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【イザワの法則】Vol.24「体が回らなくなったら、トップとフォロー、どっちを重視すべき?」

世界も認めた美スウィンガー・伊澤利光が、ゴルフで大切にしていることを語る連載「イザワの法則」第24回。体を大きく回すことが、飛ばしの秘訣だと思っているアマチュアは多いが、加齢によって体が回りづらくなったとき、どこに気をつけると飛距離を維持することができるのか?

TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM) PHOTO/Hiroaki Arihara

前回のお話はこちら

飛距離維持には
トップよりフォローの
大きさが大事

20代、30代のうちは、自分が回そうと思った分だけ、体を回すのは簡単かもしれませんが、40代に入ってくると、やっぱり柔軟性が不足してきますから、若い頃のようには体が回らなくなるというのが普通です。「年のせいでトップが浅くなって、飛ばなくなった」というのは、アマチュアの口からよく聞く言葉ですが、そうなったときにどうするかで、ゴルフをどれだけ長く楽しめるかが決まるのかもしれません。

いちばん「正しい」対処法は、きちんと毎日ストレッチをして、柔軟性が失われるスピードを少しでも遅くするということです。シニアの試合では、スタート時間のかなり前から、ほとんどのプロが入念にストレッチをしています。プロの場合は、頭の中にあるスウィングのイメージは若い頃のまま、という人も多いですから、そうなるとストレッチをさぼるわけにはいきません。イメージと現実に、あまりにもギャップがあると、とてもゴルフにならないからです。

私も元々、体は柔らかいほうではないので、テークバックで少し勢いをつけて上げないと、トップが浅くなります。もちろん、ストレッチは毎日欠かしませんが、トップが浅くなることについては、実はあまり気にしていません。極端に言うと、トップの大きさとフォローの大きさ、どちらかを捨てなきゃいけないとしたら、迷わずトップを捨てます。「トップが大きいほうが飛ぶ」と思い込んでいる人も多いですが、実際はそんなことはなく、逆にフォローが小さくなってしまうと、ボールの高さが出づらくなって、確実に飛ばなくなります。それに、トップが浅くなる場合は、手元側がゆるめのシャフトに替えるとか、道具の工夫でどうにか対処できる部分もありますが、フォローの大きさだけは自分でなんとかするしかありません。


つま先を少し開くと
体の回りにくさを
補うことができる

アマチュアの場合、よほどゴルフに入れ込んでいるか、体を鍛えるのが趣味という人以外は、簡単なストレッチでも、「毎日」続けるのは難しいかもしれません。たとえば、トップが浅くなってしまう人であれば、アドレスで右足のつま先を少し開くと、体が回りやすくなります。フォロー側が回りづらいなら、左足のつま先を開けばいいでしょう。そのくらいの変更であれば、スウィング自体には大きく影響しないので、試してみる価値はあると思います。

ゴルフは、ダウンスウィングが勝負です。切り返しを過ぎてから、自分のイメージ通りに体(クラブ)が動くのであれば、テークバックで右ひざを曲げたままにして上げようが、伸ばして上げようが、どっちでもいいわけです。同じように、スタンスに関しても、打ちたい球筋に対して軌道がストレート(ドローならイン‐アウト、フェードならアウト‐イン)になるのであれば、オープンでもクローズでも、どちらでも構いません。フィル・ミケルソンやマット・クーチャーみたいに、スタンスの向きとスウィングの方向が一致していないプロはたくさんいます。

ただし、アマチュアの場合、フォローの体の回りやすさを優先して、オープンスタンスにするのだけは、あまりおすすめできません。なぜかというと、それによってスウィング軌道がアウトサイドインになる可能性があるからです。フォローの大きさは大事。でも、スウィング軌道はもっと大事。優先順位を間違わないようにしてください。

「飛距離とトップの大きさは比例しないが
フォローが小さいと確実に飛距離をロスしてしまう」

フォローが小さくなると飛距離が落ちる

テークバック側の回転より、フォロー側の回転の大きさのほうが飛距離への影響が大きい。フォローが小さくなると、インパクト後の減速が大きくなるので、ボール初速や打ち出し角、最高到達点の低下を招きやすく、それによって確実にキャリーが減少する

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2022年11月号より