【競技ゴルファー・タニシゲ】Vol.31 ザックリしそうな薄芝からはUTアプローチが役に立つ!

ドライバー、アイアン、アプローチ、バンカー、パット。一通りのレッスンを終え、次はいよいよ実践編。場所は静岡県の裾野CCだ。谷繁は増やした引き出しをうまく開けることができるか?
PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/裾野CC

青木翔 1983年福岡県生まれ。2017年渋野日向子を全英女子オープン優勝に導いたコーチ。2020年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。ジュニアから一般アマチュアまで幅広く指導。「六甲国際ゴルフアカデミー」校長
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- 競技ゴルフに真剣に取り組む谷繁元信をプロコーチの青木翔が徹底指導! 今回はいよいよパッティングをチェック。曲がるラインの狙い方について、目からウロコのコツを教えてくれた。 PHOTO/Tadashi Anezaki 谷繁元信 1970年広島県生まれ。88年ドラフト1位で横浜大洋ホエールズ入団。02年中日ドラゴンズに移籍。14、15年はプレーイングマネジャー、16年は専任監督。……
ピンまで距離がある。
UTで寄せる新手
青木 裾野カンツリー倶楽部にやってきました。
谷繁 シニアのファンケルクラシックの開催コースですよね。実は、予選会に3回出たことがあるんですよ。すべて跳ね返されましたが……。
青木 今日はコースへのリベンジという意味も込めて回りましょう。
谷繁 まずは395ヤード・パー4のホールからスタートしました。
青木 ティーショット前、さり気なくカット打ち防止ドリルをやっていましたね。
谷繁 あ、見てた(笑)? アドレスの際、右足を20センチほど引いてクローズスタンスにして右足のかかとを上げる。右手でドライバーのグリップエンド付近を押さえ、左手でヘッドのソール部分を押さえ、トップからダウンスウィング、フォロースルーの形を取る。左足のひざは曲げずに伸ばす。
青木 完璧です。この動きが体に染み付けば、左足を開いてパワーを逃すなんてできなくなります。
谷繁 おかげさまでナイスショット出ました!
青木 100点でした。
谷繁 でも8番アイアンで打った2打目はミス。8番だと少し大きいから、ちょっと弱めに打とうとしたら……。
青木 ミスするだろうなと思っていました。アドレス時、ボールから離れすぎていたんです。というのも、また手元で操作して距離感を出そうとしていたから。打つ前、谷繁さんに「クラブをちょっと短め、スタンスもやや狭めで」と声を掛けましたが、ボール位置からはジリジリ離れていました。離れたほうが手元で操作しやすいですからね。
谷繁 試合中でも知らず知らずにそうなっている気がします。
青木 そこでもう一度アドレスからやり直しです。さっきより前に立ち、腕は吊り気味、わきは締める。
谷繁 めっちゃ近いように感じたけれど、今度はナイスショット。あのアドレスで良かったんだね。
青木 谷繁さんは、ちょっとライが悪いと、手元を使いたくなるものだからボールから離れるんだと思います。
谷繁 パターのときは、ボール位置にどんどん近づくクセをこの間指摘されたけど……。自分では気づかないものですね。
青木 次はパー3に移動しました。ここでの課題はアプローチでした。
谷繁 ティーショットはグリーンから1メートルほど手前のファーストカットに着弾。ピンは奥だから10メートルほど残ってしまった。
青木 どうやって寄せます?
谷繁 今、ウェッジを2本持っていますが、試合なら間違いなくパターを使うと思います。
青木 それでいいと思いますね。冬芝でチャックリだけはなんとか避けたい。となると、優先させるべきはどれだけやさしくヒットできるか。そしてパーパットの安全圏内に寄せていけるか、です。
谷繁 となると、やっぱり俺はパター。でも、だいぶ弱かった。打ち切れなかったなあ。
青木 そんなときこそUTアプローチなんですよ。
谷繁 その場でちょっと試してみたら、すぐわかった。この技術は持っておいたほうがいいって。
青木 でしょう。ちなみに打ち方を確認すると、まず距離感はパターでOK。握りもパター。で、腕は吊って、ボール位置はやや右寄り。
谷繁 UTアプローチだとミスヒットの怖さがないわ。なるほどねー。
青木 今回は、これまで培った技術をコースで実践するはずでしたが、新しい技術を仕入れる結果に……。
谷繁 谷繁ノートにメモメモ。

グリーンからこぼれた球がファーストカットに。青木が使ったUTアプローチに谷繁は興味津々
青木 2ホール回りましたが、おおむね良かったですね。気になったのはマネジメントかな。出だしのパー4。フェードヒッターの谷繁さんはフェアウェイがやや狭く感じたでしょうが、狙いは最初「左」とおっしゃっていましたよね。僕は右の木狙いで、ミスしても右ラフ、つかまればフェアウェイ、と想定。
谷繁 ああ、俺の最初の狙いだとちょっと引っかかったら「サヨナラ」でダボだ。
青木 競技ではボギーは仕方ないとしてダボはダメ。谷繁さんには「75」のスコアを3日間並べられるマネジメントをしてほしいんです。
谷繁 去年の関東ミッドの予選、上がり2ホールで+2、結果、「78」のスコアで敗退したことを思い出してしまったよ……。
週刊ゴルフダイジェスト2025年4月29日号より
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