世界トップのスウィングに学ぶ<後編>X・シャウフェレ、松山英樹、B・デシャンボー、N・コルダ
世界のトッププロのスウィングを佐藤信人プロが徹底分析。後編では、ザンダー・シャウフェレ、松山英樹、ブライソン・デシャンボー、ネリ―・コルダの4選手のスウィングを見ていこう。
PHOTO/Hiroaki Arihara、Blue Sky Photos THANKS/光ヶ丘ユー・プラザゴルフレンジ
解説/佐藤信人
1970年生まれ。千葉県出身。ネバダ州立大学でゴルフを学び、日本でプロになる。日本ツアー9勝。日本ツアーだけでなく、海外ツアーの解説者としても活躍中
>>前編はこちら
- 世界のトッププロ7人のスウィングを佐藤信人プロが徹底分析。まずは、スコッティ・シェフラー、ローリー・マキロイ、コリン・モリカワから。 PHOTO/Hiroaki Arihara、Blue Sky Photos THANKS/光ヶ丘ユー・プラザゴルフレンジ 解説/佐藤信人 1970年生まれ。千葉県出身。ネバダ州立大学でゴルフを学び、日本で……
球をつかまえる要素と
逃がす要素の合わせ技
――今シーズン、メジャー2勝と大活躍したザンダー・シャウフェレはどうでしょうか。
佐藤 シャウフェレに限らずツアープロは、球をつかまえる要素と球を逃がす要素を組み合わせて、自分が打ちたい弾道を作っています。
――球をつかまえる要素と逃がす要素ですか……。
佐藤 シャウフェレの場合は、セミストロンググリップとトップの左手の掌屈で球をつかまえて、腰を切る動きで球を逃がしているんです。
――なるほど。
佐藤 シャウフェレのスウィングで見習ってほしいのは、腰を強烈に切っていっても崩れない体の前傾角でしょう。
――本当にスゴい。フォローまでキープされていますね。
佐藤 ここまでキープするのは難しいかもしれませんが、腰を伸ばさず切っていく感覚をつかめば、ショットの精度は確実に上がりますよ。
ザンダー・シャウフェレ
体の前傾角度をフォローまでキープ
「シャウフェレの特徴は、セミストロンググリップとトップの左手の掌屈です。どちらも球をつかまえる動きなので、ダウンスウィングから腰を強烈に切って、球を逃がす動きを加えて弾道をコントロールしています。見習うべきポイントは、体の前傾角をフォローまで変えない点。体を伸び上がらせずに腰をターンさせています」
Point
イスにお尻を付けてボールを打つ
「右かかとが早く上がって、インパクトで腰が浮いて飛ばないゴルファーは、背面にイスなどを置いてボールを打ちます。トップで右腰、インパクトで左腰がイスに触れているイメージでスウィングします。壁にお尻を付けてシャドースウィングするドリルもおすすめです」
クラブを体の正面から
外さずに振る
――松山英樹とブライソン・デシャンボーの特徴は?
佐藤 腕と体を一体化させていることですね。
――腕と体の一体化!?
佐藤 クラブを体の正面で扱う時間が長くなるので、スウィングの再現性が高くなります。松山選手は左ひじを曲げないようにして、体とグリップの距離をなるべく遠くに保っています。デシャンボーは左ひじを外に向けて、左腕とクラブを1本にする感覚で振っています。どちらも腕と体の一体感を感じられますよ。
松山英樹
体とグリップの距離を一定に保っている
「クラブを上げるときも下ろすときも、左ひじを伸ばして体とグリップの距離を一定に保っています。これは、クラブを体の正面で扱っている証拠で、グリップが体に近いほど手先で操作しやすくなってしまいます。ウィークグリップで握る松山選手は、インパクトで顔を右に向けて、肩の開きを遅らせることで球をつかまえています」
Point
重たいボールを地面に叩きつける
「メディシンボールなどの重たいボールを地面に叩きつけます。ひじを伸ばすと体全体を使う感覚が身につきます。ひじを曲げると手先だけで操作してしまうので注意が必要です」
ブライソン・デシャンボー
腕とクラブを1本にしてスウィングする
「デシャンボーのスウィングの特徴は、アドレスの左腕の使い方にあります。左ひじをターゲット方向に向けるように左上腕を右に回し、手首だけを左回しに戻します。こうすると、左腕とクラブが1本になったような感覚になります。そのため、腕と体を一体化させて、体幹や下半身の大きな筋肉を使って振ることができます」
Point
デシャンボー式・左ひじ外向きの手順
ドローを打つなら
コルダを真似よう!
――最後はLPGAツアーから、世界ナンバーワンプレーヤーのネリー・コルダです。
佐藤 コルダの素晴らしいところは、ハーフウェイダウンの手とクラブのポジションです。ドローヒッターは、ココが決まれば、ちょうどいいタイミングでインパクトできるんです。ドローをマスターしたいなら、コルダのイメージがピッタリですね。
ネリー・コルダ
ハーフウェイダウンが理想のドローポジション
「ドローを打ちたいゴルファーが見習いたいスウィングです。ハーフウェイダウンで手元が右太ももの前にかかったとき、シャフトが水平になるイメージです。このポジションを意識して振ることで、気持ちのいいドローが打てるはずです」
Point
左の壁を意識してボールを打つ
週刊ゴルフダイジェスト2025年1月7・14日合併号より