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【スウィング研究】「曲げる」稲見と「伸ばす」小祝。2人の強さの秘密は“フォロー”にあった

PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Hiroshi Yatabe、Hiroaki Arihara

2020-21シーズン、すでに3勝を挙げている小祝と、先日6勝目を挙げた稲見。ともに獲得賞金1億円を突破し、賞金ランキング1位と2位でツアーを牽引している2人のスウィングについて、それぞれのコーチに話を聞いた。

●小祝さくら

インパクト直後の二等辺三角形
ヘッドが加速している証拠

まずは小祝さくらのスウィングから。コーチの辻村明志氏によると

「彼女の強みはインパクト直後の腕とクラブの位置関係にあります。通常、両腕が伸び切って、ヘッドと両肩を結ぶ二等辺三角形ができたときに、ヘッドスピードが最大になっていると言われます。小祝プロの場合は、その三角形がインパクト直後にできている。つまり、ヘッドが加速しながらインパクトを迎えられている証拠です」

この加速インパクトを身につけるため、このオフは下半身を積極的に使う練習に取り組んだという。

「スパイクのグリップに頼ることなく、素足で踏ん張って球を打つ練習をしました。これによって、下半身でクラブを引きつけられるようになり、結果として強いタメも生まれました。左足で体重をしっかりと受け止めながら、右足の蹴りとともにタメを開放することでヘッドが加速し、このような理想的な三角形を作れるようになったのです」

切り返しで作ったタメを一気に開放

切り返しから下半身リードでクラブを引きつけて、左足でパワーを受け止めながらタメをギリギリまでキープ。右足の蹴りとともにタメを解放し、ヘッドが最大限加速を迎えながらインパクトを迎えている

止めるまでやり続ける忍耐力がある
「言ったことは僕が止めるまで続けます。あまりに忠実にこなすので、僕のほうからもうやめておけば? と言いたくなることもありますね」(辻村コーチ)

●稲見萌寧

左ひじのゆとりが
曲がらない球を生む

稲見萌寧のスウィングで肝となるのは「左ひじ」だと奥嶋誠昭コーチは言う。

「インパクトからフォローにかけて、“左ひじ”を伸ばし切らないままボールを打つことができるのが彼女の特徴です。この形は、真似をしようと思ってもなかなかできるものではありません。僕がコーチを務め始めたときからすでに左ひじを抜いて打っていましたね。左ひじを伸ばさない利点は、インパクトからフォローまでフェース面をスクエアに保ったままボールを打てるということです」

左ひじを曲げたままだと、飛距離が出しづらいイメージがあるが、その点はどうカバーしているのか。

「たしかに飛距離については悩んでいましたが、トレーニングを重ねて地面反力をしっかり使えるようになったことで、飛距離も伸びてきました。通常は、地面を強く蹴ると、インパクトで両ひじが伸び切ってしまうものですが、彼女の場合は左ひじが伸び切ることなく振り抜けています。これによって、安定性と飛距離アップを両立できました。ここからさらに飛距離を伸ばすことも可能ですが、左ひじの感覚は絶対に残したいところ。スウィングの完成度としてはまだ50点ぐらい。まだまだ強くなりますよ!」

地面を蹴ってもひじが伸び切らないすごさ

切り返しで、左足を強く踏み込むことで、地面からのパワーを受け、鋭く回転している。「フォローで左ひじを抜きながら体を回していくことで、低く長いインパクトゾーンになります。フェースがスクエアな時間が長いので、球をしっかりとコントロールできるのです」(奥嶋)

稲見の個性を生かしながら伸ばしていく
18年のサードQTに失敗したときに出会った2人。そこから大胆にスウィングを変え、翌年は推薦出場から好成績を出し、賞金ランク13位に。今の好成績の陰には奥嶋コーチの存在があった

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週刊ゴルフダイジェスト2021年6月8日号より