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【笑顔のレシピ】Vol.117 「“強くなる”練習には『想像力』が不可欠です」

メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!

TEXT/SHOTANOW

前回のお話はこちら

「上手い選手が勝つんじゃなく、強い選手が勝つ」。僕は教え子のジュニアたちによくそう伝えています。

キレイなスウィングだけ追い求めていても、上手くはなるかもしれませんが勝てるわけではありません。では、勝てる強い選手の条件とは何か。僕は1つに想像力を持ち合わせていることだと思っています。

たとえば「素振り」。大事なのはボールを打つことを想像し、自分の体の動き方を把握することです。クラブを振るということ自体は想像力がなくてもできますが、1球ごとに得られる効果が違ってきます。それが1000回、1万回分ともなれば、想像力の有無が大きな差となって表れるのです。


ショット練習でも同じことが言えます。練習場には木や池がないので、トラブルショットは存在しませんが、ラウンドでは必ず必要になってきます。そこで、上下左右さえぎるものが何もない空間に木や池、さらに言えば前回ミスしてしまったホールを描き、攻略するショットが打てるか。

そんな練習をするには想像力が欠かせません。毎回気持ちよくフルショットを繰り返す選手と、ラウンドするように状況を想像して1打ごとに球を操る選手。強くなるのは後者のほうです。

ただ、子どもたちに「想像力を育め」といっても、身につくものではありません。普段のコミュニケーションから、起きた結果の要因を自分で考えるクセをつけたりするのがいいでしょう。たとえば、ミスしたショットに対して「次、同じ状況ならどう打つ?」という質問をしてみると、徐々に想像力が養われていきます。

想像していることの先に明確な答えはありません。どんなことも結果はやってみなければわからないものですから。

だから子どもたちが想像していること自体を応援してほしいし、たとえ内容が間違っていると感じても、時には指摘せずチャレンジする姿を見守ってほしいと思います。

1球の“質”を上げることができれば、1年後、2年後に大きな差となって表れます(PHOTO/Hiroaki Arihara)

青木翔

あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている

週刊ゴルフダイジェスト2022年3月22日号より

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