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師匠・藤田寛之から学んだパットの極意<ショートパット編>開いて閉じるのではなく“閉じて開く”が正解

以前、長尺パターを使っていた黒木は、師匠・藤田寛之の指導のもとで通常の長さのパターに戻したという。それは、パッティングに本当に必要な動きを身に付けることができたからというのだ。ロングパットの距離感が出せ、1メートルを確実に決められるパットの技を教えてくれた!

PHOTO/ARAKISHIN ILLUST/Masashi Anraku THANKS/UMKカントリークラブ

解説/黒木紀至 くろぎのりゆき。1993年生まれ、宮崎県出身。数年前から藤田寛之に師事してゴルフが激変。悩んでいたパットも大きく改善され、今季は下部ツアー上位の資格でレギュラーツアーに参戦する。UMKテレビ宮崎所属

>>前編はこちら

低く抑える気持ちだと
インパクトで緩まない

――次はショートパットのコツを教えてください。

黒木  1メートル以内の短いパットに限ったことではないですが、まず狙ったところに打ち出すこと。30センチ先に目印となるスパットを決めたら、あとはそこを通すことに集中します

――その次はどうすればいいですか。

黒木 入れたい気持ちが強くなるので、プロでもボールを追っかけて頭が動くことも。アドレスでボールがあった地点を打った後も見続けることですね。あとは、インパクトが緩まないようにするために、真っすぐ当てようと思わず、先ほど説明したスパットに向かってボールを打ち出すことに集中してストロークしてください。

――インパクトで緩まないコツはありますか?

黒木 実はボク、1メートル以内のパットになったとき、頭の中で林の中にいることを想像して、林から脱出するショットをイメージしてストロークしています。そうすると、ボールを低く抑えるイメージが出るので、インパクトで体が浮かないようになるんです。このとき、体の内側に力を込める感じが湧いてくるんですけど、この感覚がショートパットでは大切なんですよ。師匠の藤田さんはこういうイメージ論でアドバイスしてくれることが多くありますね。


ショートパットは
林から脱出するショットをイメージ

林から脱出するショットを打つとき、低い弾道で打ち出すイメージをするが、そのイメージをパッティングのストロークに生かすという黒木。そうすることで、インパクトの緩みがなくなり狙ったところへしっかり打ち出せる

ショートパットの狙い方①
スパットに打ち出すことに集中

カップまでの距離が近いと、入れたい気持ちが強くなり、体や頭が動きやすくなる。それを防ぐために、スパットを設定してそこに打ち出すことに集中することが1メートル以内のパットを沈めるコツの一つだという

ショートパットの狙い方②
目線をターゲットラインとそろえる

左右の目のラインと、ボールからスパットまでのラインが平行になるようにアドレスする。ラインが平行にならずゆがんでいると、ヘッドの動きがカット軌道やインサイドアウト軌道になるので狙ったところへ打ち出しにくくなる

【ここもポイント】
フォローまでヘッドの動きを止めない

インパクトだけに集中してしまうと、手元が目標方向へ出たハンドファーストのような形になりフェース面がかぶりやすく狙ったところへ打ち出しにくくなる。フォローまでヘッドがスムーズに動くためには、ストロークに制限をかけないように注意する

“パチン”と音がする
インパクトになる

――1メートル以内のパットのストロークで、気を付けるポイントを教えてください。

黒木 ロングパット同様、ヘッドを真っすぐ動かそうとしないことです。真っすぐ動かそうとすると手打ちになるので、ストロークが安定しないからです。師匠の藤田さんからも「真っすぐ動かすのが一番難しい」と言われ、どうすればスクエアにインパクトできるか教えてもらったのが、テークバックでフェースを閉じ気味にシャットに上げ、フォローではややフェースを開き気味にするストロークです。ヘッド軌道が逆扇形というかV字に動くようにするイメージです。

――逆に複雑な動きでは?

黒木 そうかもしれませんが、このV字軌道を意識すると意外とヘッドがスムーズに動かせるんです。そして、このV字軌道の中にスクエアなインパクトが存在するという考えです。要は真っすぐ動かして真っすぐ当てようとすると、ストロークが遅く動きも硬くなり、逆にフェース面がゆがんでインパクトしてしまうんです。それなら、スムーズな動きの中で作っていくほうが、インパクトでスクエアを作りやすいということです。

――フェースは開いて閉じる動きじゃないんですか?

黒木 扇状にフェースを開いて閉じるストロークより、閉じて開くほうがフェース面のブレが少なくてスクエアにボールをとらえやすいんです。ダメなのは、ヘッドを真っすぐ動かそうと軌道をなぞる動きです。最終的には本当に手が動かなくなります。

――スムーズにヘッドが動いたほうが、スクエアにインパクトしやすいということですね。

黒木 真っすぐの呪縛を解かれたことで、狙ったところに打ち出せるようになってから、本当にパターが得意になりました。

構え方のポイント①
両わきを締める

アドレスで両ひじが体の内側を向くように構えると、腕と胴体が一体化して安定したストロークが作りやすくなる

構え方のポイント②
クラブを吊ってアドレスする

胸の前でクラブを持ち、ヘッド側を下げると、両手首の親指側が伸びる。その状態でアドレスを作ると、体と腕とクラブが同調するので手打ちにならないという

ショートパットの打ち方
ヘッドがV字に動くイメージ

手首をタテに動かしてヘッドを上げる

体の正面から外れないように、ほんの少しヘッドを上へ持ち上げるようにタテにコックする感じでテークバックする。このときフェースはやや閉じシャット気味になる

コックを戻すと自然にスクエアになる

テークバックでタテにコックした動きをインパクトで元に戻す。フェース面を真っすぐ動かして真っすぐ戻そうとすると、体の動きがぎこちなくなり、逆にスクエアなインパクトが難しくなる

フェース面はなるべく返さないようにする

フォローでフェースは自然と返るのでかぶる動きになる。このような動きになることを頭に入れておき、フォローでなるべくフェース面が返らないように意識する。初めはフォローでフェース面が開いてもOK

インパクト直後に
引き戻す練習がオススメ

――練習法を教えてください。

黒木 インパクトで緩んでしまい、狙ったところに打ち出せないという人は、インパクトしたらヘッドを素早く引き戻す“引き打ち”がいいです。やり方は、打ったあとにヘッドを戻すだけです。この引き戻し練習をすると、徐々にインパクトの瞬間が見えてくるので、スクエアにインパクトする感覚もつかめてくるんです。

――どれくらいの距離で練習すればいいですか。

黒木 初めは20メートルでもいいですが、慣れてきたら1メートルくらいでやってください。実際のコースでも使える動きなので、ぜひ試してみてください。

Drill
インパクト語にヘッドを引き戻す

インパクトしてからヘッドを引き戻すことで、インパクト時のフェース向きがスクエアになっていることが感じられ、慣れてくるとインパクトの瞬間が見えるようになる

週刊ゴルフダイジェスト2025年2月18日号より