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世界トップのスウィングに学ぶ<後編>X・シャウフェレ、松山英樹、B・デシャンボー、N・コルダ

世界のトッププロのスウィングを佐藤信人プロが徹底分析。後編では、ザンダー・シャウフェレ、松山英樹、ブライソン・デシャンボー、ネリ―・コルダの4選手のスウィングを見ていこう。

PHOTO/Hiroaki Arihara、Blue Sky Photos THANKS/光ヶ丘ユー・プラザゴルフレンジ

解説/佐藤信人

1970年生まれ。千葉県出身。ネバダ州立大学でゴルフを学び、日本でプロになる。日本ツアー9勝。日本ツアーだけでなく、海外ツアーの解説者としても活躍中

>>前編はこちら

球をつかまえる要素と
逃がす要素の合わせ技

――今シーズン、メジャー2勝と大活躍したザンダー・シャウフェレはどうでしょうか。

佐藤 シャウフェレに限らずツアープロは、球をつかまえる要素と球を逃がす要素を組み合わせて、自分が打ちたい弾道を作っています。

――球をつかまえる要素と逃がす要素ですか……。

佐藤 シャウフェレの場合は、セミストロンググリップとトップの左手の掌屈で球をつかまえて、腰を切る動きで球を逃がしているんです。

――なるほど。

佐藤 シャウフェレのスウィングで見習ってほしいのは、腰を強烈に切っていっても崩れない体の前傾角でしょう。

――本当にスゴい。フォローまでキープされていますね。

佐藤 ここまでキープするのは難しいかもしれませんが、腰を伸ばさず切っていく感覚をつかめば、ショットの精度は確実に上がりますよ。

世界ランク2位。日本育ちの台湾人の母親とフランスとドイツのハーフの父親の間に生まれる。ツアー9勝。東京五輪では金メダルを獲得。2024年、全米プロ、全英オープンのメジャー2勝

体の前傾角度をフォローまでキープ

「シャウフェレの特徴は、セミストロンググリップとトップの左手の掌屈です。どちらも球をつかまえる動きなので、ダウンスウィングから腰を強烈に切って、球を逃がす動きを加えて弾道をコントロールしています。見習うべきポイントは、体の前傾角をフォローまで変えない点。体を伸び上がらせずに腰をターンさせています」


Point
イスにお尻を付けてボールを打つ

「右かかとが早く上がって、インパクトで腰が浮いて飛ばないゴルファーは、背面にイスなどを置いてボールを打ちます。トップで右腰、インパクトで左腰がイスに触れているイメージでスウィングします。壁にお尻を付けてシャドースウィングするドリルもおすすめです」

クラブを体の正面から
外さずに振る

――松山英樹とブライソン・デシャンボーの特徴は?

佐藤 腕と体を一体化させていることですね。

――腕と体の一体化!?

佐藤 クラブを体の正面で扱う時間が長くなるので、スウィングの再現性が高くなります。松山選手は左ひじを曲げないようにして、体とグリップの距離をなるべく遠くに保っています。デシャンボーは左ひじを外に向けて、左腕とクラブを1本にする感覚で振っています。どちらも腕と体の一体感を感じられますよ。

世界ランク6 位。2013年、JGTO初のルーキー賞金王に輝き、翌年からPGAツアー参戦。2021年、マスターズ優勝。2024年は2勝を挙げ、パリ五輪で銅メダルを獲得。日本ツアー8勝、PGAツアー10勝

体とグリップの距離を一定に保っている

「クラブを上げるときも下ろすときも、左ひじを伸ばして体とグリップの距離を一定に保っています。これは、クラブを体の正面で扱っている証拠で、グリップが体に近いほど手先で操作しやすくなってしまいます。ウィークグリップで握る松山選手は、インパクトで顔を右に向けて、肩の開きを遅らせることで球をつかまえています」

Point
重たいボールを地面に叩きつける

「メディシンボールなどの重たいボールを地面に叩きつけます。ひじを伸ばすと体全体を使う感覚が身につきます。ひじを曲げると手先だけで操作してしまうので注意が必要です」

腕とクラブを1本にしてスウィングする

「デシャンボーのスウィングの特徴は、アドレスの左腕の使い方にあります。左ひじをターゲット方向に向けるように左上腕を右に回し、手首だけを左回しに戻します。こうすると、左腕とクラブが1本になったような感覚になります。そのため、腕と体を一体化させて、体幹や下半身の大きな筋肉を使って振ることができます」

Point
デシャンボー式・左ひじ外向きの手順

●Step 1 左腕の力を抜いて自然に垂らす
●Step 2 左腕を右に回して。左ひじを外に向ける
●Step 3 左手首だけ左回しに戻す

ドローを打つなら
コルダを真似よう!

――最後はLPGAツアーから、世界ナンバーワンプレーヤーのネリー・コルダです。

佐藤 コルダの素晴らしいところは、ハーフウェイダウンの手とクラブのポジションです。ドローヒッターは、ココが決まれば、ちょうどいいタイミングでインパクトできるんです。ドローをマスターしたいなら、コルダのイメージがピッタリですね。

世界ランク1位。米女子ツアー15勝。2024年は出場5試合連続優勝など、シーズン7勝をマーク。メジャーでは、2021年の全米女子プロ、2024年のシェブロン選手権を制している

ハーフウェイダウンが理想のドローポジション

「ドローを打ちたいゴルファーが見習いたいスウィングです。ハーフウェイダウンで手元が右太ももの前にかかったとき、シャフトが水平になるイメージです。このポジションを意識して振ることで、気持ちのいいドローが打てるはずです」

Point
左の壁を意識してボールを打つ

「ハーフウェイダウンのシャフトが水平になるドローポジションまでの動き(①と②)を2~3回繰り返してから、ボールを打ちます。この動きを繰り返すことで、いいドローが出るクラブと体のポジションを覚えます」

週刊ゴルフダイジェスト2025年1月7・14日合併号より