【ショートトップで飛ばす】#3 「コックを抑える」「下から動く」で十分な捻転が手に入る
「ショートトップ」のスウィングを身につけるうえで重要なポイントの2つ目が「捻転」の作り方。トップが小さいと十分な捻転が作れないのでは? という気もするが、ショートトップを極めた2人の若手プロは「そんなことはありません」と口を揃える。ショートトップでも飛距離が出る秘密に迫った。
TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/東野ジャンボゴルフレンジ
大岩龍一(右)
おおいわりゅういち。1997年生まれ東京都出身。今年初シード獲得。飛んで曲がらないドライバーショットが武器
櫛山勝弘(左)
くしやまかつひろ。1997年生まれ千葉県出身。ABEMAツアーを主戦場に戦うがポテンシャルは十分。将来有望な若手
●CONTENTS●
#1 なぜ「ショートトップ」でも飛ばせる?
#2 切り返しのタイミングは「左腕が地面と平行」
#3 小さなトップでも「十分な捻転」が得られるワケ
#4 「体とクラブの同調」がカギを握る
ポイントは「コック」と「左足」
飛んで曲がらないと評判の大岩龍一プロ(昨季トータルドライビング部門4位)と、将来を期待される24歳の櫛山勝弘プロ、2人の共通点は「ショートトップ」。そんな2人だからこそ知る、正しいショートトップのコツと、アマチュアが間違えやすいポイントについて語ってもらった――。
大岩 自分は、もともとトップは大きくて、高校生のときに谷将貴コーチに教わるようになって、ハーフショットの練習ばっかりしていたら、今のトップになった。ドライバーでも飛距離が全然変わらなかったから、「もうこれでいいや」って(笑)。
櫛山 ボクもそう。ハーフスウィングの延長線上に、ショートトップのフルショットがあるという感じかな。
大岩 ショートトップのいいところは「再現性の高さ」なんだけど、アマチュアの方が真似するなら気をつけてほしいのは、コックの使い方かな。ショートトップは、自然な体の捻転でクラブを上げるのが大前提で、手は体を回した結果上がるところまででいい。ところが、もともとトップが大きかった人は、それだともの足りなくて、そこからコックを使いがち。そうすると、ヘッドの遠心力でクラブが進んで、コンパクトじゃなくなる。
櫛山 そうなると、捻転を戻すのも大変だし、コックをほどく作業が必要だから、クラブをプレーンに引き下ろしづらいよね。ボクも、無理のない自然な捻転がいちばん大事だと思っていて、でも切り返しで上半身から動いちゃうと台無し。だから、アマチュアの場合、いつも左足から動かす意識を持っておくと、ショートトップが生きると思う。
大岩’s 1Wスウィング
コックを使うと「上がった気」になってしまう
体の回転だけを使ってテークバックすると、トップは自然とコンパクトになる。一方、コックを使うと、一見大きなトップが作れているように見えるが、体が回っていないので、十分な捻転は作れていない。コックを使わずに体の回転で上がるところまで上げれば、小さなトップでも十分な捻転量のあるスウィングになる
櫛山’s 1Wスウィング
下から動くことで捻転差が生まれる
トップまで体の回転を使って上げ、左足から切り返すことでより強い捻転が作られる。ここで上半身から動いてしまうと、捻転差がなくなってしまい、ヘッドを走らせることができない
「ハーフショット練習」やってみよう
大岩プロと櫛山プロ、2人の技術を支える、「ハーフショット」練習の利点とは何か?
「ハーフショットで練習を続けると、スウィングに『力はいらない』のがわかります。ショートトップにすると、最初はもの足りなくて、つい力が入ってしまうかもしれませんが、腰を回してしっかり上体をねじってさえいれば、クラブがインから下りるし、力を入れなくても強い球が打てるのがわかってくると思います」と、大岩プロ。
また、櫛山プロは、「ハーフショット練習では、しっかり捻転しているか、体幹を使って振れているかのチェックができます(この2つがないと飛距離が落ちるため)。そこができていれば、気にするのはインパクトゾーンのヘッドの動きだけ。低く長く、そして真っすぐ動かすように意識することで、球筋を一定にすることができるんです」とのことだ。
大岩’s Advice
切り返しでクラブを真下に下ろす
切り返しは急がず下半身から
トップまでは無理に捻転を作ろうとする必要はなく、切り返しで下半身から動き始めることで、上下の捻転差が最大化される。切り返しを急いでしまうと、上半身から動きやすくなり、捻転が不十分になる
櫛山’s Advice
インパクト前後を真っすぐ動かす
グリップエンドの向きにも注意
始動直後に、グリップエンドが体から外れると(写真右)、クラブ(腕)と体の連動性が失われてしまう。なるべく長い時間、グリップエンドが体を向く意識を持つと、クラブと体が同調する
月刊ゴルフダイジェスト2022年8月号より