【リズムを極める】合田洋編「名手の共通点は『ゴールデンリズム』」
プロはよく、スウィングでは「リズム」が一番大事と言うが、なぜリズムが大事なのか、どんなリズムが理想的なのか、いいリズムを作るにはどうすればいいのか。プロ・アマ問わず指導経験豊富な5人のコーチに話を聞いた。
PHOTO/Tadashi Anezaki
解説/合田洋
94年の日本プロでバンカーからパターで寄せ、ジャンボ尾崎を振り切っての優勝は今も語り草。東京・八丁堀の「Gスタジオ」でレッスンを展開
リズムは性格でも変わる
ゴルフを語るうえで外すことができないのがリズム。ゴルフの3大要素は「リズム」、「スウィング軸」、「連動」です。
実は変則スウィングというものがあるように、リズムにも変則というものがあって、それは必ずしも悪いものではありません。たとえば、デビューしたばかりのタイガー・ウッズは完全なリズム変則。宮里優作プロなどもテークバックのスピードが遅すぎてリズム変則に分類できますし、松山英樹プロもリズム変則系です。上手いのにスウィングがきれいに見えない人も同じです。これらは、変則スウィングと同様、参考にするのが難しいんです。
スウィングリズムは性格でも変わります。リッキー・ファウラーのような選手に「もっとゆっくりしたリズムで」と言ってもちょっとおかしなことになってしまいます。身体能力とか筋力とかでも変わるし、身長なども影響します。
では、よいリズムは何拍子かと言われると、時間で計測しているものなので、拍子というものでは表現できないと思います。ゴルフスウィングは単純な振り子運動ではないから。ゴルフスウィングはいわばダブルペンデュラム=二重振り子です。下半身の動きと上半身の動きにタイムラグ、時間差があって、リズムにもそういう変化が出てしまうからです。
さて、僕が調べてみた限り、優れた選手の多くが「ゴールデンリズム」にピタリと合っていました。これは私の作った名称ですが、仮にアドレスからトップまで1秒だとしたら、切り返しからフィニッシュまでも1秒というもの。アマチュアの方はまず、これを参考にしてはいかがでしょうか。もちろん、そこから外れていても安定して実績を残していれば問題ありません。自分のヘッドスピードと同程度の上級者で「ゴールデンリズム」を実践している人がいたら、相当よいお手本になるはずです。
スウィング理論にはいろいろあって、こう動かせば上手くいくということを習います。しかし、緊張すると、変な感情が入って教わった通りの動きができなくなってしまいます。手が動かなかったり、逆に動きすぎてしまったりということでミスが出る。そういうときに、最後に頼れるのがリズムです。リズムに集中することで感情をコントロールできます。土壇場になったら形を考えずにリズムだけを頼りにして打ったほうが、最終的には上手くいくのです。
理想はトップまでの時間=フィニッシュまでの時間
「切り返しという間の時間があるけれど、それは一瞬のことなので置いておき、アドレスからトップまでの時間と切り返し後のフィニッシュまでの時間がイコールで結ばれるのが理想的です」
週刊ゴルフダイジェスト2022年3月15日号より