フェースを“返そう”としていませんか? スライスを直すには「インサイドアタック」が絶対です by 藤田寛之
スライスを防ぐために、無理にフェースを返して球をつかまえようとする人が多いが、「それは逆効果」と藤田寛之は言う。その真意は? 詳しく聞いてみた。
PHOTO/Tsukasa Kobayashi、Hiroyuki Okazawa THANKS/葛城GC
解説/藤田寛之
1969年生まれの52歳。福岡県出身。専修大ゴルフ部を経て92年にプロ入り。国内ツアー通算18勝。12年には年間4勝で賞金王に輝く。今季まで23年連続賞金シードを保持。小誌で「フジタの時間」連載中
「フェースを返すだけでは
スライスは防げません」
男子ツアー屈指のショットメーカー・藤田寛之に、スライスを直すための方法を聞いてみた。
「アマチュアは確かにスライスが多いです。一緒に回っていると、スライスが出た瞬間に『あぁ~フェースが開いた』というアマチュアの声をよく聞きます。スライスを直そうとすると、フェースを閉じることばかりを考えがちですが、スライスする根本的な原因は、もっと別のところにあるんです」
いったいどういうことか。
「スウィングの大前提は円軌道です。クラブはインサイドから入ってインサイドに抜けていく、いわゆる『イン・トゥ・イン』軌道が基本です。ですが、多くのアマチュアはアウトサイドからクラブが入る『アウトサイドイン軌道』になっています。これがスライスの原因であり、フェースが開いてしまう要因でもあるんです。ボクのなかでは、アウトサイドからクラブを入れることはありません。カット軌道はボールにエネルギーが伝わらないので飛ばないし、ボールも大きく曲がります。カットに打つときがあるとすれば、バンカーの目玉や深いラフ、ロブショットだけです」
どうしてカットに振ることが、フェースが開く要因になるのか。
「アウトサイドイン軌道で振ると、本来であればボールは左に飛ぶはずです。そこで引っかけを嫌がってフェースを開いてしまうため、スライスが出るんです。イン・トゥ・インに振ることができれば、フェースが開きながら入り、インパクトでスクエアを迎え、閉じながら抜けていきます。このスウィングの基本が重要なんです」
スウィング軌道は「イン・トゥ・イン」が基本というフ藤田。「フェースが閉じてインパクトしてもアウトサイドイン(カット)軌道に振れば、左に出て右に大きくスライスします。つまりフェースの開閉より先にスウィング軌道を見直すべきなんです」(藤田・以下同)
フェードでも
球をつかまえる
藤田といえば「フェードボール」が代名詞だが、フェードであってもクラブはインサイドから入れるという。
「スウィングの目的はボールを遠くへ飛ばすこと。つまりエネルギーをいかにボールに伝えられるかです。それにはインサイドからクラブを入れることが必須。インサイドからクラブを入れることで、ボールを“つかまえる”ことができるんです。フェードでも球をつかまえることが基本。だからフェードでも、必ずインサイドから入れるんです」
このインサイドとアウトサイドは、どう区別するといいのか?
「基本的にはスウィングプレーンに対して内側(体に近い)がインサイドの領域で、外側(体から遠い)がアウトサイドの領域になります。この区別は誰もがイメージしやすいと思いますが、もうひとつ大事なのが、体の向きに対する領域です。右サイド(体が閉じた状態)がインサイドの領域になり、左サイド(体が開いた状態)がアウトサイドの領域になります。インパクトに向かって体(肩や胸、腰)が早く開いてしまうほど、アウトサイドに入りやすいということです。ポイントは体を閉じたまま(右サイドに残す)、インパクトに向かうこと。これがインサイドにクラブを入れる要素になるんです」
プレーンに対して外側がアウトサイド
内側がインサイド
胸や腰を右サイドに“残す”と
インサイドから入る
アドレスの時点で「つかまらない構え」になっている
スライスを嫌がるほど、左を向きやすくなり、ボールもどんどん左寄りになる。だが、このアドレスがアウトサイドからクラブが入る要因になっている。右腰、胸、右肩が前に出ていないか、チェックしよう
インサイドアタックを手に入れる
3つのドリル
Drill 1 クラブで8の字を描く
Drill 2 ステップ打ち
Drill 3 沈み込みインパクト
週刊ゴルフダイジェスト2021年12月28日号より
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