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【ゴルフの急所】Vol.18「まず“ボールの速度”を決めなければラインは決められない」

30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」を伝授する。

PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/六甲国際GC

前回のお話はこちら

ボールをカップに
どんな速度で入れるか

前回は、ラインを読むときの基本的な心得を紹介しました。前回の手順でグリーンの起伏と傾斜を読んでもらえば、上りか下りか、スライスラインかフックラインかは、ある程度判断できるようになるはずです。

ただ、実戦においては、より詳細にラインを絞り込んでいく必要があります。このときボクが意識しているのは「ボールをカップにどんな速度で入れるか」ということです。

基本的に、同じラインであっても、ボールの速度が速ければ曲がり幅は小さくなるし、遅ければ曲がり幅は大きくなります。強く打つほど真っすぐに近いラインになるし、弱く打つほど大きく曲がるラインになるわけです。

だからこそ、ラインを読むときには、最初に「どんな速度で入れるのか」をしっかりと決めておかなくてはいけません。それが決まっていなければ、ラインというのは正確に読めないのです。


具体的に言うと、ボクは、傾斜や曲がり幅によって、強、中、弱、3つの強さをイメージしています。たとえば、上りでほとんど曲がらないときは、カップの向こう側の壁に「ドン」と当たって入る速度【強】。曲がり幅がそれほど大きくないときには、カップの真ん中に「ポン」と落ちる速度【中】。下りや大きく曲がるラインは、ジャストタッチでカップの手前から「コトン」と入る速度【弱】をイメージするのです。

それが決まったら、頭のなかでボールを転がしながら、その速度でカップに入れるためには、どこを通して、どこに打ち出せばいいのかを逆算し、ラインを絞り込んでいきます。

【強】で打つときは、「コン(インパクト音)、ツー(球が転がる映像と音)、ドン(カップインの音)」、【弱】で打つときは、「コン、ツーーーー、コトン」というように、ボールが転がる映像と音をイメージしながら読むのがコツです。

そうして打つべきラインをイメージしたら、そのラインに覚悟を決めて打ち出すことも大切です。そうすることで、自分の読みが合っていたのか、間違っていたのかがわかり、その経験が次の読みにつながるからです。構えた後で、「もう少し右かな」「もう少し強めかな」などと保険をかけて狙いやタッチを変えてしまうと、いつまで経っても経験が自分にフィードバックされず、ライン読みの精度も上がらないので注意してほしいと思います。

傾斜や曲がり幅で3つの強さをイメージ

【強】
上りでほとんど曲がらない場合

上りでカップを外さないようなラインは、カップの向こう側の壁に「ドン」と当たって入る速度をイメージしてラインを読む

【中】
曲がり幅がそれほど大きくない場合

曲がり幅の小さいラインは、カップの真ん中に「ポン」と落ちて入る速度をイメージしてラインを読む

【弱】
下りや大きく曲がるラインの場合

下りや大きく曲がるラインは、ジャストタッチでカップの手前から「コトン」と入る速度をイメージしてラインを読む

Point
ラインを読んだら決め打ちする

ラインを読んだら、覚悟を決めてそのラインに打ち出すことが大切。それで思い通りに打って外したら、「読みが間違っていた」ということがわかるし、ミスヒットして外したら「ストロークが悪かった」ということがわかる。その経験が次の読みに生きてくるのだ

月刊ゴルフダイジェスト2022年8月号より

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