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自分に過度な期待をかけていませんか? “朝イチ”ショットの緊張を解く4つのポイント

朝イチのティーショットでどうしても緊張してしまう原因として、「不安」「誤解」「視線」の3つを挙げた二見悠嗣プロ。そしてもうひとつ、不要な緊張を招く要因が”期待”だという。それらを踏まえたうえで、緊張を取り除く方法を教えてもらおう?

PHOTO/Yasuo Masuda、Hiroaki Arihara

解説/二見悠嗣

上智大学で心理学を学び、卒業後の23歳からゴルフを始めて脱サラしPGAティーチングプロ資格を取得した異色プロ。メンタル面を重視したコーチングを得意とする

>>前編はこちら

期待値が大きいほどミスが出やすい

ラウンド前に準備運動をやり、練習場でしっかりボールも打って自分のショットの傾向もつかんだ。準備万端、スタートする用意はできた……あれれ、おかしいぞ。まだ緊張感が抜けていない!

「この状況もよくあることです。準備万端で臨むほど緊張感が増してしまう。これは自分に対する期待値が上がることで、緊張感が高まるからです。前回のラウンドの反省点を生かし、練習場で打ち込んで上達を実感できるほどショットもよくなり、今日こそはベストスコアが更新できるはず……こんなときに朝イチでいきなりミスした経験をお持ちのゴルファーは多いことでしょう。不安と期待、この背中合わせの二つの要素は、どちらも緊張感を生む原因になります。これがやっかいなんです」

調子がいいと意気込んで臨んだときほどミスが出やすい。逆に、今日は二日酔いだ、最近全然クラブを握ってなかった、ラウンド自体が半年ぶりというような、期待値が低いときほど、思いがけずベストスコアが出たという経験をお持ちの方もいるだろう。

「期待値を高めることによって緊張感が生まれる人は、朝の練習を1箱だけにする、あるいは練習をしない。極端な方法としては朝から酒を飲んでしまうというのも、期待値を下げる意味では有効です。ただ、すべての人に合う対処法とは限りませんので注意が必要です。そこで期待値を下げて緊張感を抑える方法としてみなさんにお伝えしたいのが、そもそも朝イチのティーショットが本当に苦手なのかどうかをもう一度検証してもらうことです。実際に朝イチでOBを打った回数がそんなに多いのか。もっといえば、確かにナイスショットではなかったかもしれませんが、2打目が打てるところにあれば、それはミスではなく成功と考えることができるのではないかということです」


誰しも朝イチのティーショットは目も覚めるようなナイスショットでフェアウェイをキープしたいと思うもの。でも、たとえ当たりが薄くても、トップしたとしても、フェアウェイをキープできなかったとしても、2打目が打てる状況であれば、そのショットは成功と考えることもできるはずだと二見プロは言う。

「結局、ミスか成功かを決めるのは自分自身なんです。理想的なナイスショットではなかったとしても、ラフにつかまったとしても、OBではなく2打目を前に打てる状況であれば成功と考えることができれば、その後も気持ちよくプレーできますし、朝イチに対する苦手意識もなくなるはずです。さらに期待値が上がっているということは、それだけ調子がよく、準備も整っているということ。つまり“成功”に手が届きそうな状況にあるということです。そう考えれば、緊張感を楽しむとまではいかなくても、喜ばしいことと受け入れる心構えを持つことはできるはすです。実はこれが朝イチショットのキーポイントなんです。調子が悪くて、準備ができていなければ期待値が上がらず、緊張感も生まれませんから」

朝イチの緊張を解く4つのポイント

●準備万端で臨むほど期待値を上げてしまう
>>朝の練習は球数を抑えよう

不安を消すために準備万端で臨むのはいいことだが、これが自分自身への期待値を上げてしまい緊張感を生むこともある。そんな人は朝の練習は1箱だけ、あるいは練習しないという選択もある。また万人に勧められる方法ではないが、あえて朝から酒を飲むという対処法もある。

●成功か失敗かをラベリングするのは自分自身
>>本当に朝イチが苦手なのかを検証しよう

朝イチが苦手という人は多いが本当にミスばかりしているのだろうか。OBを打てば明らかなミスだが、トップしても次打が打てるところにあればいいと思えばミスではなくなる。結局ミスとラベリング(評価)するのは自分。フェアウェイにある球だけが成功というわけではない。

●緊張するのは“成功”が手に届きそうな状況だから
>>喜ばしい状態として受け入れる

自分自身に対する期待値が高まっているというのは、練習で上達を実感したり、準備万端な状況。つまり“成功”が手に届きそうなシチュエーションということ。準備不足や絶不調ではないので、喜ばしい状態として受け入れる心構えを持って、目の前の“成功”を手に入れよう。

●「ゲシュタルト崩壊」に陥る危険性も
過剰なルーティンやチェックポイントを排除しよう
「ゲシュタルト崩壊」とは、同じ漢字を繰り返し書き続けていると個々の構成部分を切り離して認識するようになり全体性が失われてしまう知覚現象。平常心を保つためのルーティンも細かくなり過ぎると、ゲシュタルト崩壊のように本来の目的を果たさなくなる危険性がある。

最後に二見プロは普段の練習での朝イチ対策も教えてくれた。

「初心者を除けば、練習場でいきなりドライバーを打ち始める人はいないでしょう。短い番手から徐々に長い番手を打つと思います。それ自体は正しいのですが、たまには練習場でいきなりドライバーを打ってみましょう。そのときのショットの傾向を知ることも朝イチ対策としてはとても有効です」

もうひとつの難シーン「昼イチ」の克服法は?

昼イチのミスの傾向を知っておこう

「“昼イチ”のミスには人によって、右に行きやすい、トップしやすいなどの傾向があることが多い」と二見プロ。このミスの傾向を知ることで、普段の練習時に予め対処法を練っておくことが大切だ。また食後に練習する方法も有効だ

スコアを6ホール区切りで考えよう

前半のスコアがいいと後半のスタートは緊張するもの。3ホール毎に目標スコアを決めてプレーするメソッドはよく知られているが、これを6ホールに拡大すればハーフターン時にスコアを意識することを防げる

週刊ゴルフダイジェスト2022年10月4日号より