【「打つ」から「振る」へ】#2 ただ振るだけではダメ。“いい素振り”の条件は「軌道がいつも同じ」こと
ボールがあるから振り切れないとすれば、まずは素振りでスウィング作りをするのが良さそうだ。とはいえただ振るだけでは上達は見込めない。先日ツアー初優勝を果たした木村彩子プロを指導する南秀樹コーチに、“いい素振り”のやり方を教えてもらった。
TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Takanori Miki、Hiroyuki Okazawa THANKS/志度CC、アコーディ・ガーデン千葉北
●CONTENTS●
#1 伊澤利光に聞く「振り切れない原因」
#2 振り切れるようになる“いい素振り”の条件とは?
#3 トップアマがやっている“振り切る”工夫
南秀樹
みなみひでき。1974年生まれ。鈴木愛や木村彩子など、多くのプロを指導。香川で「3.7.3ゴルフアカデミー」主宰
木村彩子
きむらあやこ。1995年生まれ大阪府出身。アース・モンダミンカップでツアー初優勝を挙げる。小柄だが、正確なショットを武器に戦う
本当に“いい”素振りが
できている人は少ない
よく、「素振りはいいんだけど、本番が……」と嘆くゴルファーがいるが、木村彩子プロのコーチである、南秀樹プロは、「本当に素振りが『いい』アマチュアは少ない」と、指摘する。本番より力が抜けていてスムーズだが、言ってみれば「ただそれだけ」の素振りが多いというのだ。
「素振りは、クラブが毎回同じ軌道を描かないと意味がないんです。そうじゃないと、素振りの通りに振っても当たらないですから。最初は小さい振り幅でいいから、いつも同じ軌道になるように意識して、できるようになったら段々と振り幅を大きくしていくのがいい。遊園地にある『スペースシャトル』(乗客の乗るゴンドラが縦に1回転するアトラクション)みたいに、どこまでいっても同じ軌道を通るのが理想です」
“いい素振り”のためのポイント
「小さな振り幅から徐々に大きくしていく」
ソール全体で地面を擦るイメージ
毎回、ソール全面で地面を擦ることができれば、同じ軌道で、かつフェースがスクェアな状態で振れている証拠。インパクトでフェースが開いたり閉じたりすると、ソールの一部だけが擦れる形になる
素振りではここをCHECK! 1
フェースがどこを向いているか
素振りではここをCHECK! 2
シャフトがどうしなっているか
シャフトのしなりを感じて、いつも同じタイミングでしならせられるようになると、さらに再現性が高くなる。小さい振り幅の素振りでも、しなりを感じられるとなおいい
フィニッシュで左足に
体重が乗っていますか?
6月の「アースモンダミンカップ」最終日、強い風で上位がスコアを崩す中、ひとり安定したゴルフで初勝利をもぎ取った木村彩子プロ。それを可能にしたのが、普段から「振り切る」ことを意識して行う「素振り」だったという。
「私も、調子が悪くなると『振り切る』ことができなくなって、『打ちにいく』感じになってしまうので、普段の素振りは振り切ることを常に意識してやっています。自分の中では、左足1本でバランスよく立ってフィニッシュできるというのが、振り切れたときの目安になっているので、素振りのときも最初にフィニッシュの位置(形)を確認して、そこを目指して振るようにしています」と、木村プロ。コーチの南プロは、「アマチュアの方なら、フィニッシュで本当に左足1本で立てるくらい、大げさに左に体重を乗せる感覚でやってみるといいでしょう」と言う。
木村プロの素振りには、もうひとつ重要な意味がある。
「振り切ること以外に、軌道を整えるというのも、大事な素振りの目的です。私の場合は、悪くなるとクラブがインから入りすぎる傾向があるので、素振りのときは逆に極端にアウトから下ろすようなイメージで振ったりします」(木村)
最初に決めたフィニッシュ位置に向かって振る
打ちたい弾道をイメージしたら、フィニッシュ位置を決め、あとはそこまで振り切ることだけを考える。「狭いホールになるとどうしても合わせて打ちにいきたくなります。私の場合、左足に体重が乗せられると振り切れている証拠なので、打つ前に必ず確認しています」(木村)
振り切るためのポイント1
フォローから逆算してスウィングを考える
インパクトを意識すると、どうしても「当てる」形になりやすい。フォローやフィニッシュを意識して、そこをゴールにして振れば、インパクトは通過点になる
振り切るためのポイント2
肩の回転を上手く使う
月刊ゴルフダイジェスト2022年9月号より