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重要なのは「モビリティ」。飛距離アップに成功した2人のプロの体づくりメニューを公開!

TEXT/Daisei Sugawara
PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Kazuo Iwamura

ブライソン・デシャンボーを筆頭に、近年、体を鍛えるプロが増えている。だが、やみくもに筋トレすればいいというものではない。ゴルフのスウィングで重要なのはモビリティ=可動性。柔軟性を高めつつ筋力を強化していくトレーニングが求められる。今回は、ゴルフに必要な筋力を効果的に鍛えて飛距離アップに成功した2人のプロの事例をご紹介!

Case 1 宮里優作

下半身背中を鍛えてHS2㎧アップ!

宮里優作
肉体とスウィング改造が功を奏し、5月のダイヤモンドカップで久々の10位以内に。川崎鷹也と武井壮による楽曲「ひとりの戦士」にも参加するなど、挑戦づくしの2021年だ

宮里優作の体に“事件”が起きていた。昨シーズンに比べて、明らかに「デカく」なっているのだ。聞けば、コロナ禍のステイホームを逆手に取り、器具を揃え、自宅をジム化して、トレーニングに明け暮れていたという。

「下半身と背中を重点的に鍛えたことで、やりたかったスウィングができるようになってきました。ヘッド速度も2㎧くらい上がっているんですが、それ以上に初速が出た実感があります。去年からドライバーを少しずつ長くしていて、今は45.5インチ。体とスウィング、それにクラブが三位一体となって、飛距離につながった感じです」(宮里)

現在の平均飛距離は、キャリーで300ヤードに迫る勢いだというから驚き。スウィングは、左右に体を揺さぶるようにして飛ばす動きから、縦の動きが強い、最新のものにシフト中だという。

「今までは、踏み込んだ左足を『伸ばす』という動きは使っていなくて、むしろ我慢して伸ばさないように耐えていました。今はジャンプするくらい伸ばして、タテ回転で振っています。練習ラウンドしていても、去年は越えなかったバンカーを越えるようになったり、目に見える形で成果が出ています」

踏み込んで伸びるタテ回転にシフト

これまでは、体を左右方向に揺さぶって飛ばしていた。新スウィングは、揺さぶりを排除し、タテ方向に踏んで、伸びる動きのなかで、クラブも鋭くタテに振っていくスタイルに変更

スクワットジャンプ
強く踏み込む感覚を養う

宮里のスウィング改造の中身を、もう少し詳しく聞いてみた。

「踏んで伸びるといっても、インパクトまでは頭を浮かしちゃダメなんです。ダウンスウィングは背中で引っ張る感じで、そうすると前傾角もキープできます。背中とお尻のトレーニングがここで効いていますね」(宮里)

踏んで伸びる感覚をつかむために行っているのが、スクワットジャンプ。踏むイメージは、跳び上がる前の形ではなく、跳んで“着地”する瞬間の形で作る。足裏全体で「バンッ」と音がするように、地面を踏みしめて下りるという。

「音が出るほど踏めれば、地面からより強い力をもらえる。その後、ジャンプと同時に背中で引っ張ります。振り下ろすときに加速して、最下点を過ぎて上がるときに、もう一段加速する感覚です」

着地でバン!と音を立てる

Point 1
一度踏み込んでから伸びる

Point 2
インパクトまで頭の位置を上げない

Point 3
背中を丸く使いインパクトで引っ張る

Case 2 勝みなみ

しなやか強い筋肉を作っています」

勝みなみ
黄金世代をけん引してきた22歳。上半身が大きく、下半身が小さいという体型を改造すべく2019年から本格的なトレーニングを取り入れる。上の写真はお尻と太ももを鍛えつつ、股関節の可動域を高めるトレーニング

一昨年頃から本格的に体を鍛えはじめ、昨年の平均飛距離は、以前より10ヤード近く上がったという勝。滞在先のホテルでトレーニングに励む勝に聞いた。

「もともとは怪我をしないように、1年間戦える体を作るためにトレーニングを始めました。それまではシーズン後半に疲れが出てしまい、怪我しやすい体になっていました」(勝)

勝がまず取り組んだのは、柔軟性を高めるためのストレッチだったが、可動域が増すにつれ、スウィングを支えるための“土台”の力不足に気づいたと言う。

「筋トレ重視に切り替えた結果、飛距離は10ヤードくらい伸びました。ただ、それ以上飛距離を伸ばそうとは思っていませんね」

理想とする鞭のようにしなるスウィングを支える土台ができた今、ストレッチ主体のトレーニングに取り組んでいるという勝。好調なショットでつかんだ2年ぶりの優勝が、その効果を物語っているのだろう。


パワーを上げる

筋トレ系メニュー

「ゴリゴリな筋肉をつけると体が硬くなってしまい、動きにくくなる」と勝。柔らかい筋肉を作りたいという目的から、全体的に、ストレッチも兼ねたトレーニングが主体。ストレッチ後に行う

<Menu 1>体幹とお尻を強化

<Menu 2>地面を踏んで蹴る力を強化

片足を上げた状態で、椅子に座り、立つ。これを繰り返す。ひざが割れないよう注意

左右10回×3セット

<Menu 3>土台となる下半身を強化

一歩前に踏み出し戻る。軸足のひざが地面につくぎりぎりまで沈む

●左右10回×3セット


モビリティを上げる

ストレッチ系メニュー

トレーニングは全体で1日30分~1時間やるが、まずはその半分ほどの時間をかけてストレッチを入念に行う。体幹、肩甲骨周り、股関節周りをまんべんなく伸ばしていく。「呼吸を入れながら伸ばしています」(勝)

<Menu 1>もも裏とアキレス腱を伸ばす

片方の足を曲げ、もう片方の足を伸ばし、前屈。太ももの裏とアキレス腱を伸ばすことで、前傾を維持しやすくなる
左右合わせて約10分

<Menu 2>肩甲骨の柔軟性を高める

横向きに寝そべり、上に来た腕を360度回す。左右行う。捻転を深くする効果がある

ほぐれるまで

<Menu 3>腹部の柔軟性を高める

仰向けに寝て、あばら骨の下に指を入れながら息を吐く。これも深い捻転を作りやすくなる効果がある

指がしっかり入るまで

スウィングが大きくなった!

「以前よりトップで上半身が深く入るようになった」という勝。トレーニングにより可動域が大きくなったことに加え、それを支える土台が安定したことが、飛距離アップにつながった

週刊ゴルフダイジェスト2021年6月29日号より