Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • レッスン
  • 稲見萌寧の“球を打たない”練習法 #2 ショットの成否を決める「トップ位置」をとことんチェック

稲見萌寧の“球を打たない”練習法 #2 ショットの成否を決める「トップ位置」をとことんチェック

ラウンド前の練習ではほとんど球を打たないという稲見萌寧。では実際に、どんな練習をして、それぞれどんな意図があるのか。詳しく見ていこう。

PHOTO/Shinji Osawa、Yasuo Masuda、Tadashi Anezaki THANKS/北谷津ゴルフガーデン、CAT Ladies2021、スタンレーレディス、日本女子オープン

解説/奥嶋誠昭

おくしまともあき。1980年生まれ。神奈川県出身。ツアープロコーチとして、稲見萌寧、木下稜介、高橋彩華を指導。横浜のノビテック(ヒルトップ横浜クラブ内)でGEARSを使ったアマチュアレッスンも行う

●Contents●
>>稲見萌寧の練習メニュー
>>重要なのはトップ位置!
>>「球を打つ」練習の目的は?

トップを見ればクラブの動きがわかる

GD 稲見プロの練習を見ていると、トップの手の位置をたびたび確認していますよね。

奥嶋 インパクトゾーンのヘッド軌道をスクエアに整えるためには、その前段階のトップの手のポジションがとても重要なんです。手を見れば、フェースの向きやシャフトの角度もすべてわかります。トップは、自分でも確認できる大切なチェックポイントなんです。

GD セルフチェックですね。

奥嶋 
そうです。左手1本でトップまで上げたり、右手1本で上げたり、いろいろ試していつも正確な位置にトップが上がるようにチェックしています。

GD 確かに、左手1本で上げるところも見ました。

奥嶋 あとは、ダウンスウィングのチェックです。そのためにやっているのは、トップからダウンスウィングの動きを2~3回繰り返してから素振りする練習メニュー。8Iや5Uや、ときにはドライバーでも、この動きを取り入れて素振りしたり、ボールを打ったりしています。

GD トップの手のポジションとダウンスウィングのヘッド軌道を絶えずチェックすることが、インパクトゾーンをスクエアに保つ秘訣なんですね。

奥嶋 それが稲見プロのスウィングの核心でもあります。


球を打たない練習1
軟らか棒を振る

「稲見プロは、軟らか棒の素振りから練習を始めます。リズムを整えるだけでなく、意図的にゆっくり振って、ヘッドの重さがどの方向にかかるか確認することもあるようです」(奥嶋・以下同)

球を打たない2
左手の片手素振り

「フェードヒッターの稲見プロは、左手の感覚がスウィングの生命線です。SWを左手1本で持ち、精度の高いフェードに必要なわずかなアウトサイドイン軌道のインパクトゾーンをなぞるように素振りします。振る幅は腰から腰まで。この動きを数回繰り返します」

球を打たない練習3
トップ~ダウンのヘッド軌道を確認

「インパクトゾーンでヘッドを正確に動かすには、ダウンスウィングの正確な軌道が必要です。まずトップの位置を確認して、そこからハーフウェイダウンまでの動きを2~3回繰り返して、ダウンスウィングの軌道を体に覚え込ませます。そのイメージが消えないうちにフィニッシュまで振り抜きます」

球を打たない練習4
バット素振り

バットを振るのはパワーアップのため、というのが普通の発想だが、稲見の場合は少し違う。バットでもトップの位置を確認している。単純なパワーアップではなく、あくまで目的は正確なヘッド軌道にあるのだ。

手元の「リフトアップ」を防ぎたい

GD 8I、5U、3W、ドライバーの練習メニューで、クラブを持たずに手を胸でクロスさせて体を回す動きをやっていましたが、あれはなんでしょうか?

奥嶋 稲見プロは、優れた手打ちの感覚を持っているんですが、器用な手を使いすぎると、手がオンプレーンよりも上に外れるリフトアップが起こるんです。ほんのわずかですけど。すると、ボールがつかまらなくなったり、方向性が悪くなるんです。あの練習は、リフトアップしないためのチェックなんです。手をクロスした状態で体を回し、手を伸ばす。クラブを持っても同じところに手が上がっていたらOKです。

GD そういうスウィングのチェックを、朝のスタート前にやるのは驚きですね。

奥嶋 そこが、稲見プロの凄いところ。つねにパーフェクトを目指して、スウィングを仕上げておきたいんですね。

球を打たない練習5
両手をクロスさせて体を回す

【STEP 1】クラブを持たずに体を回す

【STEP 2】クラブを持ってトップの位置をチェック

リフトアップすると球がつかまらなくなる

「クラブを手で持ち上げると、手がオンプレーンより上に外れる“リフトアップ”が起こります。この動きが入ると、クラブがアウトから鋭角に下りてきやすくなり、ショットの精度が落ちてしまいます。そのため、稲見プロは絶えず動きをチェックしています」(奥嶋)

奥嶋誠昭
おくしまともあき。1980年生まれ。神奈川県出身。ツアープロコーチとして、稲見萌寧、木下稜介、高橋彩華を指導。横浜のノビテック(ヒルトップ横浜クラブ内)でGEARSを使ったアマチュアレッスンも行う

週刊ゴルフダイジェスト2021年12月28日号より