スクエアに構えて、なぜボールは右に出ない? 世界のトップのバンカーショット、打ち方のポイントを詳細解説
現在、バンカーショットのアドレスはオープンスタンスではなく「スクエア」スタンスが主流になっているという。でも、スクエアに構えてフェースを開いたらボールが右に飛んでいってしまうのでは? そうした疑問に引き続き目澤秀憲が答えていく。
TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/ザ・インペリアルCC(PGM)
解説/目澤秀憲
松山英樹をはじめ、河本結と力の姉弟や有村智恵のコーチを務めている。TPIレベル3を取得。31歳
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- バンカーショットというと、オープンスタンスで構えるのが基本だと教わった経験がある人も多いと思われるが、PGAツアー選手のバンカーショットを見ると、ターゲットに対してスクエアに構えている選手が多い。いったいこれはなぜか? スクエアに構えるメリットとは? 松山英樹のコーチも務める目澤秀憲に聞いてみた。 TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroaki Arihara TH……
お手本はジョン・ラーム
フェースを開いてバウンスを利かせながらシャローに打つとのことだが、スクエアスタンスでフェースを開くと右に飛ぶのではないだろうか?
「SWはもともとフェースが少し左を向きやすいので開いてちょうどいいんです。しかし、それでもフェースが右を向きすぎるので、ジョン・ラームのようにボールから離れて手元を低くして構えるのです」
ただ、手元を低くすると手首にタテのコックが入りクラブは鋭角に下りやすくなる。そのため、バックスウィングの上げ方に工夫があるという。
「ラームのようにバックスウィングでコックを斜めに入れて、ダウンスウィングではインサイドから下ろしていければ、ゆるやかな入射角で砂を薄く取ることができます。そしてインパクトでヘッドが手元を追い越しているのはヘッドが走っている証拠です」
Point 1
体重は6対4の割合で左に乗せる
アドレスでやや左足体重で構えておいて、インパクトまでその配分をキープする。アマチュアは右体重のあおり打ちが多い
Point 2
クラブを立てずに斜めのコックを使う
手首を縦に折るコックを使うとクラブが立って鋭角的に下りてしまう。斜めのコックでクラブをプレーンに乗せること
真っすぐ飛ばすアドレスの工夫1
フェースを開く
ロフトが寝たウェッジは、リーディングエッジを真っすぐ向けて構えると、フェース面が少し左を向く(写真上)。少し開いて構えると、フェース面は真っすぐ向く(写真下)
真っすぐ飛ばすアドレスの工夫2
手元の位置を低くする
ボールから離れて手元を低くすれば、ヘッドのトウ側が少し浮いた形になる。トウ側が上がると、自然とフェース面が左を向くため、フェースを開いた状態でも球が右に出すぎることはない
手元を止めてヘッドを走らせる
「ラームのようにインパクトでヘッドが手元を追い越すには、インパクトで手元を止める意識を持つといいです。手元にブレーキをかけるとヘッドだけが走ってスピードが出ます。実際にはインパクトで止めようと思うと遅いので、ハーフウェイダウンあたりで止めようとするとちょうどいいと思います」
手元を止めたときに手首が固まっているとヘッドは出ないため、手首の使い方も重要だ。「バックスウィングで斜めに入れたコックをインパクトではほどいてヘッドを戻します。このときは開いたフェースを戻すように腕のローテーションが入ります。インパクト以降は左手首を甲側に折るようにしてフェース面が返らないで上がっていくことが大事です」
確かにラームのスウィングを見るとフォローでフェース面が返らずに高く上がっている。
「インパクトで手が前に出るとヘッドが走らずフォローが小さくなります。ゆるやかな軌道でインパクトで手元が止まればヘッドを速く丸く振れるんです」
手元が出るとヘッドは走らない
手元が前に出るインパクトではヘッドが走らずスピードが出ないし、フォローが小さくなる
Drill
線から先の砂を薄く取る
ラウンド前など、バンカーが練習できる環境があるときは、バンカーに線を引いてその先の砂を薄く削るように飛ばす練習をやろう。線の手前にヘッドが落ちてしまう人は、右体重になっている可能性が高い。砂が多く取れてしまう人は、バックスウィングでクラブが立っていないか、チェックする。斜めのコックでインサイドから下ろせれば砂が薄く取れることが実感できる。地味な練習だが、バンカー上達には欠かせない
“刃”ではなく“バウンス”で砂を削り取るイメージ
リーディングエッジから入ると砂に深く入ってしまうので要注意
月刊ゴルフダイジェスト2022年11月号より