PHOTO／ARAKISHIN　THANKS／六甲国際GC
ILLUST／Koki Hashimoto　TEXT／SHOTANOW

ラグビー元日本代表の大畑大介が、高校の同級生で元メジャーリーガーの上原浩治をゴルフで打ち負かすべく、精鋭コーチ陣に教えを請う本連載。第8回は、いままで気持ちよく振り切れたことがないというアイアンについて。ズドンとグリーンに止まる高い球の習得を目指す。

やりたいことができていなくて悩むのは、自分への期待値の表れ。きっとできると思うから悩むんだと思う。たまに上手くいかない自分にイラついたり嫌気がさしてしまう人がおるけど、常に加点法で物事を考えればいい。今が“ゼロ”だとしたら、その次は最悪でもゼロ、少しでも上達したらプラスになるわけやから。オレのゴルフだって、今は伸びしろしかない状態。アイアンなんてコースでちゃんと振り切ったことないくらいやから。ドライバーのティーショットと比べて、グリーンがもう見えるところにあるから、いつも7割くらいの力で軽くでもちゃんと当てようって思っていた。それがもし10割の力で毎回振れるようになったら、とんでもないショットが手に入るはずや。でもしっかり振ってもちゃんと芯に当たるなんて、そんなウマい話あるかな。美奈瀬師匠なら、なんかしら方法を知ってるはずや。待ってろ上原!

上げたいときは下に振る!?

体幹をギュッと締めるスウィングによって、ドライバーやFWの精度が格段にアップした大畑氏。次なる課題はアイアンだが、これまで一度も気持ちよく振り切れたことがないという。

大畑　アイアンってグリーンに運ぶためのクラブって聞くけど、プロみたいにズドーンッて止められたためしがないんやけど。

小澤　さっき練習を見ていたんですけど、全力で振ってないですよね。コースでもそうですか？

大畑　ダフリかトップで転がって運よくグリーンに止まるみたいなのがほとんどだから、ちゃんと当てようと思って7割くらいの力しか出さんようにしてるんよ。

小澤　モッタイナイ! 大畑さんの力なら、男子プロみたいに高い球でドスッとグリーンに止められるのに。

大畑　オレもデシャンボーみたいに打てるってこと? PWで190ヤードとか夢が膨らむわ。

小澤　さすが目指す山の高さが異次元すぎる……。

さっそく、7番アイアンをドライバーのときと同じく10割の力で振る大畑氏。しかし打球は身長くらいの高さまでしか上がらないハーフトップに。

大畑　コレなんですよ。イメージは10倍くらいの高さなのに、出るのはカツーンっていうトップばっかり。

小澤　なるほど～。それにしてもすごい打球速度ですね。細い木くらいなら、バキバキなぎ倒していきそう……。

大畑　あの前に突き進んでいくエネルギーが、もっと上に向いてほしい。

小澤　じゃあボールを下に押し込んでください。

大畑　えっ? 上げたいのに下に押し込むの?

ラウンド前にボール位置を確認

小澤　ボールってバックスピンがかかることで高さが出るんです。打ち出されるときの角度という要素もありますが、それは番手ごとにロフト角が付いてるのでクラブにまかせてください。

大畑　バックスピンをかけるために、上から打ち込む必要があるってことね。

小澤　ロングアイアンはロフト角が立っているので、よりすくい上げようとしがちです。そうなるとインパクトで右肩が下がって、ダフリかトップしか出ません。

大畑　まさにいつものオレや……。

小澤　なのでロングアイアンも、ボールを下に押し込む意識が必要です。

大畑　ボール位置が右足寄りのほうが下に押し込めそうやけど、どこに置くのが一番いいの?

小澤　ボール位置は人によってそれぞれなんです。でもFWと同じで、少し左足寄りのほうが体幹が緩みにくいです。日によっても“ベスポジ”は変わるので、朝の練習で少しずつボール位置を変えて、一番気持ちよく振れる場所を探してください。

大畑　なるほどオレのパワーを生かすためにも、振りやすさ重視で決めるのがいいんやね。

小澤　あらかじめ目安は作っておきつつ、その日一番振りやすい位置を見つけるっていうのが、ナイスショットの確率を高めるコツですよ。

大畑　よっし! これでショットは完璧。あ、オレ忘れっぽいからこれまで師匠に教わったことを確認してもいい?

小澤　じゃあ最後に復習テストをやりましょう!　赤点は許しませんよ♡

【オオハタ’s MEMO】
上げたいときほど意識は下に
ボール位置は朝の練習でチェック!

今週のおまけ動画

令和の武蔵になる!

オオハタダイスケ

大畑大介。1975年11月11日生まれ。ラグビー元日本代表、伝説のウイング。大阪の東海大仰星高で上原浩治と同クラス。ゴルフのベストスコアは91だが「本気を出せば上原に勝てる」と豪語するスーパーメンタル&フィジカルでゴルフ修行へ

迎え撃つは

ウエハラコウジ

上原浩治。1975年4月3日生まれ。読売巨人軍の元エースで、メジャーリーグでも活躍したレジェンド。マウンド上の緊張感を今はコースで味わうのが楽しいという根っからのアスリート気質を持つエンジョイかつ本気ゴルファー。同窓生・大畑の挑戦を待つ

週刊ゴルフダイジェスト2021年9月14日号より