【傾斜地に強くなる】<後編>これさえ覚えておけば大丈夫! つま先上がり&つま先下がりがラクになる打ち方のコツ
芝が長くなる夏は、法面(のりめん)=傾斜地でボールが止まってしまうことが多くなる。前回はどんな傾斜地にも共通する4つの基本原則を教えてもらったが、ここからは「つま先上がり」と「つま先上がり」、それぞれのライでの打ち方のポイントを具体的に聞いていこう。
TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/ジャパンPGAゴルフクラブ
解説/宮瀬博文
1971年生まれ、千葉県出身。ツアー7勝。昨年からシニアツアーで活躍中。丘陵コースで育ったため、法面ショットはお手のもの。アイ・エー・エス・エス所属
>>まずは傾斜地ショットの基本をおさらい!
- 日本のゴルフ場はホールの両サイドに傾斜地、いわゆる“法面(のりめん)”がよくある。冬は球が曲がっても下まで落ちてくれて助かるが、夏は法面の芝が伸びるから球が途中で止まってしまって厄介だ。そこで今回は、法面からのショットを失敗しないためのコツを、名手・宮瀬博文プロに教えてもらおう! TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/ジャパン……
Case 1「つま先上がり」
体が突っ込みやすいから注意!
まずは、つま先側が高い「つま先上がり」の打ち方のコツを聞いていこう。
「ボールの位置が高いから突っ立ったアドレスになりがちですが、なるべく平らなところと同じ前傾角を取りたいので、傾斜の度合いによってはクラブをかなり短く持ちます。その前傾を保ったまま、トップで手の位置を右肩よりも上げないように、低く収めてフラットに振ることが大事です」
そう振っているつもりでも、ついダフってしまうのだが……。
「インパクトで体が左に突っ込むのがミスのもとなので、右足の上で打つような意識が必要です。あとダフリを防ぐポイントとしては、ボールを右足寄りに置いておくこと。そしてビハインド・ザ・ボールで(頭を右サイドに残して)振れば上手く打てるはずですよ」
Point1
トップの位置を低く収める
ボール位置が足元よりも高いため、軌道はフラットにする必要がある。高いトップからではフラットに振れないので、トップは右肩の横に収めるようにする
Point2
体が突っ込まないように右足体重のまま打つ
Point3
前傾角を最後まで保つ
なるべく平らなところと同じ前傾角で構える。突っ立ちアドレスだとかかと体重になってバランスを崩しやすい。またつま先上がりは球が左に曲がりやすい。目標より右を向いて低めのフックで狙っていこう
宮瀬プロの「つま先上がり」お手本スウィング
ミート率を上げるために右足体重で打つが、完全なベタ足になると、手打ちになってフックが強くなりすぎる。腰を回すために右かかとは“少し”上げて打つようにしよう
Case 2「つま先下がり」
重心が低い状態をキープしよう
つま先下がりのほうが難度は高く感じるが、どうすればしっかり打てるのか。
「ボールが低い位置にあるからまずは重心をしっかりと下げてボールにヘッドを届かせることが大事です。重心を下げるといっても前傾を深くするのではなく、スタンスをウンと広くして構えます。そしてそのときにあらかじめ少し腰を回して左股関節を“入れ”、インパクトの形を作っておくことがコツです」
スタンスを広げることで下半身が動きにくくなるため、最初から回しておくというわけだ。
「あとはクラブをアップライトに(高く)上げて、ボールに向かって直線的にヘッドを下ろすこと。ダウンスウィングでタメを作らずに早く下ろすイメージです」
Point1
タメは作らずヘッドを早く下ろす
Point2
アドレスでインパクトの形を作っておく
ワイドスタンスで重心を下げて構えるが、下半身が動きにくくなるため最初から少し腰を左に回してインパクトの形を作っておく
宮瀬プロの「つま先下がり」お手本スウィング
つま先下がりは「椅子に座るように構える」と言われるが、下半身が止まって完全な手打ちになると引っかけてしまう。インパクトの形で構えておき、さらに体もしっかり回しながらうつことを心がける
深いラフに沈んだら……
フェアウェイへの脱出が最優先!
法面方向にボールが飛んで、落ちてこずに途中で止まった場合、ラフが伸びているところにボールが沈んでしまっている可能性もある。こんなときは、無理にグリーンを狙わずに、フェアウェイに出すことを最優先させよう。無理に狙ってミスすると、ラフからラフへとさらなる大ケガにつながる危険性がある。
深いラフでは迷わずウェッジを選択し、ボールを直接打つのではなく、バンカーショットやロブショットのようなイメージで打つのがオススメだという。
【深いラフのポイント1】
ボールの下をくぐらせるイメージで振る
ボールに当てにいかずにボールの下にヘッドを通すことがラフからの脱出の条件。当てにいくとヘッドが抜けなくなるので気をつけよう
【深いラフのポイント2】
ハンドレイトでインパクト
力任せに打とうとすると手が前に出てヘッドが抜けにくくなる。インパクトはハンドレイトのイメージにすることで、ヘッドが走って抜けやすくなる
【深いラフのポイント3】
小さなUの字を描くように振る
ボールの下を潜らせたいが下の抵抗は少なくしたいので、「小さなUの字軌道」を意識して振る。手首を使ってコックを入れながら、手元をあまり左右に動かさないで打つのがコツ
月刊ゴルフダイジェスト2022年8月号より