Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • レッスン
  • 【世界基準を追いかけろ!】Vol.78「目澤も注目『ザ・ゴルフィングマシーン』とは?」

【世界基準を追いかけろ!】Vol.78「目澤も注目『ザ・ゴルフィングマシーン』とは?」

目澤秀憲と黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。今回は目澤コーチが熟読中という「ザ・ゴルフィング・マシーン」について話してくれた。

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD 最近、コーチング関連の勉強のためにインプットした情報などを教えてください。

目澤 今、『ザ・ゴルフィング・マシーンの解説(※1)』というテキストを少しずつですが読んでいます。難解な本として有名で、まだ完全に読めていなかったんです。

GD どうして読もうと思ったのですか。


目澤 最近、パッティングに関しての勉強をしていたのですが、デビッド・オー(アメリカの著名なパット専門コーチ)が、「ゴルフィングマシーン」から展開して、右前腕の使い方を見てパッティングのスタイルをチェックしているという話を動画で見たんです。それで、関節の角度に注目するのは面白そうだなと思ったのが理由のひとつ。それとブライソン・デシャンボーも、彼の元コーチ(※2)も、その「ゴルフィングマシーン」の影響を受けていることから、興味を持ったのもあります。最近、ゴルフの理論で面白いと思ったものが少なかったので、これは結構面白そうだなと思い、読んでみようと思ったというのもあります。

GD では、面白かった部分を紹介してもらえますか。

目澤 ちょっと前に、幹仁に「フライングウェッジ」について聞かれたことがあって、その本の中でフライングウェッジに言及している部分があって、改めて勉強してみようと思ったんです。

GD それはどういうものですか。

目澤 
あまり読み進められていないので僕なりの解釈ですが、手の教育のようなものです。まず、インパクトでヘッドが当たってボールが潰れ、ボールが飛び出していく瞬間までのクラブの入り方や動きを「ライン・オブ・コンプレッション」と言います。このライン・オブ・コンプレッションの方向によってボールがストレートに飛んだり、曲がったりするわけですが、これを真っすぐにするために、機能的な手首の使い方とか左肩のアクション、それと3次元の切り返しの力の働き方などが大事で、その中の機能的な手首の使い方に関係するのが「フライングウェッジ」なんです。実際には「ウェッジ=くさび」を打ち込む方向やその時の手首の形などによって、ライン・オブ・コンプレッションをストレート方向につなげていくという話なのですけれどね。

GD なるほど、けっこう難しい話ですね。黒宮さんはどんなインプットをしてきましたか。

黒宮 僕は、コロナ期間に自分が苦手だと思っている分野に関して、シンガポールのショートゲームコーチのダビデやオーストラリアのコーチのリアムなど海外のコーチにオンラインで質問したり、意見を聞いたりしました。

GD 内容はどんなものですか。

黒宮 僕が見ている選手に関してのアプローチの問題点を話すと、向こうから、例えば、10ヤードから5ヤード刻みで45ヤードまでのGCクワッドのデータを取って送ってくれって言われて。それでデータを送って、それに対しての意見の交換をしましたね。(黒宮と海外のコーチとの具体的なやり取りは次号で紹介する)

(※1)「ザ・ゴルフィングマシーン」……ホーマー・ケリー著。1969年に発刊されたゴルフのレッスン書。副題に「GEOMETRIC GOLF」と記されているとおり、ゴルフスウィングを幾何学的、物理学的に解析した難解な内容になっている。ゴルフィングマシーンのスウィングの基本概念は(1)軸が不動であること(2)クラブを上下に動かす蝶つがい(ヒンジ)があること(3)クラブを左右に動かす蝶つがいがあること。これを表した「マシーンの概念模型」が有名。(※2)ブライソン・デシャンボーのスウィングは前記の「マシーンの概念模型」に近い。彼の元コーチのマイク・シェイのスウィングもまた、この概念模型のようなスウィングである

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。13歳からゴルフを始め、日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに就任

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。09年中部ジュニア優勝。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。松田鈴英、梅山知宏らを指導

週刊ゴルフダイジェスト2022年3月15日号より