじっている証拠

ローポイントが安定する条件3
「安定」と「可動」の部位を把握しておく

隣接する関節は交互に「安定」と「可動」の役割がある。足首、ひざ、股関節は、それぞれ可動、安定、可動に相当し、ひざは安定させるべき関節。ひざを動かしてしまうとバランスが崩れてしまう

最下点が安定する“お手軽ドリル”

普段からローポイントを安定させ、なおかつ球筋の「味付け」に失敗しないためには、みぞおちを支点としてクラブを「ピザの1切れ」の形(左右対称の扇形)に振ることが大事。「長い棒を、みぞおちの動きに連動する(体の回転で振り子状に動く)ように振って、クラブに同じ動きをさせると、『ピザの1切れ』の振り方になります。始動でヘッドを低く上げると、みぞおちとの連動が切れること、ボール位置を変えると、球の高さが変わる感覚もわかります」(黒宮)

Drill1
長い棒とセット素振り

長い棒を右手で持ち、胸の中心に押し当てる。クラブは左手で持ち、体の回転で棒とクラブを一緒に振る。みぞおちを支点に、棒とクラブの軌跡が「ピザの1切れ」の形になるように振る

アマチュアはヘッドを低く引こうとして、グリップエンドがいきなりみぞおちの支点から外れやすい(写真左)。また、支点から外れていなくても、軸が大きく傾くのはNG(写真右)

Drill 2
「スリーブの箱」でシャフトの向きを可視化

アドレスしたときに、スリーブの箱の1面が完璧に正面を向くようにボールなどで固定する。シャフトの向きや角度(前後左右の傾き)が可視化され、スウィング中のシャフトのねじれなどもすぐにわかる

トップまで上げてアドレス位置に戻し、箱の向きがずれていないかチェック。また、トップやフォローなど、いろいろな箇所で箱の向きを確認する

週刊ゴルフダイジェスト2022年10月25日号より